2022
Aug
11
入院時の差額ベッド代は支払わなくてもよい?【その5・医事課編】
前回の記事(その4・ナースステーション編)のつづき
偶然にも知人の入院手続きを行う機会に直面した私は、知人への金銭的な負担はなるべく小さくしようと孤軍奮闘することを決意しました。
「この病院には、差額ベッド代のかからない病室はない」とドクターは言いましたが、それは嘘で、そういう病室はありました。
ところが、案内された病室で、差額ベッド代の支払い同意書へのサインを拒否したところ、看護師はブチ切れて出て行ってしまいました。
ナースステーションでは、再び「この病院には、差額ベッド代のかからない病室はない」と言われ、詳しいことは医事課の人間が説明するとのことで、長時間待たされた後、説明を受けるべく、私は別室に案内されました。
私にあてがわれたのは、医事課の課長さんなる人物でした。
偶然にも知人の入院手続きを行う機会に直面した私は、知人への金銭的な負担はなるべく小さくしようと孤軍奮闘することを決意しました。
「この病院には、差額ベッド代のかからない病室はない」とドクターは言いましたが、それは嘘で、そういう病室はありました。
ところが、案内された病室で、差額ベッド代の支払い同意書へのサインを拒否したところ、看護師はブチ切れて出て行ってしまいました。
ナースステーションでは、再び「この病院には、差額ベッド代のかからない病室はない」と言われ、詳しいことは医事課の人間が説明するとのことで、長時間待たされた後、説明を受けるべく、私は別室に案内されました。
私にあてがわれたのは、医事課の課長さんなる人物でした。
◎ここまできたらキチンと説明してもらおう
そもそもこんなに手間がかかり、病院側に迷惑をかけてしまう(時間をとらせる)ことが事前に分かっていたら、差額ベッド代の支払い同意書へのサインくらい簡単にしていたでしょう。しかし、違法行為を行っているわけでもなく、クレームをつけているつもりもないので、ここまで来たらしっかりと説明してもらおうと思いました。
私は医事課の課長さんとやらに、入院患者の経済状況を考え、なるべく健康保険の適用範囲内で治療をお願いしたいので、なんとか差額ベッド代の支払い同意書にはサインせずに入院をさせてくれないかと、そしてそれは国のルールに則った行為であると、ハイパー物腰低く丁寧にお話しました。
医事課の課長さんも、最初はヘンチクリンな理屈をつけて私を丸め込もうとしましたが、私が論点を整理して、
ルールに照らし合わせて私の言い分が間違っているのか、それとも「こっちも商売だからお金払ってよ」ということなのか、どちらなのか答えて欲しい
と伝えたところ、しっかり調べるから時間をくれと言って、再び事務所に戻ってしまいました。
私はまた長時間待たされることになりました。
◎差額ベッド代の支払い不同意の根拠について再確認
待ち時間中に私は病院外へ出て、ネットで調べられる範囲ですが、もう一度「差額ベッド代」について調べてみました。
たしかに厚生省(現厚生労働省)から、「特定療養費に係る療養の基準の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成9年3月14日 保険発第30号)」なる通知が出されており、患者の意思に反して差額ベッド代のかかる病室への入院をさせてはならないとされているようです。
しかしながら、その「通知」には法的拘束力がなく、分かりやすい判例もないようなので、実際に医療現場にどれほどの影響を与えているものなのかはよく分かりませんでした。
◎差額ベッド代支払拒否の結果
約束の時間になり、再び医事課の課長さんと話すことになりました。
課長さんの話は、
「キチンと調べたところ、あなたの言うとおりです。差額ベッド代を支払わない選択肢はあるし、患者が同意しなければ請求はできません。ただ、現実的にそんな人(同意書にサインしない人)はいないことと、病院経営の側面を理解して、同意書にサインしてもらえませんでしょうか」
ということでした。
要するに「こっちも商売だからお金払ってよ」ということのようです。
はじめからそう言ってくれれば、すぐにでも同意書にはサインをしたのですが、現場のスタッフもよく分っておらず、医事課の課長さんでさえ、調べないと分からない(フリをしただけの可能性もありますが)ことであれば仕方ありません。
結局、同意書にはサインしましたが、退院するまでの約1週間、差額ベッド代のかからない病室に入院させてもらえました(努力の成果?)。
ただし、「差額ベッド代は支払わなくてOK!」みたいな医療費節約コラムをよく見かけますが、制度解釈の幅や現場の実態を考慮すると、あまり現実的なモノではないように私には思えました。少なくとも万人がすべての病院で使えるワザではないでしょう。
罰則付きの明確な法律があるわけではなく、病院側としては入院拒否という選択肢もあると思われるので、差額ベッド代の支払いを拒否しつつ、入院を希望するのは実際には難しいのかもしれません。
◎同じ病院に後日、入院を拒否される!!
また、後日ホントに入院が必要そうな患者に付き添ってその病院に行ったとき、私が付き添いでいると分かった途端(あのときと同じドクター)、病室の空きがないとかなんとか言い出して、入院を拒否されました。
さすがにそのときは、
「こんなに苦しんでいる患者を放置するのですか?ホントに空きがないのですね?今から病室を見せてもらえますか?それでも空いてなければ、この患者は自分では歩けないので、この病院に救急車を呼びますよ。あっ、差額ベッド代は支払いますから大丈夫ですって!」
と(このときは強い口調で)詰め寄ったところ、一転して入院させてもらえることになりました(空いている病室はたくさんありました)。
こんな対応をされたのも、あのとき私が差額ベッド代の支払い不同意騒動を起こしてしまったからでしょう(病院側でリストアップした厄介人物として、藁人形に私の顔写真でも貼られているのかもしれません)。
医療機関も人間が構成する社会なので、ルールを盾に交渉する場合でも、とりあえず軽くジャブを打ってみて、ダメならすぐに引いて、ゴリ押ししないほうが良さそうだ、と思いました。近所に病院がひとつしかない場合なんかはなおさらでしょう。
《似たような実体験レポートの一読推奨人気記事》
・賃貸契約更新時の値下げ交渉(更新料は支払わなくてもよい?)シリーズ
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※今回の一連の記事は、あくまでも私個人のひとつの体験談なので、世の多くの医療機関の実体を反映しているものなのかどうかは分かりません。ブログ読者さんの中には、看護師に「差額ベッド代のかからない病室に入院したい」と言ったら、「大丈夫ですよ!そのように手配しますからね」と、快く対応してもらった方もいるそうです。
(同時に、「知らなかった。ごく当たり前に差額ベッド代の支払い同意書を渡されたので、何の疑問も抱かずにサインしていた」という感想を寄せてくださった読者の方も多数いらっしゃいました。)
その後、この記事を読んでくださった多くの方から情報をいただきましたが、差額ベッド代をなんとしても請求しようとする病院は、やはり私立病院に多い印象を受けました。一方、公立の病院だと「差額ベッド代なし」ってのが当たり前だったりするみたいです。
※今回の記事シリーズは、10年ほど前に書いたものを加筆修正したものです。

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