いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(岩城みずほ著)を読んだ感想・レビュー

著者の岩城みずほさんからいただきました(恐縮にござりまする)。




外貨建ての保険商品を徹底的に「切る」一冊です。

ファイナンシャルプランナーとしてお金の相談業務を行っている著者のところには、よく分からないままに高手数料の外貨建て保険を買ってしまっている相談者がたくさん訪れるそうです。

そんな現状を何とかしたいとの思いからなのでしょうか、岩城さんは今回もまた、多くの敵を作りそうな本を書いています。


【※同著者の敵を作りそうな別の本のレビュー:お金のことワカラナイ女子必読!『腹黒くないFPが教えるお金の授業』(岩城みずほ著)を読んだ感想



◎金融商品販売現場のリアル


岩城さんはこの本の中で、セールスの現場で何が起こっているのかを白日の下に晒します。

資産形成の必要性を説く営業トークで、外貨建て保険がバンバン売られているというのは恐ろしいことですよね。

実際に受けた相談を基にしているのでリアリティがありました。

著者自身が銀行に出向いて、保険商品の手数料を確認すべく「パンフレットをください」と言ったら、「保険は加入年齢によって積立利率や保険料が変わってきますので、個別にご提案書を作成させていただいています」と言って奥の席に通され、結局、手数料は開示されなかった、なーんてエピソードも盛り込まれていました。

セールス側も外貨建て保険などの商品性を正しく理解しておらず、「よくわかっていない人が、さらにわかっていない人に売っている状況のように見える」と岩城さんは述べていますが、きっとその通りなのでしょう。

販売員にも悪気はない場合が多いのかもしれません。

保険ではありませんが、私の親戚も金融機関のヒドい営業を受けていたことがあり、同じような感想を持ったことがあります。

【参考記事:銀行の営業が親戚のおばさんに、ボッタクリの投資信託を…



◎読みやすい本ではない


この本では、保険や金融などについて、それぞれの専門家たちの見解を引用しながら、読者に対して「保険なら安全とういうイメージは本当でしょうか?」と問いかけ続けます。

主に外貨建て保険を徹底解剖して、その仕組みや手数料を分析・解説するのですが、妥協なく説明してあるので、内容はけっこう難しいかもしれません。

MVA(market value adjustment)やら標準利率やら予定利率やら。為替リスクに時間価値、金利差と為替レートと購買力平価の話、さらには付加保険料率やら保険料の決まり方など、すべてをきちんと理解するためにはそれなりの好奇心・読解力・数学的思考能力が必要だと思います。

安易に外貨建て保険に加入するような人の多くは、面倒くさいことを考えたくない人だと思うので、そういう人がこの本をわざわざ手に取ってくれるかどうかは微妙なところです。これを読んで面白いと感じる人はかなりマニアックでしょう。

でも、この本を読んで理解できない人は、外貨建て保険なんて複雑な金融商品を買ってはイカンです。一読して、そんなことを思ってしまいました。

一方、この本を読んで理解したうえで、為替や保険会社の信用リスクなどまで分かる人は、外貨建て保険を利用したっていいと思います。為替動向によっては円建て商品よりもはるかにお得になるケースがあるのも事実です。ただまぁ、その場合は普通に投資したほうがずっと効率はいいということに気づくと思いますが。。

やっぱり金融商品はシンプルなほうが分かりやすいので、保険には万が一の保障をしてもらうだけのほうがスッキリしますよね。

ってか、私が投資による資産形成を始めたのも、「その気づき」がきっかけでした。

【参考記事:投資を始めたきっかけ (その1その2その3その4)】



◎保険って儲けるためにあるの?


そもそも、相互扶助の仕組みを提供しているはずの保険会社が儲けまくっているというのは、やはり何かおかしいと思います。また、契約者側が儲けを目的に保険を利用するというのも。

保険商品を提供する側(保険会社)も利用する側(契約者)も、そもそも「保険」とは何のためにあるのか、ということをよく考えたほうがいいのではないでしょうか。


・・と、調子に乗って、だいぶ身の丈を超えたことを書いてしまいましたが、この本は、投資に関するマニアックな話は理解しているけど、保険には全く無頓着だった、というような人に向いているような気がしました。

この本の内容は難しいです。つまりそれは、外貨建て保険というものが、とても複雑で難解なものであるということです。


【参考】私の保険全般に関する考えを一本の記事にまとめたもの
↓↓↓
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)



にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
トウシル(楽天証券):2020年4月
日経ヴェリタス:2019年9月15日
FOUND:2019年8月
週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

このエントリーをはてなブックマークに追加

読みやすくてオススメの本

金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論

投資理論の基礎から実践まで学べる最高の教科書。→参考記事


改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門

投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本。→参考記事


お金は寝かせて増やしなさい

投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレ。→参考記事


半値になっても儲かる「つみたて投資」

積立投資そのものを分析・解説している興味深い本。→参考記事


生命保険の罠

生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊。→参考記事

オススメのネット証券

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金(イデコ)でもここを利用。投信積立や残高で楽天ポイントがザクザク。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーンも多し。→参考記事

SBI証券
管理人もメインで利用中の最大手。低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

セゾン投信
リスク資産を1本の投資信託で管理したい人にオススメ。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。→参考記事

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。

メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。

注意事項等

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

リンクや引用なら問題ありませんが、無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。



アクセスカウンター

にほんブログ村 投資ブログ 資産運用(投資)へ