2013
Aug
02
寿司詐欺【私の生活圏に侵入した詐欺師たちシリーズ・その2】
前回の記事(振り込め詐欺編)に続いて、今回も私の生活圏をすり抜けて行った詐欺師について書きます。
この記事シリーズは直接的にはお金と関係のない雑談ですが、この世のほとんどの詐欺はお金と密接な関わりがあることも事実なので、どなたかにとって何かの参考になったらいいなぁ、とも思っています。
今回は、「寿司詐欺」についてイカせてもらいます。
ご存知ですか?「寿司詐欺」って??
「すしすし詐欺」などとも呼ばれ、ネット検索をかければ大量にヒットします。
既にご存知のかたもいるとは思いますが、意外とご存じないかたも多いようなので、あのときの刺激的な体験を書いてみることにします。
あれは、いまから数年前のことです。
昼休みの職場に、一人のおっさんがやってきました。
この記事シリーズは直接的にはお金と関係のない雑談ですが、この世のほとんどの詐欺はお金と密接な関わりがあることも事実なので、どなたかにとって何かの参考になったらいいなぁ、とも思っています。
今回は、「寿司詐欺」についてイカせてもらいます。
ご存知ですか?「寿司詐欺」って??
「すしすし詐欺」などとも呼ばれ、ネット検索をかければ大量にヒットします。
既にご存知のかたもいるとは思いますが、意外とご存じないかたも多いようなので、あのときの刺激的な体験を書いてみることにします。
あれは、いまから数年前のことです。
昼休みの職場に、一人のおっさんがやってきました。
◎寿司屋のオヤジ現る?
人の良さそうなおっさんは、手荷物のようなものを持ってオフィスにふらりと現れて、
「こんにちは~。スンマセンです~。○○寿司の者なんですが、ちょっとよろしいでしょうかぁ~」
と、恐縮しながら控えめに、しかし、オフィスの隅々までよく通る声で口上を述べ始めました。
「○○寿司」なるお寿司屋さんの店名は聞いたことがあったかどうか定かではありませんでしたが、ごく当たり前に言われたので、同僚の誰もが近所にあるどこかの寿司屋だろうと思いました。
私も、誰かが出前でも頼んだんだろうな、と、なんの疑いも持たずにおっさんを見ました。
角刈りの胡麻塩頭に白い調理服姿の、いかにも普通のお寿司屋さんっぽい風貌でした。
おっさんは、
「実は、すぐご近所の○○さん宅から出前の注文を受けたのですが、2人前の注文を息子が20人前と聞き間違えてしまいまして、18人分が余ってしまいました。この特上寿司、本来ならひとつ2000円なのですが、捨てるのも忍びないので、どうでしょう?ひとつ500円でいいので、買ってくださるかたはいらっしゃいませんか?」
というではありませんか!
◎2000円の特上寿司が500円だと!?
ちょうどお昼どきで、お腹のすいている時間帯、しかも2000円の特上寿司を500円で食べられるとは、なんてありがたい話でしょう。
私にはその寿司屋のおっさんが神に見えました。
私はその日、同僚とランチ外出する約束があったので、その「特上寿司」を買ってもおいしく食べきれるかどうか分からず、でも買わないともったいないような気もして、一人で葛藤していました。
葛藤している私をよそに、同僚たちは次々と「特上寿司」を買い始めました。
「オレ、買った!」
「オレもだ!」
「アタシも買おうかしら、人助けだもんね」
「そうだよ、人助けだ。困ったときはお互い様だよ」
などと、衝動的に欲望の赴くままに買う者や、意味不明な理屈をつけて特上寿司への食欲を正当化する者が、落ちたアイスに群がるアリ(閲覧推奨)のように、次々とおっさんのもとに集まり始めました。
◎立ちはだかる管理職の壁
ところがそのとき、そのアリたちの前に管理職の厚い壁が立ちはだかりました。
そのオフィス内でもっとも権力のある管理職の一人が、
「ちょっと待ってください!お寿司屋さん、あなた、受付は通しましたか?受付を通さずに直接オフィスに来てもらっては困ります!」
と言うのです。
まさに正論。さすが管理職!
