2013
Aug
14
恐怖!駐車場詐欺(後編)【私の生活圏に侵入した詐欺師たちシリーズ・その3-2】
前回の記事(恐怖!駐車場詐欺(前編)【私の生活圏に侵入した詐欺師たちシリーズ・その3-1】)のつづき
~前回のあらすじ~
出張先での休憩時間、公園の大きな駐車場で昼寝をしていた私のもとに、ふらりと現れた白髪混じりのおっさん。
会話を続けるうちに、おっさんが詐欺師であることを察知するも、彼が自分に売りつけようとする「いいモノ」が何であるのかを確認してみないと、怒りと好奇心が収まらなくなってしまった私。
彼は私の車の助手席に乗らないと「いいモノ」を見せないと言うので、ついに助手席のドアを開けてしまったが・・
(初めてこのページにたどり着いたかたは、お時間が許すのであれば、前回の記事からお読みになることをオススメします。)
~前回のあらすじ~
出張先での休憩時間、公園の大きな駐車場で昼寝をしていた私のもとに、ふらりと現れた白髪混じりのおっさん。
会話を続けるうちに、おっさんが詐欺師であることを察知するも、彼が自分に売りつけようとする「いいモノ」が何であるのかを確認してみないと、怒りと好奇心が収まらなくなってしまった私。
彼は私の車の助手席に乗らないと「いいモノ」を見せないと言うので、ついに助手席のドアを開けてしまったが・・
(初めてこのページにたどり着いたかたは、お時間が許すのであれば、前回の記事からお読みになることをオススメします。)
◎詐欺師だと気づきながら助手席に乗せる
おっさんは、助手席に乗り込んできてドアを閉めました。
普段はあまり意識しませんが、運転席と助手席の距離は、赤の他人同士にはかなりの至近距離です。
その段階で、私はハッとしました。
ついさっき分析したおっさんと自分との戦闘能力差の判断(前回の記事参照)は、あくまでもステゴロ(素手によるケンカ)を想定してのものです。
もしも、おっさんがスタンガンや刃物等の武器を出してきたら、この至近距離ではステゴロの戦闘能力なんかは、たいして役には立ちません。そこまで想定できなかった自分の愚かさを恨みました。
私は、おっさんが武器を出してきた場合に、武器を押さえるのと鼻面に裏拳を打ち込むのを両手で同時に行ってから、ああしよう、こうしようと、様々なパターンをイメージしました。
しかし、おっさんは、戦闘の気配など微塵も見せずに、満面の笑みで「じゃあ、お見せしますよ」と言いながら、ゆっくりとセカンドバックを開けました。
◎つ、ついに!!
出てきたのは、縦20cm・横10cm・高さ2cmくらいの木箱でした。
武器が出てくることを警戒して、殴りかかる気満々だった私は拍子抜けしました。
そして、その木箱からは、ヘビ皮だかワニ皮だかの財布のようなものが出てきました。
「ほぉ~ら、高級札入れ!これはですね、ホントにいいモノですよ。お店で買えば確実に10万円以上します」
「こうきゅうさついれ?何すか、コレ??」
「これは、ほんっとにほんっとに、特上なモノで、若い人には人気があるんですよぉ、ほら、いいでしょ!」
その時点で、「いいモノ」が何であるかを確認するという私の目的はあっけなく達成されました。
「はい、分かりました。要りません(キリッ」
「へっ?」
「僕にとっては、全然いいモノじゃないので要りません!」
「いやいや、お兄さん!これはとてもいいモノで10万円以上する…」
「だから、要らないって!」
「んでも、これは若い人には人気のあるモノで10万円以上…」
「要らねぇんだよっ!」
おっさんは、完全に私をダマせていると思っていたのか、壊れたラジカセのように「10万円以上」というフレーズをリピートしてきました。粘りさえすれば、再び私の心が動く(騙せる)と勘違いしているようだったので、
「だから、俺はそんなモン要らないって言ってるの!アンタが俺の手持ちの金の有無をしつこく聞いてくる段階で、俺はアンタが詐欺師さんだってことには気づいてたわけよ。んでもね、どんなモノが出てくるのか見たいから騙されたフリをしてただけ。だから、これ以上俺に対して、その100円ショップで売ってるようなへんちくりんな財布を売りつけようとしても無駄。ただ、ここまで付き合ってくれたから、このまま黙って帰るんなら、なんの手出しも通報もしないで見逃してやるから、黙って帰れよ、んぉ?」
と、巻き舌テイストでキッパリと言って、引導を渡しました。
おっさんは、フリーズしました。
池から間違えて飛び出してしまった鯉のような目をして固まっていました。
しかし、しばしのフリーズを経た後、それでもおっさんは「いや、でも、これはとてもいいモノで、10万円以上…」と言い始めたので、
「うるせー!!そんなセコいことして金稼いでねえで、ちゃんと働け!!これ以上ガタガタ言ったら、血まみれすんぞ!コラ!」
と、昼ドラに出てくる債権者の手先のチンピラが、弱い債務者相手にイキがるシーンのような使い古された陳腐な啖呵を切って、おっさんを威圧してみました。
◎詐欺師のおっさん撃退!一丁あがり!と思いきや・・
さすがに、そのおっさんも、これ以上私と同じ車内にいたら面倒だと思ったようで、「そうですかぁ?残念ですねぇ。ホントにいいモノなのに。なんせ10万円以上するんですよ」などと、しつこくつぶやきながら車から出て行きました。
そして、車内から睨みつけている私をチラチラと振り返りながら、隣にあった自分の車に乗って逃げるようにどこかに行ってしまいました。
車内にひとり残った私は、それまでに起こった出来事を頭の中で整理してみました。
こんな詐欺に騙される人間なんているのだろうか?
