2019
Apr
27
『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(岩城みずほ著)を読んだ感想・レビュー
著者の岩城みずほさんからいただきました(恐縮にござりまする)。

外貨建ての保険商品を徹底的に「切る」一冊です。
ファイナンシャルプランナーとしてお金の相談業務を行っている著者のところには、よく分からないままに高手数料の外貨建て保険を買ってしまっている相談者がたくさん訪れるそうです。
そんな現状を何とかしたいとの思いからなのでしょうか、岩城さんは今回もまた、多くの敵を作りそうな本を書いています。
【※同著者の敵を作りそうな別の本のレビュー:お金のことワカラナイ女子必読!『腹黒くないFPが教えるお金の授業』(岩城みずほ著)を読んだ感想】

外貨建ての保険商品を徹底的に「切る」一冊です。
ファイナンシャルプランナーとしてお金の相談業務を行っている著者のところには、よく分からないままに高手数料の外貨建て保険を買ってしまっている相談者がたくさん訪れるそうです。
そんな現状を何とかしたいとの思いからなのでしょうか、岩城さんは今回もまた、多くの敵を作りそうな本を書いています。
【※同著者の敵を作りそうな別の本のレビュー:お金のことワカラナイ女子必読!『腹黒くないFPが教えるお金の授業』(岩城みずほ著)を読んだ感想】
◎金融商品販売現場のリアル
岩城さんはこの本の中で、セールスの現場で何が起こっているのかを白日の下に晒します。
資産形成の必要性を説く営業トークで、外貨建て保険がバンバン売られているというのは恐ろしいことですよね。
実際に受けた相談を基にしているのでリアリティがありました。
著者自身が銀行に出向いて、保険商品の手数料を確認すべく「パンフレットをください」と言ったら、「保険は加入年齢によって積立利率や保険料が変わってきますので、個別にご提案書を作成させていただいています」と言って奥の席に通され、結局、手数料は開示されなかった、なーんてエピソードも盛り込まれていました。
セールス側も外貨建て保険などの商品性を正しく理解しておらず、「よくわかっていない人が、さらにわかっていない人に売っている状況のように見える」と岩城さんは述べていますが、きっとその通りなのでしょう。
販売員にも悪気はない場合が多いのかもしれません。
保険ではありませんが、私の親戚も金融機関のヒドい営業を受けていたことがあり、同じような感想を持ったことがあります。
↓
【参考記事:銀行の営業が親戚のおばさんに、ボッタクリの投資信託を…】
◎読みやすい本ではない
この本では、保険や金融などについて、それぞれの専門家たちの見解を引用しながら、読者に対して「保険なら安全とういうイメージは本当でしょうか?」と問いかけ続けます。
主に外貨建て保険を徹底解剖して、その仕組みや手数料を分析・解説するのですが、妥協なく説明してあるので、内容はけっこう難しいかもしれません。
MVA(market value adjustment)やら標準利率やら予定利率やら。為替リスクに時間価値、金利差と為替レートと購買力平価の話、さらには付加保険料率やら保険料の決まり方など、すべてをきちんと理解するためにはそれなりの好奇心・読解力・数学的思考能力が必要だと思います。
安易に外貨建て保険に加入するような人の多くは、面倒くさいことを考えたくない人だと思うので、そういう人がこの本をわざわざ手に取ってくれるかどうかは微妙なところです。これを読んで面白いと感じる人はかなりマニアックでしょう。
でも、この本を読んで理解できない人は、外貨建て保険なんて複雑な金融商品を買ってはイカンです。一読して、そんなことを思ってしまいました。
一方、この本を読んで理解したうえで、為替や保険会社の信用リスクなどまで分かる人は、外貨建て保険を利用したっていいと思います。為替動向によっては円建て商品よりもはるかにお得になるケースがあるのも事実です。ただまぁ、その場合は普通に投資したほうがずっと効率はいいということに気づくと思いますが。。
やっぱり金融商品はシンプルなほうが分かりやすいので、保険には万が一の保障をしてもらうだけのほうがスッキリしますよね。
ってか、私が投資による資産形成を始めたのも、「その気づき」がきっかけでした。
↓
【参考記事:投資を始めたきっかけ (その1・その2・その3・その4)】
◎保険って儲けるためにあるの?
そもそも、相互扶助の仕組みを提供しているはずの保険会社が儲けまくっているというのは、やはり何かおかしいと思います。また、契約者側が儲けを目的に保険を利用するというのも。
保険商品を提供する側(保険会社)も利用する側(契約者)も、そもそも「保険」とは何のためにあるのか、ということをよく考えたほうがいいのではないでしょうか。
・・と、調子に乗って、だいぶ身の丈を超えたことを書いてしまいましたが、この本は、投資に関するマニアックな話は理解しているけど、保険には全く無頓着だった、というような人に向いているような気がしました。
この本の内容は難しいです。つまりそれは、外貨建て保険というものが、とても複雑で難解なものであるということです。
【参考】私の保険全般に関する考えを一本の記事にまとめたもの
↓↓↓
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)

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