いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

NISA(少額投資非課税制度・日本版ISA)をどう利用するか

つみたてNISAと一般NISAは2024年から一本化され、年間投資可能額は拡大、非課税期間と投資可能期間は恒久化されます。

【参考記事:恒久化・拡充されたNISAの詳細!どう使うか(金融庁オンライン説明会を終えて)


※以下の記事内容は2023年までの話になります。


年間100万円までの投資に対する利益が非課税となるNISA(ニーサ)、すなわち少額投資非課税制度(日本版ISA)が、来年1月からスタートします(2016年より120万円に拡大)。

(NISAの概要と詳細については、今回の記事では触れないので、ご存じない方は上記リンク先をご参照ください。他にもグーグル先生に聞けば、いくらでも教えてくれるでしょう。)

この制度をどのように利用するかについての記事を書かねばなぁ、と思いつつも、制度の詳細がまだ流動的に見えたり、各証券会社の取扱商品がハッキリとは分からない状況だったので、どうも書く気になれない状態が続いていました。

また、今年3月にファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんが主催してくださった金融庁の担当者を交えての勉強会&意見交換会があったのですが、それをもとにshimoさんが制度の概要とクセを見事にまとめた記事を書いているので、自分が書くことは特にないと思ったことも筆(タイピング?)が進まなかった理由のひとつです(笑)。
   
ところが先日、ちょっとしたキッカケがあり、ここらでちょいと思っていることを書いて整理しておこうかな、という気になりました。
(そのキッカケとは、日本経済新聞社からの取材です。※7月24日追記)



◎利用しないのも有力な選択肢


そもそも、現状の制度内容を見て、冷静に投資判断をしようとすると、NISAを利用しないという選択肢も非常に有力です。

5年間の非課税期間終了時の時価が取得原価となってしまうことや、損失があっても損益通算できないことなどを考えると、5年後にマイナスになる可能性があるのなら、NISAなんか利用せずに従来の特定口座で運用していた方が良かったということにもなり得ます。

いくら期待リターンの高い投資対象であっても、5年後に必ずプラスになっているとは限りません。むしろ期待リターンの高いアセットクラスであるほど、価格の変動幅は大きくなりやすいものです。

個人投資家として、ダウンサイドのリスクを事前にキチンとコントロールしようと思うなら、制度を利用しないというのも合理的な判断だと考えています。

確実なメリットが見込めない現状のままの制度内容であれば、私は他人にNISAの利用を勧めたりはしないと思います。非課税期間が恒久化されない限りは、親や嫁などの家族にも勧めるつもりはありません※1

(公社債や元本保証商品への投資も制度の対象になる可能性はあるようですが、仮にそうなっても、昨今の金利状況では非課税メリットが小さすぎるような気がしますし、そもそも市場へのリスクマネーの供給拡大というNISAのもうひとつの目的の足を引っ張ってしまうかもしれません。)



◎で、私はどうするのか


ただし、自分自身はどうするのかというと、ちょっと話は別です。

一般家庭の直接金融による資産形成をサポートする優遇税制が日本で制定されるのは、非常にありがたく意義深いことだと思っています。だから、より良い形にしていくためには、実際に制度を利用しながら改善要望を出した方が説得力はあるのかな、なんてことを考えています(お金の運用に、「男らしさ」みたいなものは必要ないので、他人にはオススメしませんが・・)。

現状の制度に不満はありますが、誰も使わなければ恒久化どころか制度そのものが消えてしまいかねません。利用者がいてこそ(資金が集まってこそ)、制度の改善が現実的なものになる気もします。


んで、この記事のメインテーマであるNISAの個人的利用方法ですが、

その大前提は、

NISAを利用するからといって、自分の投資スタンスは変えないこと

です。

NISAをギャンブル的に面白く使ってみるという選択肢ももちろんありますが、真面目な資産形成のツールとして使うならば、既に確立している投資スタイルを変えることが賢明な判断だとは私には思えません(利用しない選択肢だってあるのですから)。

実際のところ、いま私の投資している主なリスク資産の金融商品は3つだけです(「eMAXISバランス8資産均等型」と「SMTグローバル株式インデックス」と「野村インデックスF新興国株式」・参考記事→私のアセットアロケーション)。

当然私は、NISAもなるべくシンプルに利用したいと考えています(参考記事→理想のリスク資産管理条件)。

そうなると、ポートフォリオの金額的なバランスを考えても、最もコアな部分のeMAXISバランス(8資産均等型)をNISAにあてることしか選択肢はなさそうです(マイルールでは、先進国と新興国の2つの株式ファンドは、波に乗ったり(順張り)、網を張ったり(逆張り)、リバランスしたりと、動かしたいときに機動的に動かすためのものなので、NISAには向かないと考えています)※2

