いつか子供に伝えたいお金の話

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つみたてNISA5年延長の詳細について、金融庁やメディアがあまり触れなかった理由を考察

つみたてNISA(と一般NISA)を5年間延長する法律が国会で成立しました。

昨年末、2037年に終了するはずだったつみたてNISAの投資可能期間が、5年間延長されて2042年までになる税制大綱が発表されました。んで、その内容を理解したとき、私は喜びました。

なぜなら、2018年の制度スタート時から利用している私のような投資家も、延長された5年の投資可能期間を利用できるというものだからです。

2037年までに投資してきた資金は20年の非課税期間を終える度に課税口座に払い出されるものの、2038年以降の5年間に新たな200万円(40万円×5年)の投資資金用の非課税枠が利用できるのです。

つみたてNISAの投資可能期間はいつはじめても最大20年だとばかり思っていた私は、これはグッドニュースだと思い、ツイッターで呟いたり、詳細をブログ記事にしたりしました。

【当該記事:つみたてNISA既利用者も投資可能期間5年延長…ジュニアNISA廃止も資金拘束撤廃…新NISA誕生


上記のネタに対しては、つみたてNISA利用者からはけっこう大きな反響がありました。

ところが、です。

その後、そのネタを取り上げた記事を書くブロガーはごく少数、専門家やメディアもしばらくは詳しく書きませんでした。

で、その「しばらく」の間、私は少しずつ不安になっていきました。



◎やっちまったのか!?


あれ、あれれ、俺の理解は間違ってたのかな?

もしかして、俺だけが何かを誤解して踊ってる??

盛大にやらかしたのかもしれない……謝罪の準備をしておこう。

・・ってなことを思い考え始めました。


私はアホですが、自分が絶対に正しいと思い込むほどまでには愚かではありません。

そして、少なくとも他の多くのブロガーさんがこのネタを取り上げないということは、自分の記事内容が信用されていないからなのだということは分かりました。

・・ただ、私もデタラメを書くことに快感を覚えるような性癖はありません。



◎金融庁がそこに触れなかった理由


前掲と文末のリンク先にも掲載した金融庁によるNISA関連税制改正説明会で配布された資料を見ながら、他の参加者と金融庁税制担当者の質疑応答を聞いているとき、私は両者の話が微妙に噛み合っていないことに気づきました。

どうやら、金融庁のいう「非課税枠」とは“同時に運用可能な最大元本金額”で、個人投資家の多くがいう「非課税枠」とは“最大入金可能金額”のようなのです。

利用者が非課税期間終了後に、非課税運用した元本を再度新規入金に使えば前者になるし、非課税運用した元本とは別の資金を新規入金に使うなら後者になるようなイメージでしょうか。

例えば、一般NISAだって払い出し後にロールオーバーせず課税口座で運用を続ける前提なら、非課税期間は5年でも制度(投資可能期間)が10年あるなら新規拠出額枠(最大入金可能金額)は1200万円(120万円×10年)※になります。しかし、NISAの資料ではどれも最大600万円(120万円×5年)としか表記されていません。おそらくそれが税制の世界では常識なのだと推測します。

※一般NISAは当初2年間は年間100万円だったので正確には1160万円ですが、分かりやすくするために単純化して書きました。


そもそもロールオーバーがないつみたてNISAの場合は、後者(最大入金可能金額)で考える個人投資家は少なくないと思います。2018年からつみたてNISAを始めた人の「非課税枠」が800万円(40万円×20年)なのか、1000万円(40万円×25年)なのかという話はそういうプロと庶民の前提(or 感覚?)のズレからきているように思いました。

ただ、お金に色はついていないため、この部分の前提が違っていると個人投資家同士やブロガー同士でも話が噛み合わなくなってしまうわけです。

つまり、金融庁がわざわざその部分を取り上げて説明しなかったのは、税制のプロからしてみたら、延長と言えばそんなことは当たり前の話だったからなのでしょう。

そこの両者の誤解というか前提のズレを解くべく、前掲と文末のリンク先の記事を書いたのですが、公式な詳細はどこにもなく、法律も成立前だったため、すぐに連投するほどには自信はありませんでした。



◎メディアがそこに触れなかった理由


また、メディアがそこの詳細について記事にしなかったことから、5年延長によって新規投資資金用の非課税枠が増える(=既存利用者の投資可能期間が延長される)ことを信用できなかった人もいたようです。

ひょっとしたら公開情報を見ただけでは理解できていない記者もいたかもしれません。投資可能期間と非課税期間の話は単純なようで意外とややこしいですし、つみたてNISAの投資対象商品を「低リスク商品」などと書き報じてしまう記者もいるようですから。


また、ごく少数の「分かっている記者」も、そこに注目が集まるとは(ニュース性があるとは)思っていなかったのかも。

つみたてNISA5年延長のニュースに注目する個人投資家は、おそらく既存の利用者くらいのもので、そういう人の関心ポイントを把握するためには、記者も興味や欲を持って制度を利用していないとアンテナが反応しないのでしょう。

それに実際、証券投資に興味があって実践している国民がどれだけいるのか。NISA口座開設者は総人口の10数%にすぎません。そのNISA利用者の、買付額で見れば2%弱、口座数で見ても10数%程度のつみたてNISAに関するニュースなんて末端of末端のネタなので、そもそも注目されていないというのが「メディアがそこに触れない」最大の理由だったのかもしれません※。

・・ただ、今はまだ少数派ですが、つみたてNISAの口座数や買い付け額などは現役世代を中心にじわじわと増えてきているので、今後どうなってくるのかは分からないと思いますけどね。

※上記のNISA利用者データは2020年3月末のものです。



◎正直ほっとしました


私は2014年にNISAがスタートする1年以上前から今日まで、その微妙な制度変更やら新制度への枝分かれやらマイナーチェンジの過程やらを興味を持って見てきたので、税制の考え方というものが少しだけ分かってきた気がしていました。自分でも、なんてマニアックな変態なんだろうと思います。

んで、調子に乗ってたまに記事を書いているわけですが、やはり簡単ではないですね。

金融庁で行われた個人投資家向けのNISA関連税制改正説明会の際に、資料を見て質疑応答を聞いている限り、どう考えてもつみたてNISA5年延長というのは新規投資資金枠の拡大だと思った私は、確認のつもりで「これって、そういうことですよね!?」と近くにいた日経新聞で一番分かっている記者と金融庁の税制担当者に訊きました。

すると、お二人ともごくごく自然かつ当たり前に、そういうことだ、と反応してくれました。

しかしながら、続報がほとんどなかったため、自分は間違っていたのではないかと思ったり、(恥ずかしいまでに自意識過剰すぎですが)自分があんなことを書いたばかりに、どこかからツッコミが入って、その後の制度運用の微調整で一人あたりの投資可能期間も最大20年にされやしまいかなどと、けっこう不安でした。

ただ、時間が経つにつれて、つみたてNISA5年延長の件の詳細が各所に見られるようになって、正直ホッとしています。


【参考関連記事:つみたてNISA既利用者も投資可能期間5年延長…ジュニアNISA廃止も資金拘束撤廃…新NISA誕生


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プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約19年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


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Yen SPA!:2020年夏号
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トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
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日経新聞:2013年7月3日
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