2021
Aug
07
『外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話』(ジョン太郎著)を読んだ感想・レビュー
出版されてからそこそこ時間は経っているのですが、ずっと気になっていた本をやっと読みました。またひとつ、積読(つんどく)解消っす。

この本の基本的なコンセプトやタイトルが当ブログと似ているように見えるのか、以前、何人かの人に「ジョン太郎さんの正体って、ひょっとして虫とり小僧さんですか?」などと言われたことがあります。
もちろん、私は外資系金融マンではありませんし、ジョン太郎さんでもありません。
・・ってか、私なんざ、ジョン太郎さんのような知性やキャリアは持ち合わせていません。それは本書を読めばすぐに分かるはずです。私などジョン太郎さんの足元にも及ばないっす。

この本の基本的なコンセプトやタイトルが当ブログと似ているように見えるのか、以前、何人かの人に「ジョン太郎さんの正体って、ひょっとして虫とり小僧さんですか?」などと言われたことがあります。
もちろん、私は外資系金融マンではありませんし、ジョン太郎さんでもありません。
・・ってか、私なんざ、ジョン太郎さんのような知性やキャリアは持ち合わせていません。それは本書を読めばすぐに分かるはずです。私などジョン太郎さんの足元にも及ばないっす。
◎親として非常に参考になる
どういう本なのかは、タイトルを見れば分かると思いますし、内容もタイトルから連想されるもののまんまです。
「GDPとは」「金融政策とは」「財政政策とは」というような経済の枠組み解説から始まり、フローとストックの違い、会社や決算書、資本家と労働者の話などで土台をしっかりと固めてから、最後に投資や運用の話で締めます。
我が子に伝えるべく執筆すると、やはり力が入るのでしょう。現代社会でお金のことを理解するために必要なことを「根っこ」から丁寧に説明しています。
各章、「親として知っておくべきこと」と「子供への教え方」に分けて書いてあります。
親として知っておくべきことは、多くの人にとって非常に大切かつ勉強になる内容であり、分かりやすく書いてあります。私も勉強になりました。
ただ、子供への教え方やそのタイミングは、子供の知的レベルや好奇心によって適切な方法が変わってくるので、あくまでも一つの参考例という感じかも。
高偏差値・高学歴なのであろうジョン太郎さんがその血を受け継ぐお子さん向けに考えた方法が、庶民の一般家庭で通用するかどうかは分かりません。
例えば中学生に決算書の読み方を教えるのは簡単ではない場合もあるでしょうし、また、思春期に入った子供が本書内の「お父さん銀行」などというシステムに付き合ってくれるかどうかも微妙なところです。
◎特に良かったところ
世の中には、労働者だけでなく資本家もいることを教えておくのは大切な視点だと思います。人生の目標や選択肢は、労働者としての道を極めるだけではない、と。
また、出資と融資の違い、債務と債権の違いなどをしっかり解説してあるところもさすがです(債券と債権の違いも)。
そういう基本や構造をしっかりと教えることで、投資の意味や意義が伝わりやすくなるのだなぁと思いました。さすが金融マン。
驚いたのは、決算書の読み方の説明がとても分かりやすかったこと。財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の読み方に苦手意識を持っていて手付かずだったり、食わず嫌いの大人にこそオススメです。ざっくりかつ的確に教えてくれますよ。
◎気になったところ
全体としては同意することばかりですし、当然誤った情報はないのですが、細かい部分では多少の違和感を感じたりもしました。
日本の年金制度はボロボロだと述べ、ブラジルやアルゼンチンなど極端なインフレ事例を挙げ、提示する老後の生活費見積もりや受け取れる年金額試算などを見ても、けっこう煽り気味に見えました。
不安にさせてから投資の必要性を説くスタンスはいかにも金融機関の人っぽく見えてしまいます(まあ、私のブログの似たようなものかもしれませんが)。
また、投資をする理由の一つとしてやたらとインフレを強調し、預金のダメっぷりを解いていますが(まあ、これも基本的には同意なのですが)、預金でインフレに対応できないかというと、過去の日本のデータを見ると必ずしもそうではなかったはず。
他のところでも、実際のマーケットのデータは引用せずに、投資と預金の違いをイメージの数値だけで説明するのは勿体ないと感じました。
あと、データを見るときは3年が基準で、できれば5年、理想は7年以上と書いてあったのですが、個人的には3年や5年では短すぎて、7年でも微妙かなと思っています。まあ、このあたりはなかなか難しい話だと思いますが。
【参考記事:投資判断や主張の根拠となるデータの適正な期間とは】
◎投資の土台が学べる本
ふりがなが振ってあるわけではないので、読めるとしたら早くても中学生、いや、やはり基本的には大人向けの本だと思いました。
そして、大人にはかなり有用な一冊になるはず。
前述のとおり、子供の理解力をどの程度と想定するかでこの本の活用方法は変わってくるのでしょうが、投資の話そのものよりも、その土台となる経済や社会の構造的な話を理解するのに非常に有用な本でしょう。
投資の話そのものは、前半の構造解説の丁寧さに比べるとやや駆け足で網羅的に詰め込んである印象です。
・・最後にどうでもいい話ですが、ある時期から、自分のブログと似たようなタイトルの書籍やウェブ記事などが妙に目につく(気になってしまう)ようになりました。
それらの出版年や公開日がこのブログより後なのか先なのかが妙に気になってしまうのです(当ブログの開設は2013年)。
いやはや、自意識過剰でお恥ずかしいです。。
と、ゴチャゴチャ書きましたが、私なんぞよりのはるかに賢い人が、我が子のために全力で執筆した良書なので、一読推奨です。
意外と「親や子」ではなく、大学生くらいのこれから世に出て自分でお金を稼ぐ人こそ読むべき本かもしれません。
私も不要不急の外出が憚られるこのお盆に、再度ゆっくり読み直してみようと思っています。
【関連記事:我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと】

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