2022
Jun
15
外国債券について(インデックス投資家に外国債券は不要なのか?)
マニアックな世界のごく一部で取り扱われている話題ですが、個人投資家が資産形成において、投資信託の外国債券クラス(以後、外債)を保有する必要があるのか否かというお題があります。
山崎元氏の唱える「外債不要論」(参考:資産配分に外国債券は?)が知られるようになってから、アセットアロケーションから外債を外す個人投資家が増えているように感じます。
今回はその話題についての自分なりの考えと投資判断を備忘録的に書いておきます。
ちなみに私はいまのところ、外債アリ派です。
山崎元氏の唱える「外債不要論」(参考:資産配分に外国債券は?)が知られるようになってから、アセットアロケーションから外債を外す個人投資家が増えているように感じます。
今回はその話題についての自分なりの考えと投資判断を備忘録的に書いておきます。
ちなみに私はいまのところ、外債アリ派です。
◎リバランス効果をナメたらアカンぜよ!
外債のみをずっとホールドするというわけではなく、他の資産との凸凹を定期的にリバランス※1しながら長期的に運用するなら、アセットアロケーションの一部に外債を保有することはアリだと私は判断し、実際に組み込んでいます。
リスクが高まるとリターンを蝕むので(イーノさんのブログ記事参照※2)、外債の期待リターンが円債(国内債券)と同じなら高リスクの外債は不要というのはよく分かるし、事前にリスクコントロールを図るのは理にかなった判断だと思います。ポイントは、現在やや高まっている外債と他のアセットクラスとの相関をどう考えるかでしょう。
ところがこの相関係数は、あくまでも過去のデータですし、刻々と変化し、ときには急激に変わることもあります。
世界中のいつどこでインフレやデフレになるのかは分かりません。世界各地の将来の景気の山や谷も分かりません。通貨水準が購買力平価からいつどの程度乖離して、どの程度の期間を経ていつ適正な水準に戻るのかも分かりません。少なくともアホな私には。
欧米の株式や債券の値動きが過去20年間の日本のようになる可能性だってなくはないでしょうし、資産取り崩しの時期に円安だけど世界株安で外債のみが強い時期が続く、なんてこともあり得ない話ではないと思っています(実際、過去にはそういう時期もありました)。
外債の期待リターンが円債と同じでリスクのみが高くても、ときには他のアセットクラスと違う値動きをするだろうから、リバランスによって高値売りの安値買いなどができて、少しずつ運用資産の底上げができるのかなぁ、と考えて私は外債を保有しています※3。
まあ、一言でいうと「どれが上がるかは分からないから、一応外債も持っておくかな。まぁ、きっと分散効果はあるだろうし、リバランスが有効に作用するだろう」くらいのカンジです。
◎最終的には「好み」の問題
それから「外債不要論」に、「円債は期待リターンが低すぎるからポートフォリオには不要だ」というリーマンショック前の一部の風潮?(自分もその風潮に乗っていました)と同じような匂いを感じてしまい、外債をゼロにする気になれないというのもあります。ただし、これは理論的裏付けのない完全に感覚的なものです。
他にも外債を保有している合理的でない個人的な理由として、リスク資産管理の手間を省くためにバランスファンドをコアのファンドに利用しているから(そこに含まれているから)という、自分でもツッコミどころ満載のちゃんちゃらおかしいものもあります※4。
もしもこれから外債を外す人は、外した部分を円債クラスに乗り換えるならリスク低減効果があるでしょうが、安易に「為替リスクを減らしたい」とか「為替リスクは株式でとりたい」などと国内外の株式クラスに乗り換えてしまうのなら、リスクの積み増しになってしまう点には注意した方がよいと思います。
最近のインデックス投資ブログ界隈で、わざわざ外債保有の理由を事細かに述べている記事を見かけたことはありませんが(自分が気づいていないだけかもしれません)、逆風の中、なんか記事にできそうだったので、外債保有者としてその理由を書いてみました。
ただし、理論的には、外債保有は外債不要論に対して分が悪いと私も理解していますし、あくまでも自分の判断と責任において投資しているだけですので、他人様に外債の保有を勧める気はありません。
色々悩んだ末、紙一重の理由で私は外債を保有しているのですが、理由は紙一重でも、投資行動は白か黒か(それに投資するか否か)のハッキリとした違いになるところが面白いですね。まぁ、最終的には「好み」の問題ですかね。
どのようなアセットアロケーションがどの時期においしい果実を実らせてくれるのかは、事前には分かりません。理解せずに投資判断をするのはマズいと思いますが、自分で内容を理解したうえで投資判断を下すのであれば、どのような判断でもよいと思っています※5。
最終的には自己責任という落しどころがあるので、これからも暇なときには、楽しみながらあれこれ考えたいと思っています。
今回も屁理屈記事でスンマセンでした。
※1 リバランスとは、一定の期間(や乖離率)ごとに、最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているもの(アセット)は売却(利食い)し、下がっているものは買い増(逆張り)して元に戻すこと。主目的はリスクコントロールですが、株価や債券価格や為替などの上下循環(下がってもまた上がる・上がってもまた下がる)を前提とすれば、長期的には高パフォーマンスに寄与します。
※2 イーノさんのこの記事は、あくまでも一定のリスクを保った場合のシミュレーションであり、定期的なリバランスによる安値買いの高値売りのことは想定されていないはずです。
(リバランスの主目的は、リターン向上ではなくリスクコントロールなので当然のことですし、バックテストならともかく、そんな将来シミュレーションはどうやってすればいいのかサッパリ分かりませんが・・)
※3 保有しているといっても、アセットアロケーション(リスク資産)の中に先進国の債券10%と新興国の債券10%で合計2割ほど保有しているだけですし、無リスク資産と合算してその比率を計算すれば、その割合はもっと小さくなります。
※4 しかも、私が保有しているコアファンドの「eMAXISバランス(8資産均等型)」は、ご丁寧にも毎日リバランスしてくれているようなので、「定期的なリバランスによる高値売りの安値買い効果は薄そう」という問題も内包しています。。
→参考関連記事:eMAXISバランス(8資産均等型)について
※5 過去のデータにのみ基づいてアセットアロケーションを効率フロンティアに乗せようとすると、新興国債券と国内債券のみの配分がそこに乗ってしまうような時期もあります(実際にそんなアセットアロケーションにしている人は見たことありませんが・・)。
(投資判断は自己責任においてお願いします。)

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