2017年07月30日
『毎月10分のチェックで1000万増やす!庶民のためのズボラ投資』(サラリーマン投資家・吊ら男著)を読んでみました(感想・レビュー)
友人の吊ら男(吊られた男=つらお)氏が書いた、タイトルの長いこの投資入門本を、さっそく読んでみました。


なるほど、さすがつらおです。本業を抱えながらもサクッと立派に一冊の本を仕上げてしまうなんて、さすがとしか言いようがありませぬ(しかも3ヶ月ちょいで書き上げたとか……)。
この本では、ズボラ投資……いわゆるインデックス投資を「自分が寝ていても、世界中のみんなにちょっとずつ自分のために働いてもらってお金をもらう方法」だと紹介しています。なんだかドラゴンボールの元気玉みたいですよね。
株式に投資をするということは、どういうことなのか。わざわざ分散する意味は何なのか。それらを簡単に実践するためにはどうすればいいのか。そして、株式投資をすると、なぜ儲かるのか……というようなことを、この本では徹底的にかみ砕いて、分かりやすく解説してくれます。
自身のFX失敗談やこれまでの運用成績、またはプロの運用成績などを引き合いに出しながら、長期・分散・低コストのキーワードを軸に基本的な投資の原則を語っていきます。
惹き付けるプレゼンのコツみたいな工夫が随所に凝らされていて、ふむふむと唸らされてしまいました。
過去のデータを見せて、最悪のケースの具体的な値動きというか、もしも100万円投資していたらこれだけのマイナスになっている、というようなことを明示していたりして、特段「盛る」ような内容になっていないところにも好感が持てました。
「株式投資は、努力すれば必ずしも儲かるわけではなく、自分を含めた大多数のフツーの人は勉強したからといって儲けられる世界ではない」と吊ら男は断言します。・・ちなみにこのつらおさん、超高学歴で、抜群に頭もきれる。しかもイケメンで外資系の超一流企業に勤める鼻持ちならないエリートです(以前、彼の手元のちょっとしたメモを覗き込んだら、英語でなにやらびっしり書いてありました)。この男が己を「普通の人」にカテゴライズするのであれば、世の中の99%以上は普通の人(もしくはそれ以下)だろうな、と思ってしまいます(いうまでもなく私も)。
また、彼は「日々相場に対してアンテナを張って、ピリピリしながら投資を続けるのは、自分のような一般人には耐えられないと思った」とも書いていました。・・ちなみにこのつらおさん、メンタルは超強いです。そのつらおでも耐えられない投資スタンスなんざ、多くの人にとって難しいだろうなぁ、とも思ってしまいました。
第1章でいきなり証券口座の開き方などをざっくり説明して、オススメの証券会社や金融商品なども紹介してしまいます。「いきなりかよ!」と思いました。なるほどねえ。
第2章は、いわゆるズボラ投資(≒国際分散インデックス投資)の基本的な解説です。「親切に分かりやすく、でもザックリと」というイメージ。この本の「肝」の部分だけあって、しっかりとページを割いています。
第3章は、「なぜズボラ投資で儲かるのか」ということの根拠や、アクティブ運用の難しさが書かれています。儲かる根拠への言及が少なく、あっさりしすぎなような気もしますが、余計なことはゴチャゴチャ書かないのが吊ら男流ってことなのかもしれません。
第4章では日本刀を振り回して、バッサバッサと斬りまくるこの男本来の持ち味が炸裂します。「ボッタクリ投資の見抜き方」と称して、和牛オーナー・診療報酬請求権・ワインファンドなどの実際にあった詐欺案件を解説しながら滅多斬り。さらに、大手金融機関でも取り扱っている外貨預金・高手数料の投資信託・ファンドラップ・貯蓄型生命保険・仕組債などについても「合法的ボッタクリ投資」と断言して、ケチョンケチョンにします。おそらく、これでまたこの男の敵が増えることでしょう。
第5章は、ズボラ投資の解説を補足したり、その他の書きたいことをまとめた、といった作りに見えました。確定拠出年金やNISA、公的遺族年金制度や高額療養費制度などの国の用意した制度や公的保障なんかにもしっかりと触れています。ここでも「民間の医療保険は不要」と断言するなど、「らしさ」を発揮しています。また節約の手段として、格安SIMの紹介などもしていました。
私にもたまに出版依頼がくることはあるのですが、毎回色々考えて結局は断ってしまいます。んで、断ってから少しだけ後悔したりするものの、この本を読んで、「ああ、自分ごときが出版なんぞしなくてよかった……とても敵わんわい」と思い、妙にホッとしてしまいました。
この本は、彼の『吊られた男の投資ブログ』の要諦がよくまとまっています。
ただし、本人も自分のブログでそう書いているように、省いているポイントもけっこうあります。積み立て投資の特性・出口戦略・リバランスなどの話はなく、バランスファンドや債券投資の存在には一切触れていません。
紹介されている投資スタンスも、株式100%の国際分散された投資信託をストロングホールドするというものなので、細かい部分では私の実践している投資スタンスとは異なります。
【参考記事→株式100%のポートフォリオはアリなのか】
投資に踏み出せていない人や、投資をしていてもそのことで疲れてしまっているような人向けの本だと思うので、既にこの界隈のブログを熟読しているような方にはフィットしないかもしれません。
感情を理性でコントロールできるタイプの投資初心者にピッタリの本だと思いました。
……と、まあ、ゴチャゴチャ書きましたが、ハッキリ言って良書です。素人レベルではありませんです、はい。

