2013
Aug
08
恐怖!駐車場詐欺(前編)【私の生活圏に侵入した詐欺師たちシリーズ・その3-1】
前々回の記事(振り込め詐欺編)・前回の記事(寿司詐欺編)に続いて、今回も私の生活圏をすり抜けて行った詐欺師について書きます。
今回がシリーズ最終回です(前後編ありますが)。
この記事シリーズは直接的にはお金と関係のない雑談ですが、この世のほとんどの詐欺はお金と密接な関わりがあることも事実なので、どなたかにとって何かの参考になったらいいなぁ、とも思っています。
今回は、「駐車場詐欺」についてイカせてもらいます。
「駐車場詐欺」なんて名称があるのかどうかは知りませんが、適切な名前が思い浮かばなかったので、テキトーにつけてみました。
この事件は、前回・前々回の記事の詐欺や詐欺未遂に比べると、危険度がかなりアップします。
また、詐欺師のターゲットが私ひとりであったことも前回(ターゲットは職場の同僚複数名)・前々回(ターゲットは私の母親)と異なっているので、詳細でリアリティ溢れる回顧が可能です(長くなりすぎても読みにくいと思うので、なるべく簡潔にまとめるよう努力はしますが・・)。
あれも、今から数年前のことです。
今回がシリーズ最終回です(前後編ありますが)。
この記事シリーズは直接的にはお金と関係のない雑談ですが、この世のほとんどの詐欺はお金と密接な関わりがあることも事実なので、どなたかにとって何かの参考になったらいいなぁ、とも思っています。
今回は、「駐車場詐欺」についてイカせてもらいます。
「駐車場詐欺」なんて名称があるのかどうかは知りませんが、適切な名前が思い浮かばなかったので、テキトーにつけてみました。
この事件は、前回・前々回の記事の詐欺や詐欺未遂に比べると、危険度がかなりアップします。
また、詐欺師のターゲットが私ひとりであったことも前回(ターゲットは職場の同僚複数名)・前々回(ターゲットは私の母親)と異なっているので、詳細でリアリティ溢れる回顧が可能です(長くなりすぎても読みにくいと思うので、なるべく簡潔にまとめるよう努力はしますが・・)。
あれも、今から数年前のことです。
◎出張先での昼休みに・・
関東のとある地方都市に車で出張した私は、午前中の仕事を終えて、昼飯を食べたあと、午後の仕事に向けての鋭気を養うべく、大きな運動公園の駐車場で、束の間のシエスタ(昼寝)を楽しんでいました。
春のうららかな日差しの下で、車の窓を開け放ち、リクライニングシートを限界まで倒したまま、「毎日の仕事の合間にも、こんなシエスタタイムがあれば、仕事のパフォーマンスも上がるのになぁ」などと思いつつ、スペインをうらやんだり、目覚ましアラームがこのまま永遠に鳴らないことを祈ったりしながら、私は、えもいわれぬ心地良いまどろみの中にいました。
そして私は、夢の中へ・・・
夢の中では、小学生の頃の私が、休み時間に捕まえてきた数匹のハサミムシとヤスデ(閲覧注意)を、隣の席の女子の筆箱の中にこっそりと投入して、授業開始時にその女子がそれに気づいて絶叫し、担任の若い女の先生もそれを見て絶叫し、クラス中がドン引きするなか、私が笑い転げながらガッツポーズを決めているという昔よくあった光景がリプレイされていました(参考記事→私の武勇伝・楽しいクリスマス会)。
通常、その後、騒ぎを聞きつけてやってきた怖い生活指導系の男の先生が、私を教室から引きずり出してビンタを喰らわせるというパニッシュメントタイム(お仕置きの時間)があるのですが、夢はそこに移行する前の至福の時間でした。
◎迷子のおっさん??
