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入院時の差額ベッド代は支払わなくてもよい?【その3・ナース編】

前回の記事(その2・ドクター編)のつづき


偶然にも知人の入院手続きを行う機会に直面した私は、知人への金銭的な負担をなるべく小さくしてあげようと思いました。

また、医療機関への入院時に発生する「差額ベッド代」は、患者サイドの同意がなければ請求できない(希望すれば差額ベッド代のかからない病室を選択でき、そういう病室が開いていなくともそれは医療機関の都合なので費用は請求できない)というのは、ホントなのかどうかを検証することにしました。

診察室で「この病院には、差額ベッド代のかからない病室はない」という、なんとも嘘くさいドクター(医師)の話を聞かされた私と患者である知人は、入院病棟に行くよう指示を受けました。



◎診察室でドクターが言ったことは嘘だった


病棟に着き、ひとまずナースセンターのすぐ隣の病室に案内されました。

そして、診察室から病室までエスコートしてくれた若い女性看護師がいなくなり、別の女性看護師が入院書類一式を持ってきました。


看護師は、

「すべての書類に目を通して、サインしてください」

と言って、病室から出て行きました。


入院申込書をはじめ様々な書類がありましたが、その中には「差額室料(差額ベッド代)支払いの同意書」もありました。

他にも病室衣レンタル料・タオルレンタル料・携帯電話充電料などの徴収を半強制的に同意させるような書類もありました。まぁ、どれも必要経費なのでしょう。医療機関側も色々と大変なんだろうな、と思いました。


さて、差額ベッド代の支払い同意書です。

せっかくここまできたのだから、ギリギリまでチャレンジしないことには男が廃ります。

私は、部屋に戻ってきた看護師になるべく控えめに、恐縮しているカンジを前面に出しつつ、

「あのぅ、この病院には差額ベッド代のかからない病室はないのでしょうか?ワガママは重々承知なのですが、できれば患者の金銭的負担を軽減してあげたくて・・」

と言いました。


すると中年の女性看護師は、

「このナースセンターの隣の病室は、差額ベッド代はかかりませんよ。ただ、重症患者さんが入院してきた場合は、他の部屋に移ってもらうことになりますけどね」

と笑顔で言いました。

あれ?ついさっき、「この病院には差額ベッド代のかからない病室はない」と言ったドクターがいたような気もしましたが、私は病院サイドの言動の揚げ足をとりに来ているわけではないので、黙って相槌を打ちました。

ひょっとしたら、ドクターか診察室の看護師から「この患者に付き添ってる保護者みたいなヤツ(私)はメンドクサイぞ!気をつけろ!」的な引継ぎがあったのかもしれません。

それでも私は、言ってみるもんだなぁ、なんて思って、ちょっと得した気分になりました。



◎差額ベッド代の支払いを拒否するぜ!


その流れで私は、

「それじゃあ、この差額ベッド代の支払い同意書にはサインしなくてもいいんですね」

と聞いたところ、看護師は、

「いえ、ですから、重症患者さんが入院してきた場合には移動してもらうことになるので、同意書にはサインしてください」

と返してきました。


重症患者を他に押しのけてまで、ナースセンターの隣の病室に居座るなんてことをしてはマズいと思いますが、そのあたりの病室の問題はあくまでも病院側の都合です。病院側の都合で病室を移動する場合は、差額ベッド代は請求できないはずです。

「んでも、それって病院側の都合による病室の移動ですよね?その場合は、差額ベッド代は請求できないはずではありませんか?」

と私は言いました。

すると看護師は少しムッとした表情になり、

「それは病院側の都合ではありません!」

と言います。


できることならこういうステージには突入したくありませんでしたが、私は恐縮した態度崩さずに落ち着いて言葉を続けました。

私「え、いや、あの、例えば重症患者さんがこの病室に入ってきて、もともとこの病室にいた患者が差額ベッド代のかかる病室に移動させられるのは病院側の都合ですよね?」(冷静に恐縮しながら)

看護師「いえ、違います」(私を睨みつける)

私「え、、だって、差額ベッド代の発生する病室への入院に同意していないんですよ」(冷静に恐縮しながら)

看護師「だから、同意書にサインしてください」(私の顔も見ずに書類に何かを書き込みながら)