詐欺だと気づかなくても、あんな財布に1万円も出すアホがいるのだろうか?
あのおっさんは、なんであそこまで手持ちの現金の有無にこだわったのだろうか?
・・ん、まてよ、そういえば人気(ひとけ)のない公園の駐車場なのに、さっきから一台の軽自動車がゆっくりと走り回っているなぁ。あれは、なんなんだろう?
そこまで考えたところで、急に嫌な予感がして、私は後ろを振り返りました。
そこで初めて気づいたのですが、私の車のすぐ後ろにはフルスモークのワゴン車が停まっていました。
そして、その運転席には金髪ロン毛の男、助手席には木刀を持った筋骨隆々のスキンヘッドの男が、ニヤニヤしながら座っていました。
私は焦りました。
冷や汗MAXです。
しかし、その焦りを決して悟られてはならないとも思いました。
私は、ワゴン車の金髪とスキンヘッドの顔を見て、必死で余裕の表情をつくり、平静を装って、ニヤリと笑いかけました。
そして、彼らに見えるようにわざとらしく携帯電話を取り出し、大げさな動きで3つの番号をタッチするような動き(110番をするような素振り)を見せつけました。
すると、金髪とスキンヘッドの表情は強張り、私を睨みつけながら車を発進させ、駐車場から出て行きました。
それに続いて、駐車場内をグルグルと回っていた軽自動車も出て行きました。
どちらの車もナンバープレートは折り曲げられていて、読み取ることはできませんでした。
◎マジで危なかった(冷や汗)
推測することしかできませんが、もしも私が財布を取り出し、そこにそれなりの金銭があることを悟られたら、金髪とスキンヘッドが私の車を両サイドから攻めて、恐喝するつもりだったのだと思います。左右から武器を持って脅しをかけられてしまえば、私はどうすることもできなかったでしょう。
駐車場をゆっくりと巡回していた軽自動車は、おそらく、警察や一般人が来ないかどうかを監視するための見張り役です。
そして、最初の人の良さそうな詐欺師のおっさんは、ターゲットを油断させるための役だと思われます。
私は弱そうな詐欺師のおっさん一人と対峙してやりあっていると思っていましたが、恐喝要員含めて少なくとも4人以上の詐欺(恐喝?)グループにハンティングされかかっていたのです(ワゴン車の後部座席に、もっと仲間がいた可能性もありますし、見張り巡回用の軽自動車に乗っていたのが1人だったのかどうかも分かりません)。
財布だけを売りつけて終わりにするパターンも彼らのシナリオのひとつではあったのかもしれませんが、あれだけの人数でハンティングを試みていたことを考えると、車ごと奪い取るくらいのメインシナリオがあった可能性すら考えられます(私は、見かけ上、かなり高そうな車に乗っていました)。
おっさんが私の(現金の)手持ちをしつこく確認してから車に乗り込んできたことは、仲間に対する(Goサイン的な)何らかの合図だった可能性が高いです。
また、私が声を荒げておっさんを威圧したことで、おっさんとしては「こいつ(私)は、力で脅しても面倒臭そうだ」と判断して、車を降りて、仲間になんらかの合図を送ったのではないかと思っています。
推測の域を出ない回顧ではありますが、久しぶりに生命の危険すら感じた出来事でした。
詐欺だと悟った時点で、車の鍵を閉めてエンジンをかけるべきであったと反省しています。
調子に乗って騙されたバカを演じ、「この詐欺師をギリギリまでひきつけてやろう」などと考えた己の愚かさを、私は恥じなければなりません。
私が怒鳴りつけたことで相手は撤退の判断を下したのだと思ってはいますが、実際にはたまたま駐車場内に一般人が入り込んできたから撤退しただけの可能性だってあります。
そもそも、知らない土地の人気(ひとけ)のないところで、窓を全開に開けて昼寝をしたのもマズかったでしょう。
いや~、危なかった。
繰り返しになりますが、私は色々な意味で猛省しなければなりません。。

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