貸株についての考えを整理しておく

株を貸す?なんじゃそりゃ??……十数年前、初めて「貸株(かしかぶ)」なる言葉を聞いたとき、私はそう思いました。

はてな


貸株(レンディング)をすると、毎月チャリンチャリンと小金(こがね)がもらえます。

株主優待の権利を逃さずに利用することもできるし、ちゃんと配当金相当額も受け取れます。また、貸し出し中であっても、好きなときに売却可能です。

ETF(上場投資信託)も貸し出し可能で、それを利用することで間接的にマーケットメイクにも役立つらしいです。

なんだか「やらなきゃ損」なニオイさえ漂う「貸株」ですが、利用するならリスク面についても理解しておく必要があるでしょう。



◎貸株とは


貸株サービスとは、自分の保有している株式を証券会社に貸し、その時価に応じた金利を受け取る、というものです。

貸株金利は年率換算でだいたい0.1%程度のものが多く、銘柄によってはもっと高い場合もあります。

証券会社も、我々個人投資家から借りた株式を、さらに機関投資家などに貸し出して貸株料を受け取ります。んで、機関投資家はその株式を信用取引に利用したりするのですが……まあ、そこまでは必ずしも理解しなくてもいいかもしれません。

要するに「貸株」とは、証券会社に保有中の株式を貸すことで、毎月いくばくかの金利を受け取れるサービスのことです。



◎意外と柔軟で使い勝手も悪くない


銀行の普通預金と同列で比べる類のものではないことを断ったうえで、敢えてその金利を比べてみると、普通預金よりは貸株のほうが金利は高い場合がほとんどです。

利用している証券会社によって微妙にサービス内容が異なる場合はあるものの、事前に設定をしておけば、株主優待の権利を逃さないようにできますし、配当金相当額※を受け取ることもできます。

また、貸し出し中であっても、いつでも売却可能です。さらに、ETF(上場投資信託)を「貸株」することもでき、海外ETFを貸し出せる証券会社もあります(ETFを貸株するとマーケットメイカーさんも仕事がしやすくなるそう)。

なかなか柔軟で便利なサービスだと思います。

※配当金相当額は雑所得となり、配当控除の対象外



◎貸株サービスの注意点


ここまで書いたことを読み返してみると、株式(ETFを含む)を保有しているのであれば、貸株を利用しない手はないような気さえしてきますが、もし利用するのなら、これだけは絶対に認識しておけ!ということがひとつだけあります。

貸株中の株式は、証券会社の信用リスクを負うという点です。

信用リスクとは、会社が倒産し、貸していたものも返ってこなくなる危険のことですね。つまり、万が一、貸株サービスを提供している証券会社が潰れてしまったら、貸し出し中の株式やETFがパーになっちゃう可能性があるということです。

証券会社には、顧客の資産を分別管理することが法令で求められているのですが、貸株中の資産はその限りではない、ということです。投資者保護基金※の対象からも外れています。

※投資者保護基金とは、破綻した証券会社が分別管理をしていなくても、一人当たり1,000万円まで補償してくれる制度



◎何のために分散投資をしているのか


例えば、この界隈の人がよく利用していると思われる大手・準大手のネット証券(SBIとか楽天?)が倒産する可能性は、私にはよく分かりません。

おそらく低いだろうと思います。主要な証券会社が潰れる確率と自分が死ぬ確率なら、自分が死ぬ確率のほうがずっと高いような気がします。

ただ、資産形成のためにETFを主力に国際分散投資をしているようなケースの人が、そのETFをすべて貸株にして、どこかの証券会社の信用リスクをモロに負うというのは、私には本末転倒のような気がしてしまいます。

ポートフォリオのすべてが、ある証券会社の社債と同じような信用リスクを負うことになってしまうのですから。

何のために分散投資をしているのか、という話ですな。


・・もちろん、趣味や遊びで個別株式投資をしている人が、その一部で貸株サービスを利用するのは問題ないでしょう(私も利用することはあります)。ETFの貸株にしても、ちゃんとリスクを理解して利用するのなら、他人がどうこういう話ではありません。

