いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は買いなのか…デメリットはないの?

投信ブロガーが選ぶ fund of the year 2019・2020・2021・2022と4年連続で堂々の第1位に輝き、巷で「オルカン」なぞと呼ばれて一層注目が集まっているせいか、

「虫とりさんは、eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)をどう思いますか?」

というような意見を求められる機会が増えています(もちろん受賞前からもかなりありましたけどね)。

オールカントリ―


全世界株式への投資についての考えは何度も書いたことがあるので、冒頭のような質問をしてくださる方はおそらく当ブログを熱心に読んでくださっている方ではないのでしょう。

ただ、万年ネタ不足のブロガーにとって、その手の質問というか相談は非常にありがたいものでもあるので、今回はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)について書いてみます。

最初に結論を書くと「もしも自分の運用商品を株式100%にして、どれか一本に絞るなら、これにするかな」ってな感じです。つまり、かなり高評価ということ。



◎いい投資信託だと思いまっせ


私は色々と悩んだ末というか、惰性というか、で、

米国集中よりも世界分散(参考:米国株のみでなく世界分散をする理由

株式100%よりも他アセットへも分散(参考:株式100%はおそらく正しい

という、面白みがないっつうか男らしくない投資スタンスに落ち着いています。

ただ、上記のような決断を下した決め手の理由は、単なる好みや感覚によるものですし、個人的にはそれぞれ紙一重の差くらいの認識です(そもそも未来のことなんて分からないですし)。まあ、わずかな差だからこそ、他にちょっとくらい魅力を感じても今さら変える気にもならないのですが(参考:資産配分の決め方)。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、評判どおり欠点の少ないナイスな投資信託なので、自分の投資スタンスにフィットする人が活用するのは「大アリ」だと思います。

※参考記事:投資信託とは(今さら聞けないシリーズ)



◎eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とは


この投資信託は、MSCI All Country World Index(エムエスシーアイ・オール・カントリー・ワールド・インデックス)「配当込み、円換算」の指数に連動する投資成果を目指すもので、日本・先進国・新興国の株式3000銘柄くらいに投資してあります。時価総額ベースでは、世界の主要な株式をほぼ網羅していると言っていいでしょう。

つまり、この投資信託を一本買うだけで「世界中の株式に投資できる」ということです。

スリム202203


主なコストである信託報酬は年率で税抜0.103%と超格安。

しかも常に同種ファンドの最低水準コストを続ける方針なので、他社からより安い商品が出てもおそらく追随値下げしてくれるはず。また、純資産残高の拡大に応じて信託報酬を引き下げる「受益者還元型信託報酬制度」も導入しています(500億円の部分を0.0005%、1000億円以上の部分をさらにもう0.0005%引き下げ)。

同業者泣かせながら、個人投資家にはやさしい、非常にすぐれた金融商品だと思います。



◎パーツとして使うのか、これ一本にまとめるのか


さて、「eMAXIS Slim 全世界株式」と記載するたびにしつこくカッコ書きで「オール・カントリー」と書き添えてきましたが、それは「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」というものもあるからなのです。

読んで字のごとく「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」は、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」から日本の株式を除いたもの。

どちらのほうがいいかは、各人の投資スタンスによります。日本株式が不要だと思う人や、その比率を自分でコントロールしたい場合は「除く日本」のほうが使い勝手がいいはず。先進国と新興国もそれぞれに分かれたファンドを選ぶ人も多いですよね。

ただ、どうせ「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に投資するら、リスク資産はそれ一本だけにするという超シンプル投資の道具として使うのが気持ち良さそうだなぁ、なんて思ったりもします。一本に絞ったら、心がスッキリしそうですし。

このファンドと同じような全世界株式型の投資信託には、他にも「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」「たわらノーロード 全世界株式」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)」などもありますが、どれも低コストで(ほぼ時価総額比で)世界中の株式に投資するものなので、大差はないと思います。



◎全世界株式のETFもあるけど


また、低コストで世界中の株式に分散投資可能な金融商品としては、「VT」という略称で(この界隈では)有名な「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」という海外ETFや、MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信という国内ETFなどもあります。

しかしながら、ETFは分配金が余計だ(と私は思う)し、通常の売り買いも投資信託よりも面倒くさい。

つまり、自動買い付けや分配金の自動再投資が不可で、金額指定での買い付けもできず、さらに売買口数や「指値」やら「成行」やらを選択して、(原則的に)株式市場の開いている平日の昼間に売買を行う必要があるので、分かっている人が使うのは問題ありませんが、初心者にはあまりオススメできません。

