2023
Mar
11
もしも投資を始めるときにオルカンに投資可能だったら
私が投資を始めたのは2005年。
当時は先進国・新興国・日本の主要な株式にまとめて投資可能な、いわゆる全世界株式の国内籍インデックスファンドはありませんでした。
しばらくしてから海外ETFを利用すれば全世界株式にも投資しやすくなったりもしましたが、売買や確定申告の手続きが面倒くさかったりして、庶民にはハードルが高く、誰もが全世界株式のインデックスファンドを気軽に売り買いすることはできなかったのです。
2018年に「eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)」の運用が始まるまでは……。
当時は先進国・新興国・日本の主要な株式にまとめて投資可能な、いわゆる全世界株式の国内籍インデックスファンドはありませんでした。
しばらくしてから海外ETFを利用すれば全世界株式にも投資しやすくなったりもしましたが、売買や確定申告の手続きが面倒くさかったりして、庶民にはハードルが高く、誰もが全世界株式のインデックスファンドを気軽に売り買いすることはできなかったのです。
2018年に「eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)」の運用が始まるまでは……。
◎オルカンはいいぞ
eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー ※通称オルカン)は、個人投資家の資産形成のための金融商品として、特定口座でもNISAでもiDeCoでも、これを買えるならこれだけを買っておけば充分だ!と言えるほどのファイナルアンサー的な商品です。
投信ブロガーが選ぶ fund of the year 2019・2020・2021・2022と4年連続で圧倒的得票差で第1位になっています。
また、最近は良質な類似金融商品が他にもあり、充分な低コスト化も進んでいて、しかもNISAなどの非課税制度もあるので、個人投資家にとっての投資環境はかなり整備されたと言えるでしょう。
【参考記事:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は買いなのか…デメリットはないの?】
◎最初からオルカンがあれば
正直なところ、私が投資を始めたときにeMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)のような投資信託があれば、資産形成のための金融商品はそれ一本だけにして、シンプルなインデックス投資を貫徹していたかもしれません。
ただ、上述したような「オルカン」タイプの商品は、私が投資を始めて10数年が経ってから設定された投資信託です。既に自分なりのほぼ最適解と思える投資スタンスが出来上がっていたため、それまでのやり方を変えてまで乗り換えるには至らぬまま今日を迎えているのが実情です。
【参考記事:実はもうオールカントリー1本、株式100%でもいいと思ってる】
◎もしオルカンを買い続けていたら
では、仮に私が投資を始めたときにオルカンのような商品が購入可能だったとして、それを買っていたら、どうなっていたでしょうか。
おそらく、私は今日まで積み立て投資を続け、暴落時にはリバランスと称して追加投資を行い、それなりのリターンを上げていたと思います。バランスファンドをコアに据えながらチマチマとやってきた現在の損益よりも高パフォーマンスだったでしょう。
しかし、実際に直面したであろう状況をバックテスト的に想定すると、2005年に投資を始めてから2年ほどは好調だったものの、2007年から2008年にかけては株価下落や為替の影響で損益状況が2~3割程度マイナスになり、リーマンショックではそこからさらに3割以上の暴落を食らって、私のオルカンは半値以下になったはずです。
【参考記事:リーマンショックのナイアガラっぷり】
◎プラ転まで5年以上
その後、多少回復したりもすれどグズグズしていて、為替も円高方向に進んだりして、オルカンが黒字化するのには2012年後半か2013年くらいまで辛抱強く積み立てを続けながら待つ必要があります。
円高が続き、損益が長らくマイナスの状況下で海外株式投資信託を保有していることをSNSなどで情報発信すれば、情弱だのカモだのとバカにされ罵られもしたはずです。
多くの人は目先のマーケット状況しか見ていません。
その世界線の私が暴落にビビって積み立て投資を中止したらプラ転にはさらに時間がかかったはずですし、損切りなぞをしていたら二度と投資なんてするかと心に誓って大損したまま退場することになったかもしれません。
また、やっとこそさ損益状況がプラスになっても、また下がるかもしれないので利益確定させておいたほうがいいのではないかという誘惑にかられたり、保守的になって債券比率を増やすことを検討したりしたかも。
そんなこんなを経て、すべての動揺や煩悩を抑え込んで余計なことをしないままに今日を迎えていれば、それなりのリターンにはなったであろうということです。
ただ、5年以上も含み損状態が続き、未来のことが分からない状況下において、不安や罵倒や誘惑に打ち勝つのは簡単なことではないと思います。
2015年のチャイナショックだかなんかだったとき、(その数年前にインデックス投資を始めた場合)1年程度の含み損が続くような市況下でさえ、かなりヒステリックな人が増えたことを思い出します。
【参考記事:1年間以上含み損を抱えている私の気持ちなんて分からないでしょう】
◎続けることができるかどうか
これから投資を始める人は、最初からオルカンがあって羨ましいとは思います。が、そうであっても国際分散インデックス投資をするのであれば、長く含み損が続くことはあり得ます。
いや、むしろ、そういうことは必ずあるはずだという想定を持っておいたほうがいいでしょう。
インデックスファンドの積み立て投資で大きな果実を得られるかどうかは、暴落時や停滞相場時でも淡々と続けることができるかどうかがポイントです。
仮に私が投資を始めるときにオルカンが買えたとしても、しっかりその良さを享受するには、どんなノイズにも動揺せずに持ち続けることができるかどうかにかかっていたでしょう。
投資で成功するためには良い金融商品を利用することも大切なのですが、マーケットに対する正しい理解に裏打ちされた落ち着いた投資スタンスのほうが大切かもしれません。
・・こんなことばかり書いているから、若者たちに「リーマンショックおじさん」とか言われちゃうんですよね、きっと。
【参考記事:リーマンショックおじさんと呼ばれて】

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