2023
Jan
25
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は買いなのか…デメリットはないの?
投信ブロガーが選ぶ fund of the year 2019・2020・2021・2022と4年連続で堂々の第1位に輝き、巷で「オルカン」なぞと呼ばれて一層注目が集まっているせいか、
「虫とりさんは、eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)をどう思いますか?」
というような意見を求められる機会が増えています(もちろん受賞前からもかなりありましたけどね)。

全世界株式への投資についての考えは何度も書いたことがあるので、冒頭のような質問をしてくださる方はおそらく当ブログを熱心に読んでくださっている方ではないのでしょう。
ただ、万年ネタ不足のブロガーにとって、その手の質問というか相談は非常にありがたいものでもあるので、今回はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)について書いてみます。
最初に結論を書くと「もしも自分の運用商品を株式100%にして、どれか一本に絞るなら、これにするかな」ってな感じです。つまり、かなり高評価ということ。
「虫とりさんは、eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)をどう思いますか?」
というような意見を求められる機会が増えています(もちろん受賞前からもかなりありましたけどね)。

全世界株式への投資についての考えは何度も書いたことがあるので、冒頭のような質問をしてくださる方はおそらく当ブログを熱心に読んでくださっている方ではないのでしょう。
ただ、万年ネタ不足のブロガーにとって、その手の質問というか相談は非常にありがたいものでもあるので、今回はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)について書いてみます。
最初に結論を書くと「もしも自分の運用商品を株式100%にして、どれか一本に絞るなら、これにするかな」ってな感じです。つまり、かなり高評価ということ。
◎いい投資信託だと思いまっせ
私は色々と悩んだ末というか、惰性というか、で、
・米国集中よりも世界分散(参考:米国株のみでなく世界分散をする理由)
・株式100%よりも他アセットへも分散(参考:株式100%はおそらく正しい)
という、面白みがないっつうか男らしくない投資スタンスに落ち着いています。
ただ、上記のような決断を下した決め手の理由は、単なる好みや感覚によるものですし、個人的にはそれぞれ紙一重の差くらいの認識です(そもそも未来のことなんて分からないですし)。まあ、わずかな差だからこそ、他にちょっとくらい魅力を感じても今さら変える気にもならないのですが(参考:資産配分の決め方)。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、評判どおり欠点の少ないナイスな投資信託なので、自分の投資スタンスにフィットする人が活用するのは「大アリ」だと思います。
※参考記事:投資信託とは(今さら聞けないシリーズ)
◎eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とは
この投資信託は、MSCI All Country World Index(エムエスシーアイ・オール・カントリー・ワールド・インデックス)「配当込み、円換算」の指数に連動する投資成果を目指すもので、日本・先進国・新興国の株式3000銘柄くらいに投資してあります。時価総額ベースでは、世界の主要な株式をほぼ網羅していると言っていいでしょう。
つまり、この投資信託を一本買うだけで「世界中の株式に投資できる」ということです。