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なるほど、さすがつらおです。本業を抱えながらもサクッと立派に一冊の本を仕上げてしまうなんて、さすがとしか言いようがありませぬ(しかも3ヶ月ちょいで書き上げたとか……)。
この本では、ズボラ投資……いわゆるインデックス投資を「自分が寝ていても、世界中のみんなにちょっとずつ自分のために働いてもらってお金をもらう方法」だと紹介しています。なんだかドラゴンボールの元気玉みたいですよね。
◎つらお本の概要と著者の横顔
株式に投資をするということは、どういうことなのか。わざわざ分散する意味は何なのか。それらを簡単に実践するためにはどうすればいいのか。そして、株式投資をすると、なぜ儲かるのか……というようなことを、この本では徹底的にかみ砕いて、分かりやすく解説してくれます。
自身のFX失敗談やこれまでの運用成績、またはプロの運用成績などを引き合いに出しながら、長期・分散・低コストのキーワードを軸に基本的な投資の原則を語っていきます。
惹き付けるプレゼンのコツみたいな工夫が随所に凝らされていて、ふむふむと唸らされてしまいました。
過去のデータを見せて、最悪のケースの具体的な値動きというか、もしも100万円投資していたらこれだけのマイナスになっている、というようなことを明示していたりして、特段「盛る」ような内容になっていないところにも好感が持てました。
「株式投資は、努力すれば必ずしも儲かるわけではなく、自分を含めた大多数のフツーの人は勉強したからといって儲けられる世界ではない」と吊ら男は断言します。・・ちなみにこのつらおさん、超高学歴で、抜群に頭もきれる。しかもイケメンで外資系の超一流企業に勤める鼻持ちならないエリートです(以前、彼の手元のちょっとしたメモを覗き込んだら、英語でなにやらびっしり書いてありました)。この男が己を「普通の人」にカテゴライズするのであれば、世の中の99%以上は普通の人(もしくはそれ以下)だろうな、と思ってしまいます(いうまでもなく私も)。
また、彼は「日々相場に対してアンテナを張って、ピリピリしながら投資を続けるのは、自分のような一般人には耐えられないと思った」とも書いていました。・・ちなみにこのつらおさん、メンタルは超強いです。そのつらおでも耐えられない投資スタンスなんざ、多くの人にとって難しいだろうなぁ、とも思ってしまいました。
◎『毎月10分のチェックで1000万増やす!庶民のためのズボラ投資』の構成と内容
第1章でいきなり証券口座の開き方などをざっくり説明して、オススメの証券会社や金融商品なども紹介してしまいます。「いきなりかよ!」と思いました。なるほどねえ。
第2章は、いわゆるズボラ投資(≒国際分散インデックス投資)の基本的な解説です。「親切に分かりやすく、でもザックリと」というイメージ。この本の「肝」の部分だけあって、しっかりとページを割いています。
第3章は、「なぜズボラ投資で儲かるのか」ということの根拠や、アクティブ運用の難しさが書かれています。儲かる根拠への言及が少なく、あっさりしすぎなような気もしますが、余計なことはゴチャゴチャ書かないのが吊ら男流ってことなのかもしれません。
第4章では日本刀を振り回して、バッサバッサと斬りまくるこの男本来の持ち味が炸裂します。「ボッタクリ投資の見抜き方」と称して、和牛オーナー・診療報酬請求権・ワインファンドなどの実際にあった詐欺案件を解説しながら滅多斬り。さらに、大手金融機関でも取り扱っている外貨預金・高手数料の投資信託・ファンドラップ・貯蓄型生命保険・仕組債などについても「合法的ボッタクリ投資」と断言して、ケチョンケチョンにします。おそらく、これでまたこの男の敵が増えることでしょう。
第5章は、ズボラ投資の解説を補足したり、その他の書きたいことをまとめた、といった作りに見えました。確定拠出年金やNISA、公的遺族年金制度や高額療養費制度などの国の用意した制度や公的保障なんかにもしっかりと触れています。ここでも「民間の医療保険は不要」と断言するなど、「らしさ」を発揮しています。また節約の手段として、格安SIMの紹介などもしていました。
◎思ったこと、など
私にもたまに出版依頼がくることはあるのですが、毎回色々考えて結局は断ってしまいます。んで、断ってから少しだけ後悔したりするものの、この本を読んで、「ああ、自分ごときが出版なんぞしなくてよかった……とても敵わんわい」と思い、妙にホッとしてしまいました。
この本は、彼の『吊られた男の投資ブログ』の要諦がよくまとまっています。
ただし、本人も自分のブログでそう書いているように、省いているポイントもけっこうあります。積み立て投資の特性・出口戦略・リバランスなどの話はなく、バランスファンドや債券投資の存在には一切触れていません。
紹介されている投資スタンスも、株式100%の国際分散された投資信託をストロングホールドするというものなので、細かい部分では私の実践している投資スタンスとは異なります。
【参考記事→株式100%のポートフォリオはアリなのか】
投資に踏み出せていない人や、投資をしていてもそのことで疲れてしまっているような人向けの本だと思うので、既にこの界隈のブログを熟読しているような方にはフィットしないかもしれません。
感情を理性でコントロールできるタイプの投資初心者にピッタリの本だと思いました。
……と、まあ、ゴチャゴチャ書きましたが、ハッキリ言って良書です。素人レベルではありませんです、はい。

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毎月10分のチェックで、1000万増やす!庶民のためのズボラ投資
毎月10分のチェックで、1000万増やす!庶民のためのズボラ投資
著者 吊ら男
新たな知識を求めてこの本と出逢う。
お金が欲しい、しかし投資は怖い、これは一般的な感情ではないでしょうか?
結論は投資信託です。
投資信託で、他人任せの投資を行い稼いでもらう。
投資信託を推奨している本でした。
プロに稼いで貰う、自分で稼ぐのではなく、他人に、プロに、稼いで貰うのです。
投資...
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