制度をフル活用するのなら、14年間に10回買って(多い人は100回以上!)10回売る(損益確定する)ことになるので、(それだけの期間があれば)期待リターンがプラスでキチンと分散されたバランスファンドならば(内部での自動リバランス機能もあるし)、トータルではプラスになる可能性の方が高く、非課税メリットを享受できそうにも思えます(確実ではありませんよ)。

ただ、上記の利用方法は、あくまでも私個人にとって最適化したものにすぎないので、NISAを利用する際は、各人の状況と自己責任において判断なさって欲しいと思います。



◎その他、興味深い利用方法


NISAの利用方法には、他にも色々な選択肢がありますが、参考情報として、これまでに見たり聞いたりしたものの中で興味深かったものを3つほど列挙してみます。


①期待リターンの高いものに投資して、5年間のうちに利益の出ているタイミングで売却する
→自分にはタイミングを計るのが難しそうな気がしています。また、売却したあとでさらに大きく値上がりしたら悔しそうです。


②「こりゃあ、大暴落だな」と感じる機会があったときにのみ利用する
→メインの投資はそれまでどおりの口座でおこなって、チャンスと思えるときにだけNISAを利用すると!・・なるほど、面白そうですし、やってみたい衝動に駆られますが、私の資産形成としての投資スタイルではないので我慢します。


③リート(不動産投資信託)に投資する
→勉強会の際に、私が金融庁の制度設計者さんに「あなただったら何を買いますか?」と質問したところ、「リートが面白そうだから、リートを買うと思う」との答えが返ってきました。

工夫された利用方法というわけではありませんが、制度設計者の回答という点が興味深いのでここに挙げました。当時(今年3月頃)、私にはリート価格が上がり過ぎに見えたので、懇親会の席で「今みたいな価格でもリートを買いますか?」と、さらに質問をたたみかけましたが、それでも制度設計者さんは「買います」と答えました(ちなみのこの設計者さんは、個人投資家の状況をよく理解しており、当然金融にも詳しく、とてもクレバーなカンジの方でした)。

利益のほとんどを分配する仕組みだからということでしょうか。・・ただ、必ずしも高分配や高配当のものが良いわけではないと思います(悪いわけでもありませんが・・)。5年後もしくは途中の損益確定時のトータルな損益がポイントでしょう。


①~③は、考えたり検討してみると面白いと思って列挙しただけで、推奨しているワケではありません。



◎とにかく恒久化を!


さてと・・
NISAに対しての細かい要望や理想を言い出せばキリがありませんが、
とにかく非課税期間を恒久化することが、この制度が本物になるための最低条件
でしょう。

そうなれば、他人にもオススメでき得る制度になると、個人的には考えています。


いまとなってはうろ覚えですが、3月に金融庁の担当者さんから聞いた話では、とりあえず法案を通過させるためには有限の制度でないと難しかったそうです。いきなり恒久制度を提案しても、そもそも法案が通らず、制度化されない可能性が大きすぎたということでした(10年間の枠が確保できただけでも、かなりの成功だったとか・・)。

そして当然、今後も恒久化するべく全力を尽くすつもりだと話していました。

何もないところに、とりあえずは制度を作ってから、少しずつ形を整えるというのは、個人的には納得できる理屈です。何事も、最初から完璧な形で完成させようとしても、実現の可能性が低くなるだけだったりしますからね。

NISAが今後どのようになってゆくのか、楽しみながら見守りたいと思っています。


(投資判断は、自己責任においてお願いします。)

【その後のNISA関連記事】
日経新聞のNISA特集に掲載されました(2013年7月3日)
日経マネー(NISA特集)に掲載されました(2013年8月21日)
第 6 回 eMAXISブロガーミーティングに参加しました(2013年11月15日)

【制度変更情報】「つみたてNISA」ってなんだ?…金融庁の制度担当者に聞いてみました


※1 それでも、NISAをキッカケにリスク資産への投資をしてみようと思う初心者さんがいるならば、分散の効いたバランスファンドあたりを積み立ててみるのが無難だと思っています。
(そもそも元本保証の預貯金しか知らないような人がリスク資産への投資を始めるのは、けっこうハードルが高いとは思いますが・・)

※2 積立なのか、一括なのか? 既に積み立ててある分を一旦解約して買い直すのか、新たに資金を投入するのか? ・・などの細かい点についてはもう少し考えるつもりです。


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関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
トウシル(楽天証券):2020年4月
日経ヴェリタス:2019年9月15日
FOUND:2019年8月
週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

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