2015
Jun
20
『全面改訂 ほったらかし投資術』(山崎元・水瀬ケンイチ著)を読みました(感想・レビュー)
合理的で分かりやすい「物言い」によって多くのファンを抱える経済評論家の山崎元氏と、投信ブロガー界隈ダントツの最大手ブログ「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」を運営している水瀬ケンイチ氏の強力タッグ最新作を読んでみました。

前著(改訂前)の『ほったらかし投資術』も、「もしも私がタイムスリップして、投資を始める前の自分に1冊だけ投資本を勧めるとしたら、これを選ぶ!」と考えていたくらいに、個人投資家目線のエッセンスが詰まった本でした。
【参考記事→過去にタイムスリップして、投資を始めようとしている自分に10秒間だけアドバイスできるとしたら】
今回の最新作は、その前著の改訂版ということなのですが、書き換えられた部分が多く、かなりバージョンアップしているため、まさに「全面改訂版」でした。
もちろん、「過去の自分に読ませたい1冊としてこれを選ぶ」という私の考えは、「全面改訂版」になっても変わりません。

前著(改訂前)の『ほったらかし投資術』も、「もしも私がタイムスリップして、投資を始める前の自分に1冊だけ投資本を勧めるとしたら、これを選ぶ!」と考えていたくらいに、個人投資家目線のエッセンスが詰まった本でした。
【参考記事→過去にタイムスリップして、投資を始めようとしている自分に10秒間だけアドバイスできるとしたら】
今回の最新作は、その前著の改訂版ということなのですが、書き換えられた部分が多く、かなりバージョンアップしているため、まさに「全面改訂版」でした。
もちろん、「過去の自分に読ませたい1冊としてこれを選ぶ」という私の考えは、「全面改訂版」になっても変わりません。
◎全面改訂とはいえ、軸はブレず
この本の主張をかなり大雑把に要約すると、
「手数料が安くて、シンプルで、負けにくい投資方法がありまっせ。その実践方法と理論はしっかりと解説しますから、投資なんかに手間をかけず、人生をエンジョイしましょうよ!」
ということで、これは前著と共通する太い軸です。
投資が趣味や仕事ではない普通の人は、投資そのものに「面白味」なんか求めずに、仕事やプライベートを充実させた方が有意義ではなかろうか、という考えについては私も大賛成です。
投資の世界は、「自分だけは絶対に儲けてやる!」と息巻いている世界中のプロたちと対等にやりとりするシビアな土俵です。そして、突発的な事故や天災なども影響し、運の要素もかなり大きいと言えます。
しかも、ある程度基本的な知識と原則を身に付けてしまえば、ほとんど場合、それ以上いくら勉強をしても簡単にパフォーマンスが向上するわけではありません。
投資なんて、無難に手間なくやれる方法があるのなら、それに越したことはないのです。
◎正しい理論と個人投資家目線の見事な融合
この本の序章では、合コンとスノボーのことくらいしか頭になかったという「普通の若いサラリーマン」だった水瀬氏が、老後資金の必要性に気づき、様々な投資法を実践するも、なかなか上手くいかなかった経験が赤裸々に書かれており、一気に共感と興味が湧いてきます。
水瀬氏が失敗を経ながら、やがてインデックス投資にたどり着き、現在どのくらい儲かっているのかまでを読むだけでも、購入する価値があると個人的には思っています。
【参考記事→インデックス投資とは・・】
そして、第1章の実践ガイド、第2章のインデックス投資概要説明、第3章の商品ガイド、第4章のマニア向け特別付録という構成になっています。
正しく合理的であるがゆえに辛口すぎる山崎氏の投資理論解説と、実体験に基づく水瀬氏の個人投資家目線の文章が見事に融合していました。
確定拠出年金やNISAについても、かなり踏み込んで書かれており、将来の運用資産の取り崩し方法などにもキチンと触れています。
投資理論部分は容赦なく徹底解説するので、脳が汗をかいてしまうような部分もあるかもしれませんが、正しいことが分かりやすく書かれている類書は他に多くありません。
◎私とは考え方の異なる部分もあるけど・・
当然、私は著者たちとは別の人間なので、考え方や主張が微妙に異なる部分もあります。
外国債券クラスやバランスファンドへの投資の是非などが、それにあたるでしょう。
私は、すべての人が合理的に最短距離のみを選択できるわけではない、と考えています。
そのあたりの考え方の相違は程度問題なので、物事を10段階で評価するのか、それとも2択で答えを出すのか、というような違いからくるものだと思います※1。
ラップ口座、外貨預金、毎月分配型投資信託、外国債券インデックスファンド、国際分散型バランスファンド、、、この本ではこれらのすべてがダメなものとして一括りにされてしまっていますが、当然それぞれに違いがあり、「ダメ具合」にも違いがあります。人によっては、必ずしもダメとは限らない場合もあるでしょう。
・・この辺りの微妙なニュアンスと意味合いが理解できる人は、もう投資に対する考え方としては初心者さんを卒業していると思います。
投資に関しては、自己責任を原則として、各人の最適解を見つけたいものですね。
そして、その各自の最適解にたどり着くために、この『全面改訂 ほったらかし投資術』のような「正しいことが書いてある本」をしっかりと読みこんでおくことは、とても有益であり、貴重なコンパスとなるでしょう。
◎アベノミクスの勢いで「とりあえず投資を始めちゃった人」にオススメ
この本は、「なんとなく個別株投資とかFXを始めてみたけど、理論的なことはよく分からないよ」というような人に是非オススメしたいと思います。個別株投資や為替取引は、今のような相場環境であれば誰でも上手くいきやすいものですが、趣味や仕事以外で資産形成のためにそれを長く継続しようとすると、簡単にはいかないものです。
また、投資未経験者であっても、例えば『週刊ダイヤモンド』や『週刊東洋経済』などを購読しているような意識の高い人であれば、イメージが浮かびやすく簡単に理解でき、「目から鱗」のような気付きが得られるかもしれません。
ただ、普段、「お金」について考えることはほとんどなく、これまで全く投資に縁のなかったような人は、まずは『老後貧乏にならないためのお金の法則』あたりの本で、ひとまず「お金」に関する全般的な知識を網羅してから、この『全面改訂 ほったらかし投資術』を手に取った方が、より理解しやすいと思いました。
【参考記事→『老後貧乏にならないためのお金の法則』(田村正之著)を読みました】
『全面改訂 ほったらかし投資術』は、投資に関わっているすべての人が、(色々な意味で)定期的に読み返すべき必読書だと言えるでしょう。
※1 関連参考記事→私のアセットアロケーション

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