そんな楽しい夢の中で、誰かの声が聞こえてきました。
「えぇ~と、ここはどこなのかなぁ~」
「ちょっと、道が分からないなぁ~」
夢のストーリーが過去の思い出どおりに継続するのであれば、怖い先生に襟首を掴まれて教室から引きずりだされる展開になるはずですが、そのとき私の聞いた声は、怒声ではなく、もっとソフトで穏やかなものでした。
「えぇ~と、どうやって帰ればいいのかなぁ~」
その穏やかな声が、現実世界のものであることに気づくのに少々時間がかかりましたが、私はゆっくりと夢から覚醒しました。
目覚めた私が、開け放っていた車の窓の外を見ると、50歳前後の人の良さそうな白髪混じりのおっさんが、ぶつぶつと独り言をいいながら、私の車の近くをうろついていました。
おっさんは、道に迷い、帰り道を探していることを匂わせるような独り言をつぶやいていたので、私は車の中から「どうしたんですか?道にでも迷ったんですか?」と声をかけました。
おっさん「はい、ちょっと道が分からなくなってしまいまして・・。お兄さん、地元の方ですか?」
私「いや、地元の人間じゃないんですけど、ここから国道や高速道路への行き方くらいなら分かりますよ」
おっさん「あ、そうですか!これはありがたい!!」
そんなやりとりをして、「困っている人を助けるのは気持ちがいいなぁ」なんてことを私は思いました。
◎こりゃあ、詐欺だな・・
するとおっさんは、嬉しそうに笑顔で話を続けました。
おっさん「いやぁ、実は今日、出張で仙台からこちらに来たんですよ。それでね、これから帰るところだったんです。慣れない土地に来ると、方向音痴な私はいつも迷子になっちゃって・・」
私「はぁ」
おっさん「実は今日ね、取引先の社長さんから、とってもいいモノをもらっちゃってね。私は使わないと思うんだけど、お兄さんは興味あるかなぁ」
私「はぁ」
おっさん「若い人は喜んでくれると思うんですよ。とってもいいモノだけど、私の歳じゃもう使わないから、お兄さんに譲ろうかな。ま、私も帰りの高速代くらいになれば充分だと思ってるんですよ。いや~、とってもとってもいいモノなんですよぉ」
私「はぁ」
未だ寝ぼけまなこな私が、座ったまま車内の運転席にいて、車外で滑らかなトークを展開するおっさんと会話しているような状況でした。
迷子のおっさんを助けるべく会話が始まったはずでしたが、話はなんかだかよく分からない方向に流れました。ただ、寝起き直後の私は、話が横道にそれていることに違和感を持つことなく、雑談の延長だと思ってそのまま聞きました。
おっさん「ホントは10万円以上するモノなんですけどね、お兄さんになら1~2万でいいかな」
私「はぁ」
おっさん「ところで、お兄さん手持ちはありますか?」
私「・・は??」
おっさん「いま、1~2万円くらいなら持ってますか?」
私「・・・・・・」
この段階で、ようやく私は、これが詐欺師によるアプローチだということに気づきました。
◎で、俺に何を売りつけるつもりなんだろう?
人気(ひとけ)のない公園の広い駐車場で、道を尋ねるという切り口で接点を持つのは、詐欺のキッカケとしてはごく自然で無難なものなのでしょう。昼寝している人間をターゲットにして、かつターゲットの側から話しかけさせることまでが作戦のうちだったのかどうかは判断がつきかねましたが、私はターゲットに選ばれたことに無性に腹が立ちました。
その場で怒鳴りつけてやろうかとも思いましたが、詐欺のターゲットにされるなんざ、せっかくの希少な機会なので、おっさんが私を騙して売りつけようとしている「いいモノ」とやらが何なのかを確かめてから、ブチ切れてやろうと決めました。
いまにして思えば、詐欺だと気づいたその時点で毅然と断り、エンジンをかけて車を発車させていればよかったのですが、あのときの私は、詐欺師をギリギリまで引きつけてから、ファイヤーしようと思ってしまったのです。
私「ところで、そのいいモノとやらは何なんですか?」
おっさん「いや、お兄さん、手持ちはありますか?」
私「だから、いいモノってのは、何なんですか?」
おっさん「いやいや、お兄さん、手持ちがなければ意味ないですからね。手持ちはありますか?」
私「だーかーらぁ、そのいいモノってのは、一体何なんですかっ!!??」
おっさん「手持ちがなければ、見せてもねぇ・・」
「いいモノ」を確認してから、「おめえになんか騙されねーよ!バーカ!」くらい言ってやろう思って、私は必死に「いいモノ」を見せてもらおうとしました。
一方、おっさんは、投げたルアーに私がガッツリ食いついて「いいモノ」に興味を示しまくっていると思っているのか、全力でジラしてきます。
私はその「いいモノ」が何なのかさえ分かってしまえば、目的が達成されてスッキリするので、ついに言ってしまいました。
「手持ちくらいありますよ!」と。。
◎好奇心に負けて車のドアを開けてしまう・・
するとおっさんは、ニヤリとして、「じゃあ」と言い、隣に停めてある車のドアを開けてセカンドバックのようなものを持ち出してきました。
それまで気づきませんでしたが、おっさんの車は、私の車のすぐ隣に停めてあったのです。それで、わざわざ車から降りて独り言をつぶやいて私をカモるアプローチをかけてきたのか、用意がいいなぁ、なんてことを思いました。
セカンドバックを持ち出してきたおっさんは、
「ここじゃあ、なんなんで、お兄さんの車の助手席に乗せてもらってもいいですか?」
と言って、私の車に乗り込んでこようとしました。
「そこで見せてくれればいいじゃないですか。見せてくださいよ!」
と私は言いましたが、
「いやぁ、ここじゃ、なんですから、ね、ほら」
とおっさんは言います。
同じようなやりとりを2~3セット繰り返しましたが、おっさんは私の車に乗り込まなければ、絶対に「いいモノ」を見せてくれそうにありません。
そこで私は、冷静におっさんと自分の戦闘能力の差の予測分析を行いました。
50歳前後の迫力のかけらもない詐欺師のおっさんは、推定身長163cm・推定体重50kg、猫背ぎみで細い腕に薄い胸板。
私のスペックの詳細をここに書くことは控えますが、おそらく世間の成人男性の9割以上とはガチでやりあっても負けない自信があります。プロの格闘家や巨漢の力自慢との比較ならいざ知らず、普通の成人男性よりもはるかに貧弱そうな白髪混じりのおっさんにヤラれることはあり得ないだろう、という結論に達しました。
そして、私は、
「じゃあ、どうぞ」
と言って、助手席のドアを開けました。
・・私の頭の中では、身の危険を知らせる警報サイレンが鳴り響いていました。
つづく→衝撃の後編へ

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