2013
Sep
25
『初心者は株を買うな!』を読んでから、ワイン投資と海外不動産投資について考える
内藤忍氏のこの本は、初心者が実際に投資をしてみるときに役立ちそうな本だと思っているので、このブログサイト(PC用)の右側で紹介していたことがあります(現在は削除)。
◎読みやすくてオススメの良本
『初心者は株を買うな!』は、株を買うことそのものを否定している本ではありません。
「株を買うな!」というのは、初心者が投資をする際、いきなり個別株式投資から始めるのはハードルが高く、なにより手間もかかるので、お勧めしない、という意味です。
誰もが「自分だけは儲けてやろう」とギラギラしている世界で、他人を出し抜いて儲けるような投資が簡単なはずがありませんし、誰かの成功例を真似しようとしても、それは再現性のあるものではないでしょう。
著者のこの主張は、まともで現実的なものであると、私も思います。
そして、多くの普通の人が、円安やインフレに対応しつつ資産形成を図るための投資として、無難に実践可能な方法が分かりやすく書いてあります。
1.分散をすること
2.長期でやること
3.インデックス運用をすること
4.コストを下げること
5.積立で投資すること
という、5つの原則を挙げて、実際にそのような投資をしていたら、どのような結果になっているのかのデータも示しつつ、それぞれの根拠をやさしく丁寧に解説してくれます。
初心者向けに、実際に投資を行うためのアクションプランなども書いてあるので、とても親切な本だと思います。
未来のことは分からないので、絶対ということはありませんが、この本に書かれているような投資方法を長期間にわたって実践すれば、少なくとも大損するような事態にはなりにくいでしょう。
この本の中で内藤氏が主張している内容は、信用に足るものだと、個人的には考えています。
「実際に投資を始めてみたいけど、どうやって始めたらいいのか分からない」と、いうようなかたにオススメできる一冊だと思っています。
◎最近の内藤氏の主張
ただ、、、この本が出版された2~3年後の内藤氏は、ある程度大きな金融資産を持っていれば「ワイン投資」や「海外不動産投資」などもやるべきだ、と主張するようになっています。
内藤氏の本を紹介した以上、(この本とは明らかに方向性の異なる)最近の内藤氏の主張についての考えも述べておかないと無責任な気がするので、そこにも言及することにします。
そもそも個人の主張が変わったり、幅が出てくることは珍しいことではありません。それに、投資なんて自己責任なので、各人が好きなようにやればいいと思っています。
でも、私が「ワイン投資」や「海外不動産投資」をするかどうかといえば、絶対にしません。
ある程度大きな金融資産を持っていないということもありますが、今回書評を書いた『初心者は株を買うな!』の中にもあったように、自分で理解できないものには投資すべきでないと考えているからです。
◎ワイン投資について
飲み物としては嫌いではありませんが、私は今のところ、ワインそのものに大して興味がありません。つまり、ワインについてよく分かっていないので、投資はしません(投資のために、わざわざワインの勉強をする必要性も感じていません)。
また、『初心者は株を買うな!』の中で内藤氏が主張している「リスクをとらないリスク(投資をしないと円安やインフレに対応できない)」という観点から見ても、「ワイン投資をしないリスク」なんてないと思っています。
それから、仲介業者の信用リスクや出資金の管理体制も複雑で、よく分かりません。『初心者は株を買うな!』の中で内藤氏が初心者にオススメしているインデックス運用の分散具合と比べると、超ウルトラスーパー集中投資であることは分かりますが。。
※追記※
内藤氏の推奨していたワインファンドは、2015年12月に金融商品取引法違反で一発登録取り消しというかなり重い行政処分を受けました。やはり、アカンですね。
◎海外不動産投資について
大きな投資資金が必要なことと、外国で不動産物件を購入する、ということは分かりますが、それ以外のことはサッパリ分かりません。だからこれにも投資もしません。
そもそも言葉が分からず、現地に関する知識もほぼ全くないのです。
信用できる仲介業者を見つけさえすれば安心だという主張も聞きますが、その「信用」の評価尺度が信用できるのかすら私には判断できません。
また、ある時点で信用できる人や業者が見つかっても、その人や業者が最後まで裏切らないとも限りませんし、仮に裏切らなくとも、何らかの理由でその仕事を続けられなくなる可能性はあります。まさに信用リスクです。担当者がいなくなってしまったら、日本にいる自分にはどうすることもできないような投資では、検討に値しないでしょう。
国内の不動産投資でさえ、投資というよりは事業に近いものだと理解しているのに、海外の不動産投資に乗り出すチャンレンジャー精神は私にはありません。
「ローンも組めます」という話も聞きますが、借金までして海外の不動産に投資するなんて、とんでもない。
大きな金融資産を持っている人が、その一部でやるのであればリスクは小さいものとなるのでしょうが、それはあくまでも個人のリスク許容度からみた話であり、海外不動産投資そのもののリスクが小さくなるわけではないことは忘れないようにしたいものです。
◎まとめ
内藤氏は、ワインも海外不動産も「リアルアセット(実物資産)」だと述べていますが、素人目には公募投資信託以上に複雑な仕組みを介して保有しているようにも映りますし、投資対象物が手元になく、いつでも思い通りにできるわけではないので、「ペーパーアセット(紙の資産)」に近いような気がします。そして、法的な監視やセーフティーネットも、国内公募投資信託にさえ、はるかに劣っているように見えます。
また、コストや分散という観点から見ても、ワインや海外不動産が、普通のサラリーマンの投資対象として適しているとは思えません。
さらに、内藤氏は『初心者は株を買うな!』の中で、個別の商品を選んで「人を出し抜く投資」はプロでも難しいので、初心者はやめておいた方がよいと述べています。
私は、ワイン投資や不動産投資は、人を出し抜く投資に近いものだと思っています。
そして、多くの普通の人は、ワインや海外不動産への投資に関しては初心者でしょう。。
どちらの投資も、金融資産に余裕のある人が「事業や趣味や娯楽として投資」するならアリだと思いますが、普通のサラリーマンが「資産形成のために投資」するのは、リスクが大きすぎると考えています。
・・と、最近の内藤氏の主張の一部と、私の考えに違いはありますが、『初心者は株を買うな!』はオススメの本です。
そして、この本の内容を理解して納得できた人は、ワイン投資や海外不動産投資のリスクが小さくないことも分かるでしょう。

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