2013
May
03
リスク資産管理の優先順位変化【アセットアロケーションの決め方・その7】
前回の記事では、理想的なリスク資産の管理条件を思いつくままに列挙してみました。
しかし、当然のことながら、すべての理想を十分に満たすことはできず、自分なりに実践可能な最大公約数を見つける必要があります。
今回は、自分なりのリスク資産管理体制(アセットアロケーション?)確立に至る思考経過を、体験などを交えながら書いてみます。
しかし、当然のことながら、すべての理想を十分に満たすことはできず、自分なりに実践可能な最大公約数を見つける必要があります。
今回は、自分なりのリスク資産管理体制(アセットアロケーション?)確立に至る思考経過を、体験などを交えながら書いてみます。
1.手間をかけずにシンプルに管理したい
2.幅広く分散したい
3.低コストで投資したい
4.主力は株式にしたい
5.でも、多少はいじくる余地を持っていたい
現時点では、この5つの条件が、私がリスク資産管理に求める条件です(1~5の数字が小さいほど優先順位が高い)。
◎最初の頃はちょっと違いました
投資を始めたばかりの頃は、いまは最優先に考えている「1.手間をかけずにシンプルに管理したい」という項目はありませんでした(これは同時に「5.でも、多少はいじくる余地を持っていたい」もなかったということです)。
前回の記事でも触れましたが、投資を始めたばかりの頃は、リスク資産の管理に手間をかけることそのものがちょっと楽しかったからだと思います。
元本保証の預貯金しか知らなかった人間が、日々価格の変動するリスク資産を保有するのです。それは、身近なところにいる同い年の友人の多くはまだ知らない世界に足を踏み入れることでもあり、なかなか刺激的なことでした。
小学生の頃に初めてタバコを吸ったときのような、中校生の頃に初めて○○をしたときのような、高校生の頃に初めて○○をしたときのような、少し大人になったようなチョイ悪プレミアム感漂う自分に軽く酔ってしまう感覚とでもいうのでしょうか(○○に代入する言葉と文字数はご自由にどうぞ!)。
◎投資を始めたばかりの頃の私
そして、実際に投資を始めたばかりの頃は……
「株価や為替の短期的な値動きは予測不可能だ」と自分に言い聞かせていても、足りない頭でゴチャゴチャと考えて、ついつい余計なことをしていました。
・アナリストや証券会社のストラテジストのレポートを読んで、自分なりの戦略的なアセットアロケーションを計画してみる。
・上昇相場時に怪しげな陰謀論を目にして、近いうちに暴落するのではないかと恐れおののいて、たいしたアセットアロケーション乖離率でもないのにリバランスをしてみる。
・ちょっと株価が下がっただけで、「買い時だ!もう下がらないかもしれない!」などと思って、毎月の積立投資とは別に追加投資をしてみる。
また、投資を検討する段階では、「投資に生活の時間をとられたくない」という前提だったのに、いざ始めてみると、ずいぶんと無駄な時間をかけてしまいました。
・毎日、複数のネット証券に何度もログインとログアウトを繰り返す(そして、なぜか気持ちよくなる)。
・自分なりの売買ルールや投資スタンスを箇条書きにして作成し、毎日のようにバージョンアップさせ、何度もそれを読み返してみる(そして、なぜか気持ちよくなる)。
・基準価額の変動が気になって仕方ないので、21時前後に更新されるモーニングスターに登録したポートフォリオの基準価額を毎晩チェックして記録する。そして、その度に様々なスパン(日ごと・週ごと・月ごと・4半期ごとなど)の変動率をエクセルで計算してみる(そして、なぜか気持ちよくなる)。
・為替と世界の株式市場の値動きを24時間いつでもチェックできるようケータイサイト(当時まだスマホは存在せず)をブックマークして、チェックしまくる。
などなど、「ミスターマーケット」と呼ばれても仕方ないような状態の時期がありました。しかも、困ったことに当時はそれをすることがなんだか楽しかったのです。
◎ところが…
性格にもよるでしょうが、そのうち飽きてきます。
投資のパフォーマンスを、投資に費やした時間で割り算してみると、なるべく時間をかけない方が効率はいいことも身に染みてきます。
そして、時間をかけても投資のパフォーマンスは良くならないことにも気づいてきます。風見鶏的な投資判断は、むしろパフォーマンスを悪化させることが多いでしょう。
インデックス投資とは、そういうものです(参考記事→インデックス投資とは)。
◎バランスファンドのほったらかし投資家に負ける
決定的だったのは、バランスファンドの自動積立をしてほったらかしている複数の同僚(私が投資を手ほどき)が、最低コストの個別ファンド(国内外ETFを含む)を組み合わせてゴチャゴチャやっている自分よりもはるかに高パフォーマンスだったことです……インデックス投資に時間をかけることのアホらしさを痛感できました※1。
もちろん、投資を始めた時期や、どの時点でのパフォーマンスを見るかによって色々な結果が出るので、一概には言えない問題ですが、あれは自分に体感的な気づきを与えてくる良い機会でした(頭では分かっていても、腹に落ちてこないことって、けっこうありますよね)。
んで……
ある時期までは、なによりも低コストで分散投資することをリスク資産管理の最優先事項としていたのですが、それよりも「手間をかけずにシンプルに投資する」ことを優先したいという気持ちが強くなりました。
低コストにこだわりすぎて、投資商品を次から次へと乗り換えたり、あまりにも効率フロンティアにこだわって情報をインプットしすぎて、コロコロとアセットアロケーションをいじったりしないようにしようと心に決めたのです。
◎投資に時間かけるのアホらしいよね
コストはとても大切ですが、投資にかける時間もコストであると言えなくもありません。
体感的に気づくのに少々時間がかかってしまいましたが、私にとって、投資なんざ、家族との時間を割いてまでするものではなかったのです。それに私には、投資とは別の本業があります。
また、証券会社や投資商品があまりにも多岐に渡っていると、管理も面倒だし、自分に万が一のことがあったときに遺族に迷惑をかけてしまうかもなぁ、なんてことも考えました。
そして、「1.手間をかけずにシンプルに管理したい」という項目がリスク資産管理の条件として加わり、やがて最優先事項への登りつめることになったのです。
(ぜんぜん話が先に進みませんね。次回の記事で一気にまとめることにします。)
つづく
「私のアセットアロケーション(リスク資産管理方法)【アセットアロケーションの決め方・その8】」へ
※1 セゾン投信のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドです。
(参考記事→セゾン投信を投資初心者にオススメする理由)

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