2016
May
07
『忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』(カン・チュンド著)を再読しました(感想・レビュー)
この本の初版が発行されたのは2009年6月。

その年の3月にリーマンショック後の大底はつけ終えていましたが、あれが大底だったと認識できるのは、あくまでもいま振り返るからこそ、であります。
まだ3番底、4番底があるぞ、いや底なんてない!底抜けや!というような声が当時は大勢を占めていました。
そして、著者のカン・チュンドさんがこの本を執筆していた時期は、まさに暴落の最中だったそうです。

その年の3月にリーマンショック後の大底はつけ終えていましたが、あれが大底だったと認識できるのは、あくまでもいま振り返るからこそ、であります。
まだ3番底、4番底があるぞ、いや底なんてない!底抜けや!というような声が当時は大勢を占めていました。
そして、著者のカン・チュンドさんがこの本を執筆していた時期は、まさに暴落の最中だったそうです。
◎再読しようと思ったきっかけ
2009年当時、私はこの本をサラッと読んで、
「力強いメッセージの込められたいい本だな。タイトルも人目を引くし、このタイミングでこういう本を読んでコツコツ投資を始められる人はラッキーだわなぁ・・」
なんてことを思いました。
今回、これを再読しようと思ったのは、竹川美奈子さんの新著『臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』に登場する個人投資家さんのなかに、カン・チュンドさんのこの本を読んだことが「コツコツ投資」を始めたきっかけだったとか、この本がとても参考になったというような人が数名いたからです。
【参考記事→『臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』(竹川美奈子著)を読みました(感想・レビュー)】
まぁ、昨年取材を受けた個人投資家が投資を始めた時期を考えれば、自然とそういう人が多いのも頷けますが、「それだけ影響力のある本をインデックス投資ブロガーとして、スルーすることはできん!」と私は思ってしまったのです。
で、再読して、いま書評的な記事を書いているわけです。
◎世界中に収益の機会を求めることの合理性を徹底解説
そんな時期の出版だったからなのか、本文の出だしは、
「安心してください」
で始まります。
その次に続く言葉は、「はいてますよ!」ではなく、「投資なんて難しいものじゃありませんよ!」という意味の言葉なので、今日の流行をピンポイントで先取りしたものではありませんでしたが、もしもこの時期に「コツコツ投資」(具体的には著者の推奨する国際分散インデックス投資など)を始めて継続してきた人は、今はその言葉どおり「難しいことなく簡単に」投資で大きな利益を出せていることでしょう。
【参考記事→インデックス投資とは】
基本的な内容としては、現役世代の置かれている状況の説明やその対策、つまり投資に関する解説がメインです。
稼ぎの手段を本業以外にもうひとつくらい持っておこう。それは、難しいことじゃないよ。
ということが主題で、それを投資アドバイザーとして日々コンサルティングを行っている立場を活かした様々な視点で、分かりやすく教えてくれる本です。
「根っこ」から徹底的に解説してくれますよ。
◎注意点や当ブログとの「言葉づかい」の違い
ただ、やはり7年も前の本なので情報として古いものもあります。当然、具体的な金融商品なんかは、現在はもっと良い(低コストな)ものが販売されています。
もしも、これからこの本を参考にするのであれば、そのあたりのことは含んでおいたほうがよいでしょう。
それから、ちょっと細かくてマニアックな話ですが、「外貨建て資産」という言葉の使い方や、「日本債券インデックスファンド」の色分けなどが当ブログの定義的なものと微妙に異なっています。もちろん、根本的な主張に違いはありませんし、そこまで深読みする人はいないと思いますが、一応ね・・・。
【参考記事→外貨建て資産の「建て」ってなんだ?】
【参考記事→分散投資に国内債券を入れる必要性あるの?現金じゃダメなの??】
また、「公的年金はアテにできない」みたいな記述があり、それは全くその通りなのですが、障害年金や遺族年金などのことを考慮すると、国民年金への支払いをせずにその分の資金を投資に振り向ける、といったことはしないほうがよいでしょう(まぁ、多くのサラリーマンは強制徴収なので、その選択肢はありませんが・・)。国民年金を支払っていないと、確定拠出年金も利用できませんからね。
もちろん、著者のカンさんは「国民年金への支払いなどしなくてもよい」とは書いていませんし、そんなことは考えてもいないでしょうが、誤解する人がいないとも言い切れないので、蛇足だとは思いつつも補足してしまいました。
◎良本だと思いまっせ
短期で儲ける「トレード」と、長期で資産形成を図る「インベストメント」をキッチリと分け、普通の人でも基本さえ押さえてしまえば簡単に実践可能な投資を、親切に啓蒙してくれるこの本はハッキリいって良書です。amazonのカスタマーレビューが概ね高評価なのも頷けます。
世界経済の基本構造をしっかりと解説したうえで、「投資を実践するのに、特別な知識やマメさは必要ないよ。ひと月1万円くらいから始められるよ」とやさしく教えてくれます。
マーケットのデータや商品なんかを最新版にした改訂版を是非とも読んでみたいものです。

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