2016
Apr
02
『生命保険は「入るほど損」?!』(後田亨著)を読みました…これはヤバい!生命保険業界への挑戦状
当ブログPC版サイトの右サイドバーで、「生命保険の販売現場のウラ話が満載で強烈」としてオススメ紹介している『生命保険の罠』の著者である後田亨氏の新著です。

著者のまえがきによると、「保険は結局、損する仕組みなのではないか」「保険会社ばかりが得しているのではないか」と疑っている人たちに向けた書いたそうです。
最近のデータを用いて、普通の人には分かりづらい「保険の損得」をウラ側からエグる一冊。

著者のまえがきによると、「保険は結局、損する仕組みなのではないか」「保険会社ばかりが得しているのではないか」と疑っている人たちに向けた書いたそうです。
最近のデータを用いて、普通の人には分かりづらい「保険の損得」をウラ側からエグる一冊。
◎後田亨氏とは・・
大手生命保険会社と代理店で約15年間営業職を務めてきた後田氏は、保険商品の特性と販売現場の実態を知れば知るほど、売り手と買い手の情報格差に黙っていられなくなったのでしょう。いつもその「正直さ」を著書やコラムで爆発させています(私も以前は某業界の営業職だったので、気持ちはよく分かります)。
あまりに身も蓋もない物言いで保険業界の不都合な真実をバッサリやるので、いつか消されてしまうのではないかと、いつも読んでいてヒヤヒヤしています。
後田氏の主張には、ある一定以上のリテラシーを持った一般人からの支持と、ごく一部の業界関係者?からの執拗な攻撃が常に集まります(アマゾンのカスタマーレビューなどを見ると分かりやすいです)。それだけ主張が核心を突いているということでしょう。
◎今回の著書は基本に立ち返った印象
初めて後田氏の著書を読んだとき、目から鱗が落ちまくったことを覚えています。
その後、私は後田氏のすべての著書を読みましたが、彼の主張はデビュー作『生命保険の罠』の頃から一貫しています。
ただ、普通の人にオススメできる本として、これまでにデビュー作を超えるものはなかった、というのが個人的な感想でした。私のようなマニアというかオタクにとっては面白すぎる著作を次々と出版してくれましたが、普段お金のことや保険のことなんてまったく考えない普通の人にとっては難しいだろうなぁ、という印象だったのです。
ところが、今回の著作はけっこうイケてます。
データから見た最大多数の人にとっての一般的な「保険の損得」に軸を置いて、そもそも生命保険とはどのような性質のもので、どのような商品・どのような客が保険会社にとって美味しいのかを分かりやすく解説してくれています。
ご自身のよく知っている販売現場でのウラ話や営業テクニックに加えて、多くの場合情報が伏せられている保険会社の「抜き」の部分を死亡確率と保険料総額から丸裸にします。
民間の生保会社と県民共済の経費率の比較なんかは必見です。
健康保険等の社会保障制度の解説にも手抜かりはありません。年収や家族構成ごとの遺族年金(自分が死んだ後に家族に支給されるお金)の目安なんかもバッチリ載っています。
学資保険自体は悪い商品ではないものの、それをエサに余計なものを売りつけられぬよう警鐘を鳴らしてくれたりと、お役立ち度は高いと思いますよ。
◎エッジの効いた後田節は健在
相変わらず保険業界に多くの敵を作りそうな後田節も炸裂しています。
「がん保険の保険料相当額分、宝くじを買いこみましょう。できれば競馬の馬券のほうをおすすめします。どちらも、がん保険よりも費用対効果が高いぶん、安心です」
「医療保険の損得勘定には、心理面での錯覚が影響している」
「加入者ではなく保険会社を支える仕組みのようではないか」
「私はアフラックが消費者をなめている気がします」
(すべて本文より)
・・・いやぁ、ガンガン攻めますな。。
◎保険の効用や存在意義も認めているよ
当然のことですが、後田氏は保険商品すべてやその存在自体を否定しているわけではありません。保険に入りたい人のため(多くの人はそうでしょう)に、「本当に必要な保険」として、具体的な社名・商品名を挙げて紹介することも怠ってはいません。
個人では準備できない大金をいざというときに調達できる「仕組み」は、家族を養う現役世代には必須です。私だって当然いくつかの保険を利用しています。
ただし、毎月ベラボーな保険料を支払って、なんでもかんでも保険で備える必要はあるのか?という視点を持ったことのない人は、一度くらい後田氏の主張に目を通しておいても損はないように思います。
(そういえば、私が投資を始めることになったきっかけは生命保険の検討でした→参考記事:炸裂する保険屋の営業トーク)
人間は感情の生き物で、日本は資本主義経済の国です。生命保険や医療保険に関しても各自の現実的な「落としどころ」はそれぞれ異なるでしょう。しかし、だからこそ、多くの考え方や普通に生活していると見えてこない情報に接しておく機会は貴重だと私は考えています。
【参考】私の保険全般に関する考えを一本の記事にまとめたもの
↓↓↓
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)

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