様々なルールがある職場において、ルールに基づかない行為があってはなりません。これは社会人としての常識。もっといえば、法治国家たる日本の治安の根幹に関わりもする大切な原則です。
「特上寿司」を買おうかどうか激しく迷っている私は、同僚に先を越されることなく、暫し考える猶予与えてくれた管理職に感謝しました。
ところが、ご馳走を前にしたアリたちの暴走は、管理職の権力を持ってしても止めることができませんでした。
◎崩壊する管理職の壁と生き物のモーメンタム
彼ら(アリ)は、管理職の制止の言葉など聞こえないふりをして、次々と500円玉を寿司屋のおっさんに渡して「特上寿司」をゲットし、ご満悦の表情で各自の机に戻っていきます。
彼ら(アリ)の表情は、12月25日の朝にサンタクロースからのプレゼントをあける直前の幼稚園児のように期待に満ち溢れていました。
一旦動き出した生き物のモーメンタム(勢い)は、そんな簡単には止まりません。
アリの群れは、王蟲(オーム)の突進へと変わり、あっという間に「特上寿司」は売り切れてしまいました。
あろうことか、王蟲たちの暴走を止めていたはずのナウシカ(管理職)までもが、「じゃあ、オレも!」などと言って、「特上寿司」を購入していました!!
私は、たった今、自分の口から吐いた正論をいとも簡単に反故にする管理職の人間臭さに親しみを感じると同時に、なにかの機会に私がこの管理職からルール破りの叱責を受けたときには、このときの話を持ち出して反論してやろうなどと反抗期の中学生のようなことを考えて、自分が「特上寿司」を買えなかったことへの後悔の炎を鎮めようとしました。
しかし、それでも「特上寿司」を買えなかった私の自分自身の決断力のなさへの憤怒の炎は消えません。
ち、ち、チクショー!俺も特上寿司食べたかったよぉ~!!!
◎あれ?あれれ??
「なんだ、コレ?」
気の抜けたような同僚の声に、私は我に帰りました。
声の方向に目を向けると、「特上寿司」の包みを解いた同僚が、夜中の森でライトを当てられたフクロウのように呆然とした表情でフリーズしています。
「特上寿司」は、かっぱ巻き4つ・かんぴょう巻き4つだけで、箸も醤油もない並以下レベルのものでした。
アリたちは皆、無表情で無言のまま醤油もつけずに「特上寿司」を食べていました。
買ってしまった以上、食べないと悔しかったのでしょう。
18名の同僚が人形のように感情のない表情のまま「巻物」にパクついている光景はなんともシュールなものでした。見ている私までもが人形になったような錯覚に陥りました。
(あとから聞いた話によると、かっぱ巻きとかんぴょう巻きはパサパサだったそうです。)
◎寿司詐欺!!
そこで私は、パソコンでグーグル先生に「寿司 詐欺」と質問をしてみました。
すると、出てくる!出てくる!
私の職場と同じようなケースの「寿司詐欺」の被害が日本全国津々浦々であるようです。
事前にこのことを知っていれば、買う前におっさんに「特上寿司」の包みを開かせて、
「これは、寿司詐欺だぁ~!!」
などと叫んで、職場のスーパーヒーローになれたというのに、実に残念です。
(検索後、私は、若かりし頃50m走6秒フラットだった自慢の快足で、おっさんを追いかけて探しましたが、彼はどこにもいませんでした。ひょっとしたら、おっさんは、50m走が5秒台だったのかもしれません。)
ただまぁ、実際に皆が「特上寿司」を食べてしまったことや被害額考えると、笑ってしまう程度の詐欺ですし、詐欺として立件するほどのものなのかどうかもよく分かりません。
集団心理や詐欺手口を学ぶという点において勉強になった事件ですが、確実に笑いのとれる雑談ネタとしてもこの事件は大いに私の役に立っています。
皆さんのオフィスにも、人の良さそうな胡麻塩頭の白い板前着を纏ったおっさんがやってくるかもしれませんよ(ニヤリ)
恐怖!駐車場詐欺【私の生活圏に侵入した詐欺師たちシリーズ・その3】へ
※期待している人なんていないでしょうが、次回の記事はシリーズ最高傑作になることをお約束いたします。

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