2016
Feb
25
『臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』(竹川美奈子著)を読みました(感想・レビュー)
「投資信託にだまされるな!」シリーズなどの著者として有名なファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子さんが新著を出版しました。

これまでに類書のなかった一冊です。
少なくとも私は、このようなタイプの投資本を読んだことがありませんでした。

これまでに類書のなかった一冊です。
少なくとも私は、このようなタイプの投資本を読んだことがありませんでした。
◎竹川美奈子氏とは・・
竹川美奈子さんといえば、「普通の人が投資によって資産形成をするには、どのようにすればいいのか」をやさしく解説してくれる第一人者と呼んでもよいレベルの偉人です。
投資信託に関する本を中心に、NISA(少額投資非課税制度)やDC(確定拠出年金)についての詳しい解説本なども出版しており、これまでの単行本合計販売数は40万部を超えています。
射幸心を煽るような危うい本を乱発して「売れっ子」になったワケではなく、比較的地味で真面目な内容の本を丁寧に書き続けて、「普通の人」たちの信用を積み重ねているという印象です。
当ブログPC版サイトでも、「投資信託そのものを分かり易く解説してくれるオススメの本」として、竹川さんの『一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門』を挙げています(参考記事→投資初心者が投資信託に持つ疑問③)。
また竹川さんは、毎月六本木で開催されている『コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ』という、主に投資信託を使って毎月コツコツと積み立て投資を行っている人やそれを始めようと思っている人が、気楽に集まって語らう会(営業行為は禁止)の主催者の一人でもあります。
このイベントに参加すれば、かなりの高確率で竹川さんに会うことができますよ(事前の参加者情報でご本人の参加を確認しておけば間違いなし)。
東京から始まった誰でも気軽に参加できるこのイベントの分会は、いま全国各地に広がっています。
◎登場する11人の投資家とは?
さて、今回出版された『臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』の内容です。
この本は、リスク資産(株式や外貨資産など)への投資による資産形成に取り組んでいる何人もの「コツコツ投資家」に、竹川さんが聞き取り取材を行い、一人ひとりの生活環境や投資スタンスについてリアルなエピソードを交えながら紹介する本です。
単純なハウツー本ではなく、日常生活では話題にしづらい「お隣さん」の資産運用方法やその考え方・失敗談などが赤裸々に書かれている興味深い一冊だといえるでしょう。
取材対象には、男・女・独身・家族持ち・賃貸・持ち家・初心者・マニア・体育会系など、様々な人物がいて、それぞれが各々のエピソードや考え方を独白しています。
どの個人投資家も、投資による資産形成に真面目に取り組んでいる(プロではない)普通の人、という共通点があるので、おそらく投資初心者さんや未経験者さんにも参考になる部分があるはずです。
また、この本を読めば、投資に関する基本的な知識が身につくようにも構成されています。確定拠出年金などについてもけっこう解説ページを割いてありますよ。
・・・実は取材対象の中の一人として私「虫とり小僧」も偽名で登場しています(“虫とり小僧”でさえ偽名なのに、さらなる偽名の上塗りを重ねています)。
私めの投資スタンスやそこに行き着く紆余曲折ストーリーを赤裸々に話すことが、誰かにとって何かの参考となり、少しでも役立てたらいいなぁ、と思って協力しました。
◎この本の具体的構成は・・
まず第1章で投資の基本を解説し、「投資信託を使った積み立て投資は、なぜ最適の資産形成法なのか」ということを示してくれます。竹川さんの本の真骨頂「投資のやさしい説明」がいきなり炸裂します。
第2章では、個別のインデックスファンドを組み合わせてコツコツ投資を行う王道スタイル投資家の紹介。やはり、これが基本形ですよね。
第3章では、バランスファンドを活用することで投資にかける手間を最小限にとどめる楽ちんスタイル投資家の紹介。私は紆余曲折を経て、現在このスタイルです。
第4章は、確定拠出年金をきっかけに投資を始めた人の紹介や、その「非課税枠」の活用方法などが紹介される実践的な内容になっています。勤務先が企業型確定拠出年金を導入したことをきっかけに「投資」を始める人って、意外に多いんですよね。
第5章では、「お金の行き先」や「企業の応援」などを意識したけっこうアクティブなコツコツ投資家も紹介されます。ちょっとマニアックになってきますが、本来の投資家とはこういうことを大切するものなのだと思います。
そして第6章では、Q&A方式で実際にコツコツ投資を始める前に押さえておきたいポイントがまとめてあります。過去にコツコツ投資を始めていたら現在どのくらいのリターンが出ているのか、というような誰もが気になってしまうポイントにもスポットライトが当てられています。
◎肩肘張らずに「お隣さん」の投資話を聞くつもりで・・
この本では、色々なコツコツ投資スタンスが紹介されているので、もしかしたら読み終わった後に、「で、自分は一体どうすればいいの??」と悩んでしまう人がいるかもしれませんが、おそらくどれを真似しても投資パフォーマンスはさほど変わらないでしょう。
「コツコツ投資」なんて、最初に基本さえ押さえてしまえば気楽なものですよ。
投資にかける時間や、投資に求める満足感、生活の中の投資の位置付けなどが、それぞれ異なる人たちのお金の話を「のぞき見」するくらいの軽い気持ちで、初心者さんも肩の力の抜いて読んでみたらいいのではないでしょうか。
未経験者は、とりあえず色々な型を見て選択肢を知る。経験者も他人の投資事情を覗き、自分の投資スタンスと比較したりしてみる。ハイリスク投資実践者や大金持ちも、庶民の投資事情を一応知っておく。。などなど、様々な読み方ができる本だと思いまっせ。
もちろん、この本のなかには投資を検討するに値するいくつかの「まともな金融商品」の具体的商品名も記載されています。
(参考→インデックス投資とは)

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