私「大変恐縮なのですが、この入院患者の入院手続きを代行している私は、できることなら金銭的な負担を軽くしてあげたいと思っています。同意書にサインするか否かは任意のものだと思いますので、できればサインせずに入院させていただきたいのですが・・」(冷静に恐縮しながら)

看護師「それなら、入院患者は全員、サインしない方がいいですねぇ!!!」(ブチ切れながら大声で)

私「制度上はそういうことだと思います。たしか厚生労働省から日本中の医療機関にそのような通知があったはずです。ここまで申し上げるのは気が引けるのですが、この入院患者の経済状況を考えると、なるべく健康保険の適用範囲内で入院治療をお願いしたいのです」(冷静に恐縮しながら)

看護師「だから、それは病院側の都合ではありません!!」(怒声としか表現しようのない声色で)

私「いえ、その都合というのは、患者の経済的事情であって、病院側の病室の都合とは関係ないと思うのですが・・」(冷静に恐縮しながら)

看護師「もうーーー!!だったらサインしなければいいじゃないですか!!あとはナースセンターでやってください!!」(彼女のMAXシャウトにより、同じ病室内で寝ていた患者が起きる)

看護師はブリブリに怒って、大きな足音を鳴らして病室を出て行ってしまいました。

感情的な対立のステージへ移行してしまうと、冷静に話をしようとしてもどうにもなりません。



◎看護師を完全に敵に回すことに・・(汗)


別の医療関係者にあとで聞いた話では、ほとんどの入院患者やその家族は、渡された書類になんの疑問も抱かずにサインするそうです。

ひょっとしたら、私と会話をしてブチ切れて出て行った看護師を含め、多くの看護師は、差額室料に関する厚生労働省(当時、厚生省)の通知なんて知らないのかもしれません。

私はあの看護師には悪いことをしてしまったなぁ、と思っています。

彼女にしてみれば、患者のために身を粉にして働いている最中に、ヘンチクリンな理屈をこねて同意書へのサインを拒むクレーマーのような人間(私)に出くわしてしまったと感じているだけでしょう。自分は自分の仕事をキチンとしているのに、その患者の保護者的な人間(私)は意味不明なワガママを言って突っ掛かってきているだけに思えたに違いありません。

仮に私が、予備知識なしで第三者として私と看護師のやりとりを見ても、私サイドに非があるように見えたかもしれません。


当然、私は医療従事者へのリスペクトを忘れているわけでありません。むしろ、一生懸命な人にはホントに感謝していますし、尊敬しています。

しかし、いずれにせよ、私はその看護師さんを完全に敵に回してしまいました。


この段階でとりあえず分かったことは、この病院では差額ベッド代支払いの同意書へのサインを拒否すると、ナース(看護師)との関係がとても悪くなることです。

この病院に限らず、どこかしらの病院に入院する際、ナースとの人間関係はもっとも重要なファクターのひとつでしょう。

それを危うくする可能性をはらんでいることひとつをとっても、差額ベッド代支払い同意書へのサインを拒否するという行為は、現実的な選択肢ではないことがよく分かりました。

手足が不自由な状況で入院するような場合、ナースの機嫌ひとつで天国にも地獄にもなるという話を聞いたことがあります。

(ナースとの関係が崩れたのは、たまたまこのケースに限った話かもしれませんが、少なくとも関係が良くなることは考えにくいと思っています。)



さて、看護師を怒らせてしまった私は、ナースセンターに行くことになりました。

おそらく、先ほどの怒った看護師は、ナースセンターで私のことをボロクソに報告しているはずです。

小学生の頃、ハサミムシミミズ(閲覧注意)を使った嫌がらせで、クラス中の女子を敵に回して苦労をしたことがよくありましたが(参考記事→私の武勇伝・楽しいクリスマス会)、そのような心境に懐かしさを感じながら、私はひとりで鬼が島(ナースセンター)に乗り込むことになりました。

もうここまできたら、理屈として納得のいく説明をもらうまで引き下がるわけにはいきません。

つづく
続編・ナースセンター編へ

※この記事シリーズは、10年ほど前に書いたものを加筆修正したものです。


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プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


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日経新聞:2013年7月3日
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