2015
Jul
18
『肩書き捨てたら地獄だった』(宇佐美典也著)って本を読んでみました(感想・レビュー)
東大法学部を卒業し、国家公務員Ⅰ種という難関試験をクリアして、キャリア官僚として経済産業省に入省したエリートが、その肩書きを捨てて独立したら「地獄」を味わったというではありませんか。
どれどれ、他人の不幸は蜜の味ともいいますし、ちょいと読んでみますかの。もともとそんな「エリート肩書き」なんざ持ってないザコ庶民(私)が、元エリート官僚さんの地獄とやらを高見の見物じゃ~!ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ~!!
そんな不純で救いようのない好奇心に衝き動かされて、この本を読んでみました。
どれどれ、他人の不幸は蜜の味ともいいますし、ちょいと読んでみますかの。もともとそんな「エリート肩書き」なんざ持ってないザコ庶民(私)が、元エリート官僚さんの地獄とやらを高見の見物じゃ~!ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ~!!
そんな不純で救いようのない好奇心に衝き動かされて、この本を読んでみました。

◎大した地獄じゃないやんけ!
マーク・ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズの本を読むなどして胸を熱くし、勢いよく肩書きを捨てた(官僚を辞めた)ものの、いざ独立してみたら誰も相手にしてくれなかった。自分の肩書きを実力と勘違いした「イタい人」に過ぎなかった。
通帳の残高2万円、部屋に引きこもって一人で泣き、ホームレスと自分との本質的な違いについて考えをめぐらせ、ゴキブリの生命力を見習って生態研究をはじめる。。
と、人生のどん底を味わってる感が滲み出た書き出しで、かなり引き込まれつつ読み始めたのですが、「地獄」のステージはあっという間に終わってしまいます。
地獄というよりも、当たり前の挫折をすぐに乗り越えた武勇伝のようでした。
やはり、キャリア官僚になれるような人間は、基本スペックが違います。
著者は、すぐに頭角をあらわし、様々な挑戦と検証を経て、ビジネスチャンスをどんどんカタチにしているようです。
地頭の良さや、情報処理・解析能力が高いのはもちろんなのですが、この著者はタフでハングリーです。
そういう粘り強さというか「しぶとさ」のようなものを持っている人間は強いんだな、これが。
ブログでの情報発信をきっかけにキャバ嬢の相談に乗ったエピソードを、「少し前まで国家プロジェクトを担当していたのに、いまは水商売のコンサルティングか」と、やや自虐的に表現していますが、ビジネスチャンスを探し続けてトライし続けるタフさは見事なものです。
◎でもやっぱ、独立して上手くいくのは、それなりの人だよね
私もたまに「いつかは独立してフリーランスに!」なんてことを妄想することがありますが、やはり基本的には、フリーランスで食っていけるのは組織人としても優秀で、かつタフな人なのでしょう。
この本では、「セルフブランディング」の重要性やら、特定の組織に従属せず好きなことを仕事にする「フリーエージェント」の素晴らしさをこれでもか!これでもか!と力説していますが、普通の人が安易に真似をすると、本当の地獄を見るケースもありそうです。
著者としてみれば、大きな決心をして、一時的とはいえ挫折を味わった貴重なエピソードを素直に語っているのでしょうが、たいしたプランも持たずに独立後わずか数か月でビジネスが展開できるのはやはり本人が優秀でタフだからだと思いました。
ただ、組織に所属しながらも「一人になったとき」に市場で通じる能力を研磨しておくことの重要性や、そのような視点持っておくこと意義については、色々と参考になりました。
◎この本の構成と感想
第1章の著者実体験に関する部分の記述はわざと自虐的に書いてあるのでしょうが、なかなか読みごたえがありました。
第2章のセルフブランディング戦略や、第3章のこれからの働き方などは、よく目にする「フリーランスのキャリア構築のあり方」や「好きなことを仕事にして独立することのススメ」のような内容で、似たような文章は色々なところでよく目にします。
第4章では、なぜ「会社」と「国」に頼れなくなったのかをデータを交えて解説するのですが、この章はまさに官僚の書いた文章!ってカンジでした。良くまとまっているものの、たいして面白くはなかったです。
最後の第5章は、杉村太蔵氏や家入一真氏とのエピソードなどを盛り込みつつ、「組織からの卒業」の方策などがまとめてあります。「生活防衛資金(いざというときのための蓄え)は半年分」と書いてあったのも、やはり優秀な人材だからこそだと思いました。私はもし勢いで退職しても、半年で次の仕事を見つける自信はないので、蓄えは生活費の2年分以上確保しています。
【参考記事→まずは生活防衛資金】
全体的には、己をネタにして商売するということは、こういうことか!という意味で、非常に勉強になる本でした。
基本的に自身の売り込みのための宣伝・営業本でしたが、「身体を張って突き進んでいる人間って、やっぱりすげぇな!」と、素直に尊敬の念を抱いたのも事実です。
ゴチャゴチャと書きましたが、個人的には一読の価値がありました。

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