いつか子供に伝えたいお金の話

インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約など「お金」に関することを書き綴るブログ

セゾン投信を解約したいとか、積立を止めたいとかのメッセージが届く…「卒業」したい理由は5つに集約できそうだ

タイトルに書いたとおり、なぜか最近、当ブログには「セゾン投信を解約したいと思っています」とか、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの積み立てを停止したいのですがどう思いますか?」というようなメッセージが送られてきます。

また、「セゾン投信 解約」「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 積立停止」というような検索流入も増えています。そういえば、イベント等で会う人から直接そんな相談をされたこともありました。

私は自分の考えや判断をこのブログで公開していますが、他人の投資判断にまで口出しする気はありませんし、そもそも投資なんて自己責任でやるものだと思っています。

なので、その手の相談には基本的に「やりたいようにすればいいと思います」としか回答できません。

ただ、メッセージが届いたり、相談を受けたり、そういうキーワードでの検索流入があるという現象自体には多少の興味があるので、少々雑感を……。


※追記:「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は米国バンガード社の日本ビジネス撤退により、2022年9月10日から「セゾン・グローバルバランスファンド」に名称変更されます。が、基本方針、運用体制等に変更はないようです。



◎セゾン投信とは


当ブログでは、「投資初心者や普通の人が、できるだけシンプルで楽ちんに資産形成のための国際分散投資をするために、セゾン投信で投資信託(特にグローバルバランスファンドのほう)の積み立てを行うことは、悪くない選択肢だと思う」と、何度か述べてきました。

顧客口座数も12万件を突破し、純資産総額は1800億円を超えていて、安定感もあります(2017年7月現在)。

そして実際、そのように同僚や親族などに紹介することがあるので、私はこの投信会社とそのファンドをしっかりとウォッチするようにしてきました。

以下に主な(よく読まれる)セゾン投信関連記事を載せておきますので、ご存じない方はご参照ください。

セゾン投信を投資初心者にオススメする理由
セゾン投信は悪?詐欺??
セゾン投信アポなし襲撃の記録…直販投信会社に訪れた危機とは!?



また、なぜか「そろそろセゾン投信に関する記事を書いてください」というリクエストもたくさんいただいています。

だもんで、今回はセゾン投信を「卒業」したがっている、もしくは、悩んでいる人たちとのやりとりを通して感じたことを書いてみることにします。



◎やめたい理由とそれに関する個人的見解


相談や質問してくる人に、解約したり積み立てを停止したい主な理由を訊いてみると、たいていは以下の5点のうちのどれか、または複数が該当します。

1.コストが高い
2.資産配分が気に食わない
3.機動的な投資ができない
4.儲からない
5.暴落があるかもしれない




1.コストが高い


たしかに最安値の商品よりはコストが高いですね。

自分で個別の投資信託(インデックスファンドやETF)を用いて同じようなポートフォリオを組んだほうが安上がりになることに気づき、その手間(複数の金融商品を駆使して配分比率を調整したり、最低コスト商品を追いかけること)を厭わない個人投資家さんであれば、もうセゾン投信は卒業してもよいのかもしれません。

まあ、5000本だか6000本だかある投資信託(ファンド)のうち、買うに値しない99%のダメ商品と比べれば、まだまだ充分に低コストでまともな部類に入ると思うので、「どこまでこだわるのか」という問題ですが。

ただ、ここ1~2年間のパフォーマンスを見て、他のファンドと比べ、高コストだからこんなにパフォーマンスが悪いんだ!というのは、おそらく間違っています。その低パフォーマンスの理由はコストではなく、投資タイミング・資産配分・マーケット環境(主に株価や為替の変動)によるものでしょう。あのレベルのコスト差は、わずか数年で「体感」できるものではありません。もしも本当にそれを体感できるほど値動きに敏感なら、セゾン投信なんざすぐに卒業したほうがよいでしょうが、そういう人はそもそも投資信託自体を利用しないほうがいいような気もします。

