いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』(後田亨・永田宏 共著)を読んだ感想・レビュー

著者の後田亨さんからいただきました(恐縮にござりまする)。




この本は、後田亨さんと永田宏さんの共著なのですが、どの部分をどちらの著者が執筆したのかさっぱり分からないほどに趣旨も論調も一貫していました。

民間の保険におすすめのものはなく、最強の医療保険があるとしたらそれは健康保険だというような主張を、様々な根拠を見せながら論じている一冊です。



◎もと保険屋の人が書いた本


私はこれまでに後田(うしろだ)さんの著書は何冊も読んでいて、その基本的な考え方には、けっこう影響を受けています。

実際に大手の生命保険会社やその代理店で営業をしていた後田さんは、「元保険会社の中の人」として、多くの敵を作りながらも保険業界の裏話(不都合な真実)を白日の下に晒し続けています。

後田さんのこれまでの本の、当ブログの代表的なレビューは以下の記事あたりでしょうか。

『生命保険は「入るほど損」?!』(後田亨著)を読みました…これはヤバい!生命保険業界への挑戦状


今作でも……

「アクチュアリー」と呼ばれる、生命保険会社や損害保険会社で保険料の算定などを行う保険数理の専門家によると、売れ筋の医療保険の場合、保険料には、保険会社の諸経費に使われるお金が、見込みで30%ほどは含まれているそう

……といった感じで、随所にぶっちゃけた内容が書かれています。



◎主な内容


今回の『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』では、私たちが長生きする可能性や「人生100年時代」という言葉がどれだけリアルなものなのかの根拠を示しつつ、進歩していく医療技術や刻々と変化する医療・介護現場の現状に、基本的には契約した時点の約款に書かれたことしか保障してくれない民間の保険がどれだけ頼りになるのかを徹底検証しています。


著者の言葉や、著者が取材した専門家の言葉のうち、エッセンスだと思われるものを以下にいくつか抜粋してみます。

・保険をよく知るひとほど保険に入らない

・今の保険の多くは、老いに対して我々が抱いている漠然とした不安心理に付け込んだもの

・民間医療保険は、しょせんは健康保険に寄生した商売に過ぎない

・「国はあてにならないから、民間の保険で備える」というような考え方は、誤解というより愚かだ


・・ってな感じで、いつものことながら、刺激的な言葉が並んでいて、個人年金、学資保険、終身保険、養老保険、変額保険、外貨建て保険などの貯蓄性の保険は、大体どれもバッサリとやっています。

ただ、なんでもかんでも不要とまでは言いません。

状況に応じて最低限必要だと思われる保険商品を、会社名や商品名を挙げながら紹介してもいます。

例えば終身保険についても、相続税対策のためなら使い道はあると書いてありますし、生命保険料控除による税負担軽減効果だけを狙う明治安田生命のあの商品なんかも紹介されています。


で、何よりも、老後の病気などには『健康保険』が一番だとして、公的保険がどれだけ頼りになるかをしっかり解説しています。

当ブログでも、以前に健康保険について書いたことがあるので、参考までにリンクを張っておきましょう。

健康保険とは【交通事故による診療には健康保険が使えない?】



◎中高年向けの一冊かな


趣旨としては、ここまでに書いたとおりなのですが、今回の著書の特徴は、変わりゆく世の中の現状に、既にある民間の保険がどれだけ有効なのかを細かく検証していくところにあると思うので、ややマニアックな一冊だともいえます。

新社会人や保険ビギナーさんよりも、自分や親の介護について考えているような世代に向いているような気がしました。

介護保険より役に立つ現実的方法は延命治療をしないこと、なーんて書いてあったりするので、読み手によっては刺激が強いですし、新設された介護医療院に入ることは「入院」となるのかどうかというような話は、若い世代にとってはピンとこないかもしれません。

何も考えずに(保険屋さんに勧められるがままに)民間の色々な保険に加入していて、毎月数万円が飛んでいくような状態の中高年の方に是非ともご一読いただきたいと思いました。


【参考】私の保険全般に関する考えを一本の記事にまとめたもの
↓↓↓
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)



にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
トウシル(楽天証券):2020年4月
日経ヴェリタス:2019年9月15日
FOUND:2019年8月
週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

このエントリーをはてなブックマークに追加

読みやすくてオススメの本

金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論

投資理論の基礎から実践まで学べる最高の教科書。→参考記事


改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門

投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本。→参考記事


お金は寝かせて増やしなさい

投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレ。→参考記事


半値になっても儲かる「つみたて投資」

積立投資そのものを分析・解説している興味深い本。→参考記事


生命保険の罠

生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊。→参考記事

オススメのネット証券

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金(イデコ)でもここを利用。投信積立や残高で楽天ポイントがザクザク。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーンも多し。→参考記事

SBI証券
管理人もメインで利用中の最大手。低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

セゾン投信
リスク資産を1本の投資信託で管理したい人にオススメ。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。→参考記事

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。

メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。

注意事項等

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

リンクや引用なら問題ありませんが、無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。



アクセスカウンター

にほんブログ村 投資ブログ 資産運用(投資)へ