2016
Apr
09
ドルコスト平均法は有利なの?不利なの?…積立投資と一括投資のメリットとデメリットの話
「ドルコスト平均法は有利だから必ずやった方がいいんですよね!?」
「ドルコスト平均法は実は効率が悪いって聞いたのですが・・」
「積み立て投資は一括投資に比べて安全なんですよね?」
たまにこのような質問をいただくので、自分の考えを書いておいたほうが良さそうですな。
今回は「ドル・コスト平均法」についてのお話です。
さて、「ドルコスト平均法は有利なのか不利なのか?」という質問に対する回答としては・・
「ドルコスト平均法は実は効率が悪いって聞いたのですが・・」
「積み立て投資は一括投資に比べて安全なんですよね?」
たまにこのような質問をいただくので、自分の考えを書いておいたほうが良さそうですな。
今回は「ドル・コスト平均法」についてのお話です。
さて、「ドルコスト平均法は有利なのか不利なのか?」という質問に対する回答としては・・
自分で考えましょう!
投資は自己責任でっせ!他人の思考に頼るのはダメ、絶対!
となってしまうのですが、それだけではあまりにもアレですし、ブログ記事として成立しない気がするので、もう少し掘り下げて書いてみますかの。
ただし、私の考えや結論を鵜呑みにせず、まずは疑ってかかり、そしてキチンと自分の頭で考えることを強くオススメします。私の解説・考察記事なんて間違ってるかもしれないですし、実際ろくなもんじゃありませんので。
環境や性格は人それぞれなので、実践の際の最適解も人それぞれになるはずです。
◎ドル・コスト平均法とは
ドル・コスト平均法とは、定期定額積み立て投資のことですよね。
毎月一回決まった日に3万円ずつ積み立て投資をする、というような投資方法がそれに該当します。
アクティブ投資やらインデックス投資※1やらという「お金の運用方法」の種類ではなく、お金を投入する「投資タイミング方法」の種類ですね。投資における「時間分散」などとも呼ばれます。
まぁ、「ドルコスト平均法」の他に何があるのかと問われても、「一括投資」と「ランダム投資」くらいしか思い浮かばないので、かなり少ない選択肢のなかのひとつと言えるでしょう。
現役世代の普通の給与所得者(要するにサラリーマン)が、なるべく手間をかけずにリスク資産への投資で資産形成を図ろうとすると、現実的にはドルコスト平均法しかない場合が多いので、特別なものではありません。
「ドルコスト平均法」とは、「証券会社がカモ顧客に安定的に金融商品を売りつける続けるために作られた言葉」だなんて話も小耳に挟んだことがあるのですが、上手に利用すれば悪くない貯蓄手段だと思います。
自動化してしまえば、手間もほとんどかかりません。私も自分の資産形成に取り入れています。
◎ドル・コスト平均法は有利なのか不利なのか
ドル・コスト平均法は、主に投資信託の買い付けに使われます(参考解説記事→投資信託とは)。
毎回の定額投資なので、投資対象が安いときには(口数を)多く買えて、高いときには少しだけ買うので、平均取得価格(個別元本)を引き下げることができて有利である、などと言われることがあります。「高値づかみ」を避けられることがメリットとして喧伝されることもありますね。
(※平均購入価格を引き下げる効果のメカニズムについて、実際に数値を使って解説している記事などはネット上にいくらでも転がっているので、詳しく知りたい方はおググりくださいませ。)
しかし、論理的に考えると、投資対象自体のリスクとリターンは変わらず、投資に回さない資金の機会損失(儲けそこない)が発生する可能性もあるので、ドル・コスト平均法は「有利とも不利とも言い切れない」というのが正しい答えです。
そもそも、事前にどのような投資タイミングが有利なのかなんて分かるはずがありません。
◎理論上は一括投資の方が合理的?
