2013
Feb
02
お金の運用って、そんなに特別なものなの?(保険会社に資産運用を任せたらアカン!)【投資を始めたきっかけ・その4】
前回の記事(なんで保険会社は、受取額以上に支払えるの?【投資(資産形成)を始めたきっかけ(その3)】)のつづき
保険会社が行っている「運用」とやらは、個人にはできない特別なことなのだろうかと疑問に思い、色々と調べてみた結果、私は保険会社が保険料から得ている手数料の高さに愕然としました。
ハッキリとした数値は覚えていませんが、仮に30年前に先進国の株式市場の平均株価指数(MSCIコクサイ・インデックス)に投資していたら、その投資元本は、10倍(1000%)くらいに殖えている計算になりました※1。これは怪しい話でもウマい話でもなんでもありません。事実です。
保険会社が行っている「運用」とやらは、個人にはできない特別なことなのだろうかと疑問に思い、色々と調べてみた結果、私は保険会社が保険料から得ている手数料の高さに愕然としました。
ハッキリとした数値は覚えていませんが、仮に30年前に先進国の株式市場の平均株価指数(MSCIコクサイ・インデックス)に投資していたら、その投資元本は、10倍(1000%)くらいに殖えている計算になりました※1。これは怪しい話でもウマい話でもなんでもありません。事実です。
◎お金の運用を保険会社に任せるのはアホらしい
終身保険は30年間保険料を支払い続けて(途中解約すると元本割れ)、支払額の1.2倍程度(120%)※2。かたや約10倍(1000%)です。
もちろん、これは単純比較できるものではありません。終身保険への保険料支払いは毎月の拠出で、死亡保障などの準備金やその他経費を差し引いたうえでの最終受取額なのに対して、10倍という数値は30年前に一括投資したと仮定したものにすぎないからです。しかしながら、一括払いの終身保険や個人年金でも、30年間固定して2倍になるような商品でさえ見たことがありません※3。
この数値を見て、
自分で「運用」ができるのであれば、保険商品には万が一のときの大きな保障だけしてもらって、お金を殖やす「運用」は自分でした方が良さそうだ
と私は思いました。
自分で株を売り買いして世界中の投資家の平均値を上回ることができるとは思いませんが、ほぼ平均値をそのまま買う投資法(インデックス投資・パッシブ運用)もあるので、保険会社に高い手数料をとられてちょこっとだけ殖やしてもらうよりも、自分でやった方が良さそうだと考えたのです。
(参考記事→インデックス投資とは)
◎保険会社には万が一の場合の大きな保障だけ任せよう
私はそのように考えましたが、自分で「運用」しようなんて考える人間は少数派だと思いますし、万が一のときの大きな保障も個人では用意できないので、保険会社の存在価値は大いにあると思っています。
考えてみれば、保険会社の手数料が高いのは当たり前です。
保険会社は受け取った保険料の中から、社員や職員が家族を養えるだけの給料を支払い、広告費などの諸経費を負担し、顧客の万が一の保障までしたうえで、受け取った金額以上の保険金を支払い、さらに利益まで出さなければならないのですから。
その後も色々と保険商品について勉強しましたが※4、あのときの保険屋さん(メシア ※前々回の記事参照)が提案してくれたプランはさほど悪質なものではなく、利幅の小さい良心的なものであったことが分かりました。
そもそも私はあのときの保険屋さんや保険会社を攻撃する意図を持ってこの記事を書いているわけではありません。あくまでも自分が投資を始めるきっかけとなった「気づき」を回想しているだけです。
ただ最後にひとつだけ。
あのとき「私が一生サポートします!!」と、力強く言ってくれたあの保険屋さんは、その約1年後に保険屋稼業を辞めたそうです。
将来のことや未来のことは誰にも分からないものですね。
ともあれ、実際に自分で「運用」してみるとなると、これまた大変です。誰もが簡単に実践し、かつ心穏やかに継続できることではありません。
そういう話は、今後少しずつ書いていこうと思います。
くだらない話と保険の話ばかりで、なかなか「投資」の話に進みませんが、このシリーズは(投資(資産形成)を始めたきっかけ)は、これで終わりにします。
【続編記事】→「虎の子」を元本保証なしの市場に放り込む恐怖心へ
※1 10倍くらいだったのは、まだサブプライムショックやリーマンショックが訪れる前の当時の数値で、今日では(2012年末に同じ計算をすると)8倍くらいになります。
※2 保険会社が終身保険の保険料をMSCIコクサイ・インデックスで運用しているかどうかは知りません。
※3 外国通貨建ての保険商品だと、もう少し利率のよい商品もあると思います(円換算してどうなるかは、為替動向次第ですが)。また、市場金利の高かった30年前にはそういう(元本が数倍になるような)保険商品はいくらでもあったという反論もあると思います。それもそのとおりです。ただ、大手生保は「お宝保険」と呼ばれるその頃の商品が抱えている「逆ザヤ」を新規契約者からの……おっと、こんな話はまた今度にしましょう(そもそも終身保険自体は、さほど利幅の大きな商品ではないようですし)。
※4 保険に関して調べて知りえて思ったことは、他にも色々とあるのですが、それについては、いずれもう少し詳しい記事を書いてみるつもりです。
→後日書いた関連記事:民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)
◇関連書籍紹介


どちらの本も私が保険の勉強をした7~8年前には出版されていませんでした(その頃に読みたかった!)。
『生命保険のカラクリ』は生命保険業界全体のウラ話が多いのに対して、『生命保険の罠』は生命保険の販売現場そのもののウラ話が多いので、どちらか1冊だけを読むのであれば『生命保険の罠』の方がいいと思います。普通の人には、生保業界そのものよりも、自分の家計に直結する話の方が重要ですよね。
※『生命保険のカラクリ』を執筆している岩瀬氏は、いま話題の「ネット生保」であるライフネット生命の副社長です。国内の保険業界で初めて生命保険の手数料部分「付加保険料」と原価部分「純保険料」を全面開示したことなどで話題を集めたことをご存知の方もいると思います。
この本を読むと同社の商品が最良で最安値だと思ってしまいますが、条件や商品によっては必ずしもそうでないことにご注意ください。ライフネット生命よりも保険料の安い商品を売っている生保会社は、実はけっこうあります(データはやや古く、表現はちょっと過激ですが、circlebackさんのエントリなどをご参照ください)。
【続編記事】→「虎の子」を元本保証なしの市場に放り込む恐怖心へ

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