また、細かい話ですが、セゾン投信のファンドと他のファンドのコストを比較する際、信託報酬以外にかかる「その他コスト(間接的な信託報酬だの、売買委託手数料だの、保管費用だの、監査費用だの)」もすべて含んだセゾン投信のそれと、「その他コスト」を一切含んでいないファンドの信託報酬をそのまま比較しているケースも多いので、そこはフェアに比べてみたほうがよいでしょう。

【参考記事→投資信託の購入・保有・売却コスト



2.資産配分が気に食わない


外国債券比率が多すぎるとか、日本株は要らない、というような話もよく聞きます。

この部分が気になる人も、セゾン投信は卒業して、自分でやったほうがいいのかもしれません。

そもそも「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、外貨比率が高く、為替リスクのかなり大きい投資信託です。ザックリいうと、円安になると儲かるし、円高になると損する構造になっています。このへんの調整を自分でハンドリングしたい人にはフィットしないでしょう。

【参考記事→「為替ヘッジあり」の投資信託って、「為替ヘッジなし」とどう違うの?


もちろん、これも自分で調整する手間と、一本にまとめてしまうことによる楽チンさを天秤にかけて考える問題だと思うので、一概には何とも言えません。

ただ、気になって仕方ないのなら、気の済むようにするしかありませんよね。

最初の「1.コストが高い」の話にも共通するのですが、ゼロコンマいくつのコスト差やファンド内のアセットアロケーション(資産配分)に目が向いてしまう時点で、ややマニアックな個人投資家になるわけで、そういう人はそもそもバランスファンドの積立投資には向いていないのです、きっと。

私には、「2015年ファンドオブザイヤー」でのセゾン投信・中野社長の受賞コメントが強烈に印象に残っています。

「99.5%はめんどくさいことは考えたくない人。その人たちにセゾンバンガード一本で8割の満足を与える」


そこそこ低コストで、世界中の株式や債券に分散投資できて、長い目で見て世界経済の成長の分け前がほどほどにもらえるなら、それでいいや。投資なんて面倒くさいものはどれかひとつの商品で充分……セゾン投信の商品、特に「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」はそういう考えの人のための商品だということなのでしょう。

少数派のマニア向けの商品ではないということですな。

【参考記事→バランスファンドは、車のオイル交換を自分でやっちゃうような人にはたぶん向いてない



3.機動的な投資ができない


たしかにセゾン投信だとスポット投資するのが面倒くさいですよね。

わざわざ専用口座に買い付け資金を振り込んで、そのあとインターネットなり電話なりで買い付け手続きをして、そこからさらに2営業日後に約定ですから。機動的なスポット投資なんてできたもんじゃありません。

基本的にセゾン投信は、「ほったらかしの定額積み立て投資でいいや」という層をメインターゲットにしていると思われるので、数日レベルのタイミングを計って投資したい人には不便でしょう。

そういう需要のある人も卒業したほうがいいかもしれません。

これはもう、その投信会社や投資信託に何を求めるのか、という問題ですな。まあ、そもそも投資信託の買い付けに機動的な投資タイミングを求めるというのも、やや無理のある話なのですが。

ただし、スポット投資をしたほうがパフォーマンスがよくなるかどうかは何とも言えない問題ですので、ご注意ください。私は以前、最低コストの個別ファンド(国内外ETFを含む)を組み合わせてゴチャゴチャやっていたら、ただセゾン投信を自動積立にしてほったらかしていた同僚に、パフォーマンスで惨敗したことがあります。

【参考記事→リスク資産管理の優先順位変化



4.儲からない


儲かると聞いて積み立てを始めたけど、ぜんぜん儲からないからもうやめたい、というような話を聞くこともあります。

これは投資にかける時間軸や期待リターンをどのくらいに見積もっているのか、によるでしょうね。

充分に国際分散されたポートフォリオで積み立て投資を続けて定期的なリバランス※をしていると、(過去のデータを見るかぎりにおいては)10年くらい続ければ、どんなタイミングで始めてもそれなりのプラスリターンになっています。ただし、それはつまり、最低10年くらいは続けないとダメだということでもあります。

このあたりの時間軸をゆったりと構えて取り組むことができないと、セゾン投信に限らずリスク資産への投資を継続するのは難しいかもしれません。すぐにがっつり儲けたい人には向いていない、ということです。

