2013
Mar
15
マーケットはニューノーマル化?
数年前、「ダウ(ダウ工業株30種平均株価)は日経平均化する(最高値を更新できない)」というようなセリフをあちこちで見かけました。
「資本主義は崩壊する」などの極端な煽りビジネス的なことは言わないまでも、多くのまともそうな学者や識者と呼ばれる人が「もうマーケットはニューノーマル。今後、世界の株価はボックス圏を上に抜けることはあり得ない」みたいなことを、選挙特別番組の池上彰さんばりのドヤ顔で言っていたものです。
「資本主義は崩壊する」などの極端な煽りビジネス的なことは言わないまでも、多くのまともそうな学者や識者と呼ばれる人が「もうマーケットはニューノーマル。今後、世界の株価はボックス圏を上に抜けることはあり得ない」みたいなことを、選挙特別番組の池上彰さんばりのドヤ顔で言っていたものです。
◎どんな予測も言うのは自由だけど・・
ところが最近は、多くのまともそうな人たちが「マーケットはこれまでになかったステージに突入した。資産バブルによって株価は上に抜けるはずだ。インフレ対策として株式や不動産を買っておくべきだ」というようなことを盛んにこれまたドヤ顔で主張しています。
そのなかには、数年前に「ボックス圏を上に抜けることはあり得ない」と言っていた人もいたりもします。
間違えてしまうこともあるでしょう。人間だもの。
意見や主張を変えることもあるでしょう。人間だもの。
上司やスポンサーの意向で、思ってもいないことを主張せざるを得ないこともあるでしょう。社畜だもの。食っていくためだもの。
それにもちろん、このまま当分の間、株価の上昇が続く可能性だって十分にあります。
ただし、情報の受けとり手は、風見鶏のように変化する情報に振り回されて、コロコロとスタンスを変えていればいいというものではありません。
◎人類の歴史と己の経験を振り返ると・・
過去に各国が体験した金融危機とその後経済活動の歴史を見てみると、どこの国もほとんど同じで、「金融危機→経済停滞→金融緩和→財政赤字拡大→インフレやバブル→金融危機」というようなサイクルになっているようです。
危機やバブルの基本構造やサイクルが不変的なものであるという見方は、「今回だけは違う」的な話よりもメインシナリオである可能性がはるかに高いと思います。
ましてや「今回だけは違う」の話のあとに、「だから、今これを買わないとヤバいよ!」みたいな話は、聞くに値しないことがほとんどです。
そんなセールストークの基本が、何百年も前から変わらないように、わずか数十年・数百年で人間集団の欲望や行動パターンが大きく変わるとは考えにくいので、その集合体が構成するマーケットが長期的な傾向から抜け出してニューノーマルになる可能性は極めて低いのではないでしょうか。
深酒をして、気持ち悪くなって、リバースして、二度と深酒はしまいと心に固く誓う。
しかし、また深酒をして、また失敗して、スパークして、今度こそ深酒はしまいと心に固く誓う。
だけども、再び深酒をして、ボンバーして、ファイヤーして、これが生涯最後の深酒だと心に固く誓う。
んでも、やっぱり、また……たいていの人はこんなものだと思います。たかだか人間様ですから。
そして、相田みつを氏の「人間だもの」が心に響くようになって、自分に都合よく多用したりするのです。
己の愚かさを基準に物事を一般化することの危うさは十分に承知していますが、歴史などを勉強すればするほど、人間は同じような過ちを繰り返すものだという思いを強くします。
マーケットにおいても、所詮そのような愚かな人間の集合体が構成するものなので、その根本的な部分で「今回だけは違う」とか「ニューノーマルがやってきた」なんて言葉はアテにならないのではないでしょうか。
◎目先の欲望に流されずにいきましょう
それは同時に、今後もバブルの造成と崩壊が繰り返されることを意味しているので、リスク資産価格が大きく上昇する事態もあれば、リスク資産が半減するような事態もある、ということです。
サブプライム問題から派生したリーマンショックのようなことは、おそらくまた起こるのです。
投資が仕事や趣味ではない普通の個人にとって大切なのは、バブルの造成や崩壊がいつ起こるかを予測することではなく、それがいつやってきてもそれなりに対応できるアセットポジションを知り、目先の欲望に流されずにコントロールすることなのでしょう。
まずは、日々流れてくる情報に振り回されない軸を持って、同時にある程度の変化を察知するアンテナや、それに対応できる柔軟性なども適度なバランスでキープしたいものです。

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