ま、どんなサービスも、その最悪のケースのリスク面に目を向けてから、納得したうえで利用したほうがいいですよねって、当たり前の話でした。


※……と、散々、理屈を振り回したのですが、実は、私が積み立てをしているような普通のインデックスファンドも、その中身の株式の大部分を貸株(レンディング)に回していたりもする(しかもそれは通常トラッキングの上振れ要因になる)ので、まあ、ゴチャゴチャ言ってもどうにもならない面もあるんですけどね。


【関連記事→投資信託を販売している証券会社や銀行が破綻したら?(投資初心者が投資信託に持つ疑問シリーズ)


にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事





プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど

※小説も書いてみたり
1作目:『迫力』
2作目:『7月のニット帽』



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約14年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
トウシル(楽天証券):2018年12月
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
日経ヴェリタス:2018年6月3日
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月23日
日経電子版:2017年12月25日
日経ヴェリタス:2017年12月10日
日経ヴェリタス:2017年10月29日
BIG tomorrow:2017年11月号
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
BIG tomorrow:2017年7月号
東証マネ部!・R25:2017年3月
R25・東証マネ部!:2017年1月
BIG tomorrow:2016年7月号
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイスポ!:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年8月30日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

最近の人気記事ランキング

【第1位】
セゾン投信を投資初心者にオススメする理由


【第2位】
テレビ出演の影響


【第3位】
個人向け国債(変動10年)は最強の無リスク資産…メリット・デメリットを確認しておこう!


【第4位】
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)


【第5位】
確定拠出年金ってなによ?…メリット・デメリット・注意点は?…企業型と個人型の違いやオススメの証券会社は?


【第6位】
私の武勇伝


【第7位】
持ち家か賃貸か…住宅について自分の考えを整理しておく


【第8位】
小説を書いてみました


【第9位】
賃貸契約更新時の値下げ交渉(更新料は支払わなくてもよい?)


【第10位】
関東近郊、宿泊してよかったオススメの天然温泉旅館5選


【第11位】
預金封鎖にはどのような対策をすればいいのか?


【第12位】
ローン返済と投資のどちらを優先すべきか…併用はありなの?


【第13位】
入院時の差額ベッド代は支払わなくてもよい?


【第14位】
投資信託や株式の元本割れ(含み損)が気になってモヤモヤしている人へ


【第15位】
なぜ投資をするのか


【第16位】
2018年6月末のアセットアロケーションとポートフォリオ(と今年下半期の投資と考察)


【第17位】
ドルコスト平均法は有利なの?不利なの?…積立投資と一括投資のメリットとデメリットの話


【第18位】
子供が友達のメガネを破壊…早速、個人賠償責任保険を請求してみた


【第19位】
インデックス投資を成功させるための3つのポイント


【第20位】
で、自分は現行NISAと積立NISAのどっちを利用するのかという話


全記事一覧

月別アーカイブ

広告

アクセスカウンター



当ブログ内検索

オススメのネット証券

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金(イデコ)でもここを利用。
これから投資をスタートするならここをメインにする。投信積立や残高で楽天ポイントがザクザク。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーンも多し。
当ブログ内参考記事

SBI証券
管理人も楽天証券と同時に利用中の最大手。
低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

セゾン投信
リスク資産をバランスファンド1本で管理したい人にオススメ。
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。
当ブログ内参考記事

オススメの保険比較サイト

価格ドットコムで最安値圏を調べ、自分がどれだけぼったくられているのか確認してみることをお勧めします。
保険商品は、自分に必要なものを最低限、なるべく低コストで選びたいものですね。
当ブログ内参考記事

読みやすくてオススメの本

老後貧乏にならないためのお金の法則
資産運用から、住宅・保険・年金・相続・贈与までのすべてを網羅したマネー本です。
当ブログ内参考記事


貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント
投資理論の基礎を学ぶのに適した本だと思います。
当ブログ内参考記事


【改訂版】一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門
投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本です。
当ブログ内参考記事


半値になっても儲かる「つみたて投資」
積立投資そのものを分析・解説している興味深い本です。
当ブログ内参考記事


お金は寝かせて増やしなさい
投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレにします。
当ブログ内参考記事


生命保険の罠
生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊です。
当ブログ内参考記事

注意事項

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

また、リンクや引用なら問題ありませんが、ブログ記事の無許可・無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。






お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。
メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。



にほんブログ村 投資ブログ 資産運用(投資)へ 
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。
リンク先には人気の関連ブログがたくさんあります。