2015
Mar
26
『老後貧乏にならないためのお金の法則』(田村正之著)を読みました…「老後破産」しないための必読書!
出版されたてホヤホヤの本です。

お金のことや経済情勢などにメッチャ詳しい「老後博士」が、女子大生の「ハナちゃん」と会話しながら、丁寧に色々と教えてあげる形式のとても読みやすい本でした。
最近話題の「老後破産」や「老後貧乏」を避けるための必読書だと思います。

お金のことや経済情勢などにメッチャ詳しい「老後博士」が、女子大生の「ハナちゃん」と会話しながら、丁寧に色々と教えてあげる形式のとても読みやすい本でした。
最近話題の「老後破産」や「老後貧乏」を避けるための必読書だと思います。
◎田村正之氏とは・・
この本の著者・田村正之氏は、とてもロジカルで分かりやすい資産運用関連記事を量産している日本経済新聞の記者さん(紙面解説委員兼編集委員)です。
田村氏の書く記事には、マネー関連記事にありがちな近視眼的内容のものがなく、いつもその文面から高い考察力がにじみ出ています。
また、「田村優之」という筆名で、恋愛小説なんかも書いている多彩な作家さんでもあります。
※投資本ではありませんが、『月の虹』という恋愛小説はかなりオススメです(やや男性向けかな)。
しかし、ひとたびアルコールが入ると酔っぱらってベロンベロンになり、「ゆるキャラ」のような存在に変身するお茶目なかたでもあります。
鋭く精緻な文章を書く田村氏と、酔っ払いモードになった田村氏にはかなりのギャップがありますが、「ギャップこそが、人間としての幅の広さであり、魅力だ」と思っている私にとって、眩しいくらいに偉大な人物です。
何度かお酒の席でご一緒したことがありますが、高度な自虐ギャグを多用するトークスタイルに、いつも魅了されっぱなしです。
◎お金周りのことを幅広く妥協なく書いた良本
さて、そのように魅力あふれる田村氏が書いたこの『老後貧乏にならないためのお金の法則』ですが、ハッキリ言って良本です。
我々が生きていくために必要不可欠な身の回りのお金のことに関して、幅広くかつ妥協なくみっちりと教えてくれます。
「さらなる長寿化」×「年金の実質減額」×「インフレ」×「金利の抑圧」=老後貧乏
という恐ろしい方程式が成立してしまいそうな現状とその根拠を示し、同時にそれへの対策として、
1.リスクを抑えながらのインフレに負けない資産運用
2.年金増額の工夫や妻の働きなどの収入増
3.公的医療保険など社会保障制度の徹底活用
4.保険や住宅ローンの見直しなど支出の削減
という処方箋もしっかりと書いてくれています。
私が当ブログでチマチマ書いているようなことを、一気に全部出し惜しみなく一冊にまとめてあるカンジです。アッパレです!
◎資産運用に関するエッセンスがぎっしり!
「資産運用の大前提は、何がいつ上がるかわからないから幅広く分散しておくこと。それには国内外の株や債券を幅広く持つことが大事」
と、老後博士は、普通の人のための資産運用の大原則をズバリと言い切ります。
そして、給料は増えないのに株主への配当は増えている現状への対策として、株式投資の必要性や、分散やコストの重要性などをしっかりと説明してくれます。
また、田村氏のお家芸である購買力平価説や為替の説明をしっかりとおさえ、さらには積立投資の特徴解説から、バリュー平均法、成功確率の高いNISAの利用法などにまで言及しています。
毎月分配型の投資信託やラップ口座を、チクリとdisっているところもさすがです。
(参考記事→購買力平価説とは)
以前に私は、田村氏がリーマンショック直後に出版した『しぶとい分散投資術』の書評で、「データや内容を現在バージョンに改定して、再度出版したものを読んでみたい」と書きましたが、まさにこの本の第2章がそれに相当していました。
(参考記事→『しぶとい分散投資術』(田村正之著)を再読しました)
◎他にも住宅・保険・年金・相続・贈与と盛りだくさん
さらに!住宅・保険・年金・相続・贈与と盛りだくさんの内容となっています。
持ち家と賃貸に関して、これまであまり語られてこなかった賃貸派の厳しい現状について根拠持って警鐘を鳴らしたり、住宅ローンについても最近の金利動向を踏まえて現実的なアドバイスをしてくれます。
生命保険や医療保険に関しても、保険会社の内部事情をエグるような情報や普通の人にとって現実的な選択肢を提示・示唆してくれ、高額療養費制度などの社会保障制度についてもバッチリ説明します。この分野に関してオタクを自認している私も「高額医療・高額介護合算制度」についてはこの本で初めて知りました。
ただ、病院入院時の「差額ベッド代に関する話」もサラッと書かれていましたが、これに関しては私の実体験レポートの方がリアリティがあるなぁ、なんてことは思いました(笑)。
→差額ベッド代の不払い入院に挑戦したときの突撃レポート(全5回)
他にも年金・相続・贈与とお金周りの大切なことも、その根元の構造からしっかりと妥協なく解説されています。
マンションの地震保険に関するコラムなどは必読です!
この本には、あまりにも幅広い情報が網羅されているため、その一つひとつについて本当に深く知って実践するには、この本を読む以外にも多少の勉強は必要かもしれません。ただ、これ一冊だけで、普通の人が安心して老後を迎えるために知っておくべきポイントがサイトマップのように一覧できる素晴らしい本だと思いました。
仕事に関しては優秀なのに、お金周りのことに関しては全く興味を示さない多くの知人たちに是非とも読んでもらいたいと思える一冊でした。
・・文中に、何度か「外貨建て」という言葉が出てきていて、私はそこに少々違和感を持っていました。
ところが、登場人物のハナちゃんが、
「言葉の定義みたいなものにネチネチこだわる人って、人間が小さい印象がありますよ」
というセリフを言うシーンがあり、それを読んで、「その通りだ!こりゃあ、一本取られた」と思えるほど、この本とは対話ができました。
(参考記事→外貨建て資産の「建て」ってなんだ?)
関連記事→「老後破産」を心配する人たち…それを回避するためには、どのような対策や備えが必要なのか

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