いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

出口戦略について書かれた本『つみたて投資の終わり方』(カン・チュンド著)を読みました

インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんが8月末に出版した新著『つみたて投資の終わり方 100年生きても大丈夫!: 人生後半に向けた投資信託の取り崩しメソッドを解説!』を読み終えました。

メインタイトルよりサブタイトルが長いのは、積み立て投資で資産を作る時間よりも、それを取り崩して使っていく時間のほうが長くなる可能性の隠喩でしょうか。いや、違うでしょうね。失礼しました。




今回のカンさんの本は、インデックス投資の出口戦略について書かれたものです。

丸一冊「積み立て投資の取り崩し」にフォーカスした本は非常に珍しい。Amazonのレビューを見れば分かると思いますが、かなり売れていて大好評の一冊です。



◎カンさんの取り崩しスタイル


試し読みできる範囲内に大まかな結論は書いてあったので、ここにも書いてしまいます。

カンさんの提唱する金融資産の取り崩し方法は、リスク資産と無リスク資産を一定に保つように比率で管理しながら、毎年定率で取り崩していくというものです。

細かい部分はさておき、私も20年近く前から金融資産はリスク資産と無リスク資産の比率で管理するようにしていて、取り崩しもそういうイメージで行うつもりだったので、全く違和感がありませんでした。

私が投資を始めたころは、生活防衛資金を確保したうえで国内短期債・長期債をも含んだアセットアロケーションで金融資産を管理するスタイルが主流でした。

そんな中で私は自分なりに考えて、比率管理スタイルを編み出したつもりでいたのですが、カンさんのこの本を読んで、そういう考え方は1994年にウィリアム・ベンゲンさんという人が既に論文に書いていたそうです。勉強になりました。

【参考記事:アセットアロケーション(資産配分)の決め方シリーズまとめ



◎前提条件は色々あるけど


理屈上は金融資産を定額で取り崩すよりも、定率でそれを行ったほうが(年によって取り崩せる金額が変わるものの)効率的です。その数学的根拠も本の中にも書いてあります。

でも、充分な資産が築けていれば、必要な時に必要なだけ取り崩すってのもありかもしれません。

ただ、そもそもこういう話は、金融資産総額(例えば500万円なのか5000万円なのか5億円なのか)、お金を使うのが得意か苦手か(ついつい使いすぎてしまうタイプなのか使い途に困るタイプなのか)、年間の必要額(年間200万円で生活できるのか1000万円あっても足りないのか)などの前提条件によって色々と変わってくるものです。

カンさんは、取り崩し率は3%くらいを推奨していますが、それも前提条件によっては多少変わってくるかもしれません。

今はコツコツと金融資産を積み上げているけど、それをどうやって使っていこうかイメージしたことがなかった人は、この本で紹介されている方法をたたき台にして、自分なりのスタンスを作り上げてみてもいいでしょう。



◎『つみたて投資の終わり方』について


この本は、大きい文字でわずか150ページ足らず。

リタイヤに向けた家計のスリム化、節約指南などを交えながら、積み上げてきたリスク資産をどう取り崩していくのかということを語りかけるように伝えてくれます。

数値やグラフなどはあまり出てきませんが、簡単に読めてしまうと思います。

Xデー(退職)を期に、山登り(積み上げ)から山降り(取り崩し)に入ることの心構えや、金融資産取り崩しの詳しい実践方法を具体的かつ丁寧に教えてくれる一冊です。

貯めたり殖やしたりしたお金は、使ってナンボですからね。死ぬ前が一番の金持ちで、それを使わずに人生が終わってしまうのは勿体ない。

カンさんはこの本の中で、大きな資産があるのは素晴らしいことだけど、それは同時にできるはずだった経験や思い出の未購入額(心の負債)と捉えることもできると述べています。

要はバランスなのでしょうが、ホントにその通りだと思うので、肝に銘じておきたいです。

【参考記事:時間やお金をどう使うのか≒どう生きるのか



◎出口戦略のイメージがつかない人は必読


私はカンさんのことを20年近く前から知っていますが、この人は信用できます。

誰かに「マネープランや投資のことについて相談に乗ってくれるファイナンシャルプランナーを知りませんか?」と聞かれたら、(相談したい分野にもよりますが)多く場合、私は自信を持ってカン・チュンドさんをご紹介します。もちろん、実際に紹介したこともあります。

参考:カンさんがリーマンショックの真っただ中に書いた本

『忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』(カン・チュンド著)を再読しました(感想・レビュー)



今回の本は、(カンさん的には)10年以内にリタイヤを迎える積み立て投資家を読者に想定しているそうですが、リタイヤが迫っていなくても、積み上げた金融資産をどうやって使っていくかなんて考えたことないよ!というような人なら大いに読む価値があると思います。

ひとつのモデルケースというか考え方を知ることができるはずです。


私も出口戦略に関する記事は少し書いていますが、まだ実践していないことなので、理屈と想像で書いているだけです。

ただ、私がこれまで書いてきたことは、今回の本に書いてあることの主旨とさほど変わらないような気がします。

元々取り崩しについてイメージする機会はけっこうあったので、今回のカンさんの本の内容についてはすんなり入ってきました。

私も実際に取り崩しを実践する段階になったら、関連記事はもっと増えてくるかもしれません。


《参考関連記事》
いつまで資産運用(投資)を続けるのか
インデックス投資(投資信託)の出口戦略





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関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
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日経ヴェリタス:2019年9月15日
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週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

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