2019
Apr
13
『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』(後田亨・永田宏 共著)を読んだ感想・レビュー
著者の後田亨さんからいただきました(恐縮にござりまする)。

この本は、後田亨さんと永田宏さんの共著なのですが、どの部分をどちらの著者が執筆したのかさっぱり分からないほどに趣旨も論調も一貫していました。
民間の保険におすすめのものはなく、最強の医療保険があるとしたらそれは健康保険だというような主張を、様々な根拠を見せながら論じている一冊です。

この本は、後田亨さんと永田宏さんの共著なのですが、どの部分をどちらの著者が執筆したのかさっぱり分からないほどに趣旨も論調も一貫していました。
民間の保険におすすめのものはなく、最強の医療保険があるとしたらそれは健康保険だというような主張を、様々な根拠を見せながら論じている一冊です。
◎もと保険屋の人が書いた本
私はこれまでに後田(うしろだ)さんの著書は何冊も読んでいて、その基本的な考え方には、けっこう影響を受けています。
実際に大手の生命保険会社やその代理店で営業をしていた後田さんは、「元保険会社の中の人」として、多くの敵を作りながらも保険業界の裏話(不都合な真実)を白日の下に晒し続けています。
後田さんのこれまでの本の、当ブログの代表的なレビューは以下の記事あたりでしょうか。
↓
『生命保険は「入るほど損」?!』(後田亨著)を読みました…これはヤバい!生命保険業界への挑戦状
今作でも……
「アクチュアリー」と呼ばれる、生命保険会社や損害保険会社で保険料の算定などを行う保険数理の専門家によると、売れ筋の医療保険の場合、保険料には、保険会社の諸経費に使われるお金が、見込みで30%ほどは含まれているそう
……といった感じで、随所にぶっちゃけた内容が書かれています。
◎主な内容
今回の『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』では、私たちが長生きする可能性や「人生100年時代」という言葉がどれだけリアルなものなのかの根拠を示しつつ、進歩していく医療技術や刻々と変化する医療・介護現場の現状に、基本的には契約した時点の約款に書かれたことしか保障してくれない民間の保険がどれだけ頼りになるのかを徹底検証しています。
著者の言葉や、著者が取材した専門家の言葉のうち、エッセンスだと思われるものを以下にいくつか抜粋してみます。
・保険をよく知るひとほど保険に入らない
・今の保険の多くは、老いに対して我々が抱いている漠然とした不安心理に付け込んだもの
・民間医療保険は、しょせんは健康保険に寄生した商売に過ぎない
・「国はあてにならないから、民間の保険で備える」というような考え方は、誤解というより愚かだ
・・ってな感じで、いつものことながら、刺激的な言葉が並んでいて、個人年金、学資保険、終身保険、養老保険、変額保険、外貨建て保険などの貯蓄性の保険は、大体どれもバッサリとやっています。
ただ、なんでもかんでも不要とまでは言いません。
状況に応じて最低限必要だと思われる保険商品を、会社名や商品名を挙げながら紹介してもいます。
例えば終身保険についても、相続税対策のためなら使い道はあると書いてありますし、生命保険料控除による税負担軽減効果だけを狙う明治安田生命のあの商品なんかも紹介されています。
で、何よりも、老後の病気などには『健康保険』が一番だとして、公的保険がどれだけ頼りになるかをしっかり解説しています。
当ブログでも、以前に健康保険について書いたことがあるので、参考までにリンクを張っておきましょう。
↓
健康保険とは【交通事故による診療には健康保険が使えない?】
◎中高年向けの一冊かな
趣旨としては、ここまでに書いたとおりなのですが、今回の著書の特徴は、変わりゆく世の中の現状に、既にある民間の保険がどれだけ有効なのかを細かく検証していくところにあると思うので、ややマニアックな一冊だともいえます。
新社会人や保険ビギナーさんよりも、自分や親の介護について考えているような世代に向いているような気がしました。
介護保険より役に立つ現実的方法は延命治療をしないこと、なーんて書いてあったりするので、読み手によっては刺激が強いですし、新設された介護医療院に入ることは「入院」となるのかどうかというような話は、若い世代にとってはピンとこないかもしれません。
何も考えずに(保険屋さんに勧められるがままに)民間の色々な保険に加入していて、毎月数万円が飛んでいくような状態の中高年の方に是非ともご一読いただきたいと思いました。
【参考】私の保険全般に関する考えを一本の記事にまとめたもの
↓↓↓
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)

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