海外ETFだと、さらに外貨の準備や税金関係の問題があり、より「マニア向け」になります。

※ETF(上場投資信託)とは、ものすごく簡単にいうと、株式のような取引方式で売買する投資信託のことです。



◎デメリットというか心配な点


「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を同種・類似商品と比べても、その商品性・運用・コンセプト・コスト構造などにおいて、デメリットはほぼ見当たりません。

ただし(当たり前のことなのですが)、株式100%のファンドなので、当然値動きは大きくなります。マーケットの状況やタイミングによっては、一時的に買値の半額以下になるような覚悟も必要です。また、基準価額の回復しない期間が数年に及ぶようなこともあるかもしれません。

家計的・精神的に、一時的・最終的に、どれだけの損失を抱えても大丈夫なのか、すなわち各自のリスク許容度に応じて、他の資産クラスのファンドと組み合わせるとか、別途充分に無リスク資産を確保しておくとか、そもそもこの投資信託は選択しないなどの様々な判断があり得るでしょう。

これ一本にまとめたらスッキリしそうだなどとも前述しましたが、それを実践するには自分のリスク許容度を熟知し、マーケットのこともそれなりに分かっている必要があると思います。

【関連記事:もしも投資を始めるときにオルカンに投資可能だったら


また、他に細かいことを言うと、消費税の問題はあるかもしれません。つまり、国内籍の投資信託の信託報酬(運用管理費用)には消費税がかかるので、今後増税が続いた場合、その影響をモロに受けることになります。その点、海外ETFの運用管理費用は日本の消費税増税の範囲外です。ひょっとしたら、それが後々効いてくる可能性はあります。

※ファンドの繰り上げ償還リスクが気になる場合はこの記事(ファンドを複数持って繰り上げ償還対策?)、ネット証券や運用会社の破綻が心配な場合はこの記事(証券会社や銀行が破綻したら?)あたりをご参照ください。



◎投信ブロガーが選ぶ fund of the year 4年連続第1位も納得(2019・2020・2021・2022)


自分なりに納得感があって、そこそこ低コストで、株式を中心に国内外に分散してあれば、資産形成のための投資なんてどうやってもいいと思います。が、自分にフィットするスタンスやリスクバランスを把握するのって意外と難しいんですよね。

金融商品を一つにまとめられるなんて楽ちんでGOODだと思う人もいれば、一つにしか投資できないなんてつまらないと感じる人もいます。ここ数年の好調相場しか経験したことがない人は、メンタル面も含めた自分の本当のリスク許容度は分かっていないかもしれません。

投資商品や投資方法よりも己を知ることのほうが大切だと私は思います(参考:投資対象よりも大切なもの…私のアブナイ性癖)。


・・と、いつものごとくゴチャゴチャ書いてしまいましたが、eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)は、資金の集まり具合も順調だし、ファイナルアンサーレベルのいい金融商品だと思いますよ。

世界経済の成長を前提とすれば、このファンドを保有しているだけでその恩恵をしっかり受けられるはずなので、自分の投資スタンスにフィットする人には最高のビークルとなり得るもののひとつでしょう。

もし10年前にこんな投資信託があったら、私の投資スタンスも違っていたかも(リスク資産はこれ一本にまとめちゃうとかにしてたりして)。

eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)は、楽天証券SBI証券など主要なネット証券で購入できます(ただし、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)でこのファンドが買えるのは、今のところマネックス証券松井証券だけです)。

まあ、今さら投資スタンスやメインの金融商品を変えるのはメンドクサイですけどね、私は。


【参考記事:インデックス投資継続のハードル…シンプルなことを続けるのは意外と難しい


にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
トウシル(楽天証券):2020年4月
日経ヴェリタス:2019年9月15日
FOUND:2019年8月
週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

このエントリーをはてなブックマークに追加

読みやすくてオススメの本

金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論

投資理論の基礎から実践まで学べる最高の教科書。→参考記事


改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門

投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本。→参考記事


お金は寝かせて増やしなさい

投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレ。→参考記事


半値になっても儲かる「つみたて投資」

積立投資そのものを分析・解説している興味深い本。→参考記事


生命保険の罠

生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊。→参考記事

オススメのネット証券

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金(イデコ)でもここを利用。投信積立や残高で楽天ポイントがザクザク。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーンも多し。→参考記事

SBI証券
管理人もメインで利用中の最大手。低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

セゾン投信
リスク資産を1本の投資信託で管理したい人にオススメ。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。→参考記事

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。

メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。

注意事項等

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

リンクや引用なら問題ありませんが、無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。



アクセスカウンター

にほんブログ村 投資ブログ 資産運用(投資)へ