主なコストである信託報酬は年率で税抜0.103%と超格安。
しかも常に同種ファンドの最低水準コストを続ける方針なので、他社からより安い商品が出てもおそらく追随値下げしてくれるはず。また、純資産残高の拡大に応じて信託報酬を引き下げる「受益者還元型信託報酬制度」も導入しています(500億円の部分を0.0005%、1000億円以上の部分をさらにもう0.0005%引き下げ)。
同業者泣かせながら、個人投資家にはやさしい、非常にすぐれた金融商品だと思います。
◎パーツとして使うのか、これ一本にまとめるのか
さて、「eMAXIS Slim 全世界株式」と記載するたびにしつこくカッコ書きで「オール・カントリー」と書き添えてきましたが、それは「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」というものもあるからなのです。
読んで字のごとく「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」は、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」から日本の株式を除いたもの。
どちらのほうがいいかは、各人の投資スタンスによります。日本株式が不要だと思う人や、その比率を自分でコントロールしたい場合は「除く日本」のほうが使い勝手がいいはず。先進国と新興国もそれぞれに分かれたファンドを選ぶ人も多いですよね。
ただ、どうせ「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に投資するら、リスク資産はそれ一本だけにするという超シンプル投資の道具として使うのが気持ち良さそうだなぁ、なんて思ったりもします。一本に絞ったら、心がスッキリしそうですし。
このファンドと同じような全世界株式型の投資信託には、他にも「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」「たわらノーロード 全世界株式」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)」などもありますが、どれも低コストで(ほぼ時価総額比で)世界中の株式に投資するものなので、大差はないと思います。
◎全世界株式のETFもあるけど
また、低コストで世界中の株式に分散投資可能な金融商品としては、「VT」という略称で(この界隈では)有名な「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」という海外ETFや、MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信という国内ETFなどもあります。
しかしながら、ETFは分配金が余計だ(と私は思う)し、通常の売り買いも投資信託よりも面倒くさい。
つまり、自動買い付けや分配金の自動再投資が不可で、金額指定での買い付けもできず、さらに売買口数や「指値」やら「成行」やらを選択して、(原則的に)株式市場の開いている平日の昼間に売買を行う必要があるので、分かっている人が使うのは問題ありませんが、初心者にはあまりオススメできません。
海外ETFだと、さらに外貨の準備や税金関係の問題があり、より「マニア向け」になります。
※ETF(上場投資信託)とは、ものすごく簡単にいうと、株式のような取引方式で売買する投資信託のことです。
◎デメリットというか心配な点
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を同種・類似商品と比べても、その商品性・運用・コンセプト・コスト構造などにおいて、デメリットはほぼ見当たりません。
ただし(当たり前のことなのですが)、株式100%のファンドなので、当然値動きは大きくなります。マーケットの状況やタイミングによっては、一時的に買値の半額以下になるような覚悟も必要です。また、基準価額の回復しない期間が数年に及ぶようなこともあるかもしれません。
家計的・精神的に、一時的・最終的に、どれだけの損失を抱えても大丈夫なのか、すなわち各自のリスク許容度に応じて、他の資産クラスのファンドと組み合わせるとか、別途充分に無リスク資産を確保しておくとか、そもそもこの投資信託は選択しないなどの様々な判断があり得るでしょう。
これ一本にまとめたらスッキリしそうだなどとも前述しましたが、それを実践するには自分のリスク許容度を熟知し、マーケットのこともそれなりに分かっている必要があると思います。
【関連記事:もしも投資を始めるときにオルカンに投資可能だったら】
また、他に細かいことを言うと、消費税の問題はあるかもしれません。つまり、国内籍の投資信託の信託報酬(運用管理費用)には消費税がかかるので、今後増税が続いた場合、その影響をモロに受けることになります。その点、海外ETFの運用管理費用は日本の消費税増税の範囲外です。ひょっとしたら、それが後々効いてくる可能性はあります。
※ファンドの繰り上げ償還リスクが気になる場合はこの記事(ファンドを複数持って繰り上げ償還対策?)、ネット証券や運用会社の破綻が心配な場合はこの記事(証券会社や銀行が破綻したら?)あたりをご参照ください。
◎投信ブロガーが選ぶ fund of the year 4年連続第1位も納得(2019・2020・2021・2022)
自分なりに納得感があって、そこそこ低コストで、株式を中心に国内外に分散してあれば、資産形成のための投資なんてどうやってもいいと思います。が、自分にフィットするスタンスやリスクバランスを把握するのって意外と難しいんですよね。
金融商品を一つにまとめられるなんて楽ちんでGOODだと思う人もいれば、一つにしか投資できないなんてつまらないと感じる人もいます。ここ数年の好調相場しか経験したことがない人は、メンタル面も含めた自分の本当のリスク許容度は分かっていないかもしれません。
投資商品や投資方法よりも己を知ることのほうが大切だと私は思います(参考:投資対象よりも大切なもの…私のアブナイ性癖)。
・・と、いつものごとくゴチャゴチャ書いてしまいましたが、eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)は、資金の集まり具合も順調だし、ファイナルアンサーレベルのいい金融商品だと思いますよ。
世界経済の成長を前提とすれば、このファンドを保有しているだけでその恩恵をしっかり受けられるはずなので、自分の投資スタンスにフィットする人には最高のビークルとなり得るもののひとつでしょう。
もし10年前にこんな投資信託があったら、私の投資スタンスも違っていたかも(リスク資産はこれ一本にまとめちゃうとかにしてたりして)。
eMAXIS Slim 全世界株式(イーマクシス・スリム・オール・カントリー)は、楽天証券
まあ、今さら投資スタンスやメインの金融商品を変えるのはメンドクサイですけどね、私は。
【参考記事:インデックス投資継続のハードル…シンプルなことを続けるのは意外と難しい】

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