投資対象の値動きの前提として、5つのパターンを想定してみましょう(20年間くらいをイメージ)。
①上がり続ける
②上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階よりも上がる
③上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階と同じになる
④上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階よりも下がる
⑤下がり続ける
①上がり続ける
→ 一括投資が有利
このケースなら借金をしてでも一刻も早く一括投資すべきですね。「ドルコスト」なんてまどろっこしいことをしている場合じゃありません。
・・んでも、この想定は、ほぼあり得ないよねえ。少なくとも自分にこの想定はない。
②上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階よりも上がる
→ どちらが有利かは分からない
値動き過程によって、一括投資が有利になることもあれば、積立投資が有利になることもある。
・・リスク資産に投資をする人にとって、最も一般的な想定かも。投資期間中に下落相場が多くあったりして、それが長ければ長いほど積立投資の方が有利にはなるけど、まぁ、相場は必ずしも自分の思い通りにはならないからね。。
③上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階と同じになる
→ どちらが有利かは分からない
一括投資の場合は確実にプラスマイナスゼロになるものの、積立投資であれば大きな利益がでる可能性もある。
・・最終的に値上がりしなくても大きな利益を得られる可能性がある積立投資は魅力的?・・んでも、値動き過程によっては積立投資をしたからこそ大きなマイナスになる可能性だってあるのです。
④上がったり下がったりしつつ、最終的には投資スタート段階よりも下がる
→ どちらが有利かは分からない
一括投資の場合は確実にマイナスになるものの、積立投資であれば大きな利益がでる可能性もある。
・・最終的に値下がりしていても大きな利益を得ることができる可能性があるのが積み立てマジック?・・んでも、値動き過程によっては積立投資の方が一括投資の場合よりも大きな損失を被る可能性もあります。
⑤下がり続ける
→ 積立投資の方が有利
リスクに晒す資金を最初に全力投入しない分、積立投資の方が傷は浅く済む。
・・ただね、下がり続けることが事前に分かっている(想定する)のなら、そもそもリスク資産に投資してはイカンよ。
(※上記の5パターンは、手元にある資金を、最初に一括投資するか、分割して積立投資(ドルコスト平均法)するかという大雑把な想定です。手数料やリバランス※2は考慮していません。)
どうでしょうか?
上記のケースを見る限りだと、全くの互角ですよね。
ただ、株式や債券などの期待リターンがプラス※3であるリスク資産に投資を行い、自分には将来の細かい値動きは読めないという前提を持つのであれば、一括投資の方が合理的なのだと思います。
プラスの期待リターンは長期になる(投資し続ける)ほど効いてくるはずであり、また、おそらく投資した資金を「最終的」に一括で引き出す場合も少ないはずです。その点を考慮しても、手元に投資資金がある場合の一括投資の合理性は否定できません。
過去のデータを見ても、そこそこ分散された投資対象への投資(国内株式・海外株式・国内債券・海外債券に均等分散するなど)であれば、いつ一括投資を行ってたとしても、10年以上の保有でほぼ確実に損益はプラスになっています。
◎積み立て投資(ドルコスト平均法)のメリット
さて、理屈としては、ドルコスト平均法は有利でも不利でもなく、一括投資の方が合理的なのですが、んでも、普通のメンタルの人にとって、(高値掴みのリスクがある)一括投資はやっぱりちょっと怖いですよね。
一方、ドルコスト平均法であれば、投資対象の目先の値下がりに怯える必要はなくなり、投資タイミングを図る悩みからも開放されます。重要なのは「値動き過程」ですから。
つまり、ドルコスト平均法には「気休め」の効果があるのです。
たかだか気休め、されど気休め。これは案外バカにできないメリットだと言えるでしょう。
少なくとも目先の高値づかみを回避できるだけでも、普通の人には有効なのかもしれません。人間は感情の生き物です。
◎下落相場を歓迎できるってスゴいことだよね
個人的にも、ドルコスト平均法は少なくとも不利ではない、という一点を持ってしてもかなり気に入っています。
さらにいうと、投資したリスク資産価格の下落に恐怖を感じることなく、いや、それどころか下落相場を肥やしにできる投資方法なんて最高じゃん!と考えています。
期待リターンがプラスである資産(世界の株式や債券)に数十年単位で投資するのであれば、上記に挙げた5つの値動きパターンのうち、②が最も頻出しそうで、運が悪くても③、さらに運が悪くても③よりもちょっと低い④くらいになるのではないかと、個人的には考えていますが、そうであるのなら、積み立て投資期間中にはなるべく多く長く下落相場(低迷相場)があった方が(投資信託の口数を増やせるので)有利になりますね。
出口がまだ当分先にある資産形成層が、ドルコスト平均法で積み立て投資を行っている場合、なんと目先の下落相場は悪材料ではなく、むしろ好材料なのです。
※もちろん、それにはリスク資産の期待リターンがプラスであるという前提は必要ですけど。
→参考記事:投資の前提
ゴチャゴチャ書きましたが、実際のところ、まとまった資金なんざ持っていない普通のサラリーマンは、ドルコスト平均法による積み立て投資しかないんですけどね。。
ただ、だからこそ、プラスに解釈してやろうという屁理屈が私の結論でございます。
・・今回の記事内容について、さらに掘り下げて実証的に考えたいと思う方は、以下の参考記事で紹介している書籍の一読をオススメします。
参考記事→『半値になっても儲かる「つみたて投資」』(星野泰平著)を再読しました
※1 参考記事→インデックス投資とは
※2 リバランスとは、一定の期間(や乖離率)ごとに、最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているもの(アセット)は売却(利食い)し、下がっているものは買い増(逆張り)して元に戻すこと。主目的はリスクコントロールですが、株価や債券価格や為替などの上下循環(下がってもまた上がる・上がってもまた下がる)を前提とすれば、長期的には高パフォーマンスに寄与します。
※3 最近の日本国債のマイナス金利はとりあえず例外とさせてください。あくまでも時価総額比で見た世界各国の債券のスタンダードを基準にして論じています。

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