2017
Dec
24
運用金額も公開!『お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ著)を読んだ感想・レビュー…インデックス投資の分かりやすい教科書だな、これは
この界隈の最大手ブログ『梅屋敷商店街のランダムウォーカー』の管理人・水瀬ケンイチさんが本を出版しました。
友人が出版するのって、なんか嬉しいですよね。


水瀬さんは以前にも経済評論家の山崎元さんとの共著で、『ほったらかし投資術』
という本を出版していますが(参考→『全面改訂 ほったらかし投資術』(山崎元・水瀬ケンイチ著)を読みました)、今回は一人で書いたいわゆる単著になります。
前作の共著もすばらしい作品でした。そして、今作『お金は寝かせて増やしなさい』も絶品です。投資環境や商品は日々更新されていくので、もしもどちらか一冊だけを読むのなら、やはり今回の作品でしょう。
しかも今作では、なんと水瀬さんの運用金額の推移が「実額」で公開されています(モヒカンのウォーミングアップ必至!)。
友人が出版するのって、なんか嬉しいですよね。
水瀬さんは以前にも経済評論家の山崎元さんとの共著で、『ほったらかし投資術』
前作の共著もすばらしい作品でした。そして、今作『お金は寝かせて増やしなさい』も絶品です。投資環境や商品は日々更新されていくので、もしもどちらか一冊だけを読むのなら、やはり今回の作品でしょう。
しかも今作では、なんと水瀬さんの運用金額の推移が「実額」で公開されています(モヒカンのウォーミングアップ必至!)。
◎インデックス投資の教科書
タイトルにも書いたように、インデックス投資を解説した教科書のような一冊だと私は思いました。
【参考記事→インデックス投資とは】
もちろん、めちゃくちゃ分かりやすいのですが、大切なところは妥協することなくしっかり書いているので、文系の初心者さんだったりすると脳が汗をかいてしまうかもしれません。
ただし、キャッチーな言葉と結論だけで構成されたよくある「書籍自体を売るための投資本」ではなく、この本は個人投資家による実体験と根拠を伴った「投資を続けるための」正しい情報が詰まった本です。
また、難しい内容を分かりやすくしたり、飽きさせない工夫も随所に見られ、その最たるものは漫画でインデックス投資の概要を描いている点でしょう。アニメ好きの水瀬さんらしい「粋」な試みだと思います。
「金融のど素人でもプロと互角以上に戦える」とか「インデックス投資の入り口から出口戦略まで一挙解説!」とか「お金が勝手に増えていく仕組みのつくりかた全公開」などのキャッチフレーズに偽りなしでした。
まさに個人投資家によるインデックス投資歴15年の実践記です。
◎章ごとの一言感想を
構成紹介を兼ねて、章ごとに簡単雑感を書いておきます。
第1章
金融のど素人でもプロと互角以上に叩ける「インデックス投資」
インデックス投資とはなんぞや、ということが書かれています。特に「投資信託とは」という部分の解説に力が注がれていたように感じました。経験者には当たり前でも、未経験者や初心者には驚きの内容かもしれません。
第2章
寝かせて増やすインデックス投資の実践法
この章がまさに教科書!
生活防衛資金の重要性、リスク許容度、リスクや標準偏差の意味、期待リターン、アセットアロケーション、現代ポートフォリオ理論、有効フロンティア、最大損失額の計算方法、リバランスなどについて、妥協なく書かれています。
ここはおそらく経験者にとっても簡単な内容ではないと思いますが、投資を実践するうえで押さえておくべき必須ポイントです。結論として、スバリ投資すべきインデックスファンドまで明示されています。
第3章
おすすめの金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeCo
ここはタイトルのままですね。オススメの証券会社の根拠や、口座開設手順についてページが割かれています。投資における税制優遇制度としてホットな話題である「つみたてNISA」や「個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)」などの最新情報もしっかり盛り込まれていました。
《当ブログ内参考記事》
・「つみたてNISA」ってなんだ?
・確定拠出年金ってなによ?…メリット・デメリット・注意点は?
第4章
始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
この章は、タイトルにあるような「続けるのが難しい」という話について詳しく書かれているわけではありません。続けるのが難しいことを前提にしつつ、株式の強みや、長期的な右肩上がりの根拠などについて力説する章です。
資本主義とはどういうものなのかというところまで掘り下げてから、複利の力や、インデックス投資を始めるタイミングなどにも言及しています。続けるコツや考え方、商品乗り換えなどというマニアックな話は、著者が個人投資家だからこそのネタでしょう。
第5章
涙と苦労のインデックス投資家15年実践記
ここ最高。何が最高かって、相場低迷や暴落、相場好調時のイメージが掴めること。未経験者、初心者、経験者ともに勉強になるし、楽しめるはずです。
水瀬さんがインデックス投資を始めた2004年からつい最近までの、損益状況や世の中の動きが実額を公開しつつ、順を追って書かれています。
私がインデックス投資を始めたのは2005年なので、ほぼ同じようなタイミングだったせいもあり、臨場感を味わうことができました。まあ、この章についてはここでゴチャゴチャ書いても伝わりませんね。とにかく読むべし!って感じです。
第6章
貴重情報! インデックス投資の終わらせかた
ラストはいわゆる「出口戦略」について書かれています。また、途中途中に挟みこまれていた漫画も、この章のあとで完結します。
◎実は校正前の原稿をこっそりと……
実は私、水瀬さんから校正前の原稿をこっそり読ませてもらっていました。
「原稿には出版時に非公開予定の運用資産の実額も書いてあるし、絶対誰にも言うなよ!絶対だぞ、絶対言うなよ!!」と強く念を押されて、こっそりと読ませてもらい、私は「むふふ、俺は水瀬さんの運用額を知ってしまったぜ、ヒョッヒョッヒョ……」なーんて思っていたのに、いざ出版されたら秘密だったはずのそれがフル公開されていて、腰が抜けそうになりました。
いや~、思い切りましたねえ、水瀬さん!!
・・って、書きたことはそんなことではなく、校正前の原稿と出版された本の「読みやすさ」が全然違っていたことです。
校正前の原稿を読んだときには、ちょっと第2章の部分なんかが真面目すぎてちょっと硬いし、難しいかなぁ……なんて思って、それをやんわり水瀬さんに伝えたりもしたのですが、いやはやお見事。出版された本は、そのあたりの硬さも完全に解消されて、かつさらにブラッシュップされた読みやすいものになっていました。
水瀬さんの校正作業の緻密さと、編集さんを交えた「プロの仕事」を見た気がします。
◎うん、オススメの一冊!
そういえば今年は、7月にも同じくブロガーで友人の吊ら男さんが本を出版しましたし、マーケットも好調だったし、そういう年なのかもしれません(参考→『毎月10分のチェックで1000万増やす!庶民のためのズボラ投資』(サラリーマン投資家・吊ら男著)を読んでみました(感想・レビュー))
まあ、そのうちマーケットが逆回転をする時期もあるでしょうが、むしろそういうときにこそ、この『お金は寝かせて増やしなさい』を読み直すといいと思いました。
オススメの一冊でっせ!
※2021年の12月にマンガ版が出版されています。非課税制度や金融商品の情報などが最新にアップデートされているので、これから読むならこっちのマンガ版のほうがオススメです(参考記事:初心者・未経験者に手渡す投資本はこれでOK…『マンガ お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ著)のストーリーや感想など)。

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