ただし、すぐにがっつり儲けることのできる投資は、すぐにズドーンと大損ぶっこく可能性も高いものになってしまう点にはご注意くだされ。

【参考記事→1年間以上含み損を抱えている私の気持ちなんて分からないでしょう


そういえば私の母親は、約10年前に(私の勧めで)セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」に大金を放り込んだら、そのあとリーマンショックがやってきて、一気に半分くらい(たしか4割減)になってしまいました。ただ、そのままほったらかしていたら、今ではその大底の倍以上、投資元本の1.5倍程度にはなっています。投資にかける手間(時間)はほぼゼロで、年平均5%程度で回っていれば、母親には充分かなと私は思っています。



5.暴落があるかもしれない


いつ暴落があるか分からないし、安定的なリターンが約束されているわけではない、ということを心配する人もいます。だからセゾン投信はやめたい、と。

全くそのとおりなのですが、それはセゾン投信に限った話ではなく、リスク資産への投資全般に共通することでしょう。リスク許容度の問題ですかね。

そもそも「暴落なんてない」「毎年安定的なリターンが約束されている」という前提で(株式や債券などの)リスク資産へ投資なんぞしてはなりませぬ(と私は思っています)。

当ブログではこれまでに、何度も何度も何度も何度も何度も、

リスク資産への投資をするなら、一時的には投資元本が半分以下になる様な事態も想定すべきだ

というようなことを書いてきました。

その腹を括れないなら、リスク資産への投資はやめておいたほうがいいでしょう(でないと、金銭的にも精神的にも危ういです)。

ま、投資ごときに過剰な期待は禁物ですわな。・・おそらく暴落は、そのうちまたやってくると思いますよ。

【参考記事→最悪の状況をどこまで想定するのか




◎やりたいようにやりましょう


上記の5つのポイントは、どれも特殊な話ではありません。

リスク資産全般に関するよくある反応、もしくはセゾン投信そのもののごく当たり前の特徴の話です。

そもそも確実に儲かる投資方法や、万人の需要を満たす金融商品なんてものはありません。しかしながら、一時的には大きく減るリスクを許容することで、それなりのリターンが期待できるのも事実。

セゾン投信を卒業するかどうかも、ファンドと運用会社としての特性を見極めて、好きなように決めたらいいと思いまっせ。


・・いつものごとくゴチャゴチャと屁理屈を書いてこじらせましたが、あくまでも私の個人的な考えを垂れ流したにすぎません。当然異論もあって然るべきです。

ま、他人の考えや判断に惑わされることなく、また自分の投資判断を正当化するために他人を道連れにしようとするでもなく、各自やりたいようにやりましょうや。


【参考記事→インデックス投資を成功させるための3つのポイント



※リバランスとは、一定の期間(や乖離率)ごとに、最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているもの(アセット)は売却(利食い)し、下がっているものは買い増(逆張り)して元に戻すこと。主目的はリスクコントロールですが、株価や債券価格や為替などの上下循環(下がってもまた上がる・上がってもまた下がる)を前提とすれば、長期的には高パフォーマンスに寄与します。


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関連記事

プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレ・秘湯めぐりなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、世界中の株式や債券なども保有しています。

約18年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
BSテレ東マネーの学び:2022年10月13日
投資信託完全ガイド:2021-22年版
日経新聞広告:2021年2月12日
東証マネ部!:2020年8月
JBpress:2020年7月7日
ダイヤモンドZAi:2020年5月号
Yen SPA!:2020年夏号
トウシル(楽天証券):2020年4月
日経ヴェリタス:2019年9月15日
FOUND:2019年8月
週刊エコノミスト:2019年4月23日号
金融庁コラム:2018-19年
ITmedia:2018年1月29日
モノクロ ザ・マネー:2018年12月号
トウシル(楽天証券):2018年10月
ほったらかし投資完全ガイド:2018年1月
日経電子版:2017年12月25日
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
東証マネ部!・R25:2017年3月
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイ・オンライン:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年7月26日
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

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