2014
Nov
22
なぜ「VT一本」にしないのか(株式100%のポートフォリオはアリなのか)
「VT」とは、超低コストで先進国から新興国まで世界中の株式に分散投資できる「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」という海外ETF※1のことです。
インデックス投資家の「リーサルウェポン」などと呼ばれ、「投信ブロガーが選ぶFund of the Year」においても2年連続で第1位に選ばれている、文句なしの「良い金融商品」です。
VTそのものの詳細解説は今回の記事の主旨ではないので、これ以上は控えますが、VTはそれ一本だけでも資産運用が完結できる優れモノです。
インデックス投資家同士の雑談のなかでも、
「VTと国内債券クラスだけの超シンプルポートフォリオっていいよねぇ」
「オレもいつかは、VT一本!」
なーんて会話がたまにあるのですが、実際にそのようにしている知人は(私の記憶の限りでは)いません。
私もリスク資産はVTのみで完結させることをリアルに検討したことがありますが、採用には至りませんでした。
インデックス投資家の「リーサルウェポン」などと呼ばれ、「投信ブロガーが選ぶFund of the Year」においても2年連続で第1位に選ばれている、文句なしの「良い金融商品」です。
VTそのものの詳細解説は今回の記事の主旨ではないので、これ以上は控えますが、VTはそれ一本だけでも資産運用が完結できる優れモノです。
インデックス投資家同士の雑談のなかでも、
「VTと国内債券クラスだけの超シンプルポートフォリオっていいよねぇ」
「オレもいつかは、VT一本!」
なーんて会話がたまにあるのですが、実際にそのようにしている知人は(私の記憶の限りでは)いません。
私もリスク資産はVTのみで完結させることをリアルに検討したことがありますが、採用には至りませんでした。
◎なぜ私は「VT一本」にしていないのか
「VT一本」は、資産形成のための金融商品ポートフォリオ※2をシンプルにできる、という点に大きな魅力があります。
今後も長く続ける資産形成のための投資なんざ、私にとっては楽しみながらやる趣味ではありません。なるべく簡単で分かり易い方がいいのです。
「ポートフォリオのシンプル化」は、私も目指すところなので、なるべく少ない金融商品で済むように努めています。
(参考記事→アセットアロケーションの決め方シリーズまとめ)
それなのに、なぜ私は「VT一本」にしていないのか。。
今回私が書きたいことは、VTそのものの分析だとか、「海外ETFは買い付けや税務処理が面倒だ」だとか、「コストは大切だよ」だとか、「バランスファンドが楽チンで良いよね」というような話ではありません。
今回の主題は、株式100%のポートフォリオは、アリなのかナシなのか、というお話です。
※あくまでも個人的な思考を書くだけの幼稚な記事です。
◎長期では株式は強いだろうけど・・
それ自体が成長し、価値を創造し続けようとする「株式」というアセットクラスは、投資による資産形成の主力といえるでしょう。人間の欲望を成長のエネルギーとして発展する資本主義経済の恩恵を享受できる可能性が最も高い資産クラスは、やはり「株式」だと考えています。
だったら、リスク資産は株式100%でいいじゃん!と思う人がいてもおかしくはありませんし、実際にそういう知人はけっこういます。それはそれで、むしろ合理的な判断でしょう・・(VTは100%株式)。
しかしながら、私のポートフォリオ(アセットアロケーション)は、株式が主力になってはいるものの、海外の債券やらリート(不動産)やらと、株式以外にもゴチャゴチャと入っています。
長期間に渡って投資し続けるなら、債券やらリートやらを入れずに株式100%のポートフォリオにした方が期待リターンは高いのです。
それなのになぜ、そうしていないのか。
それは、「長期なら株式は強い」という前提は持っているものの、
「今後、自分が生きて投資を続ける期間は、その前提が当てはまるほどの「長期」と呼べるのであろうか、いや、そうとは言い切れまい」
という思いがあるからです。
◎20年間くらいの株価低迷は珍しくない
世界中の過去の株式市場のチャートを眺めてみると、日本以外のマーケット(のインデックス)でも20年くらいにわたる株価停滞なんてのは珍しくない話です。
あくまでも極端な仮定ですが、今から20年後にアメリカで株式市場の大暴落があって世界中に悪影響が出て、その後さらに20年間株価停滞が続く、なーんてシナリオもないとは言い切れません(例えが、アレな人の陰謀論・破綻論みたいな話でスンマセン)。
それでも50年60年70年と投資を続けていれば、株式は強いだろうと思いますが、そんなに長く投資を続けているのか(生きているのか)という疑問もあります。
自分の積立投資実践期間の後半と、リスク資産取崩し期間の大部分が、運悪く長期株式低迷シーズンと重なってしまう可能性は否定できません。
(もちろん、だからといって、債券なら安全だ!というほど単純な話ではないのですが・・)
◎分散効果をナメたらイカンぜよ!
一方、様々な資産(アセットクラス)が組み込まれたアセットアロケーション(ポートフォリオ)なら、それぞれが多少なりとも違う値動きをしてくれることで、短~中期的なリバランス※3によって利益が少しずつ積み重なって底上げされ、最終的に株価が大きく上昇せずとも、途中の各資産の上下変動だけでも利益が確保されたりするのです(参考:上げ相場でリバランス売りをしといてよかった)。
メインシナリオどおりに株式の調子が良かった場合には、株式オンリーのアセットアロケーションには勝てませんが、どのような状況であっても大負けする可能性は下がる、と思っているわけです。
リターンやリスクを考えるとき、大勝ちすることよりも大負けしないことを優先的に考える人間(私)としては、株式は主力で、長期的にはそれが強いことをメインシナリオに据えつつも、そうでなかった場合のことも考慮しないワケにはいかず、結局、現状のようなアセットアロケーションになってしまうのです。
(参考記事→2014年6月末のアセットアロケーションとポートフォリオ)
もちろん、株式100%のポートフォリオであっても、無リスク資産との定期的なリバランスを心がければ、少しずつ利益が積みあがっていく可能性は高いでしょう。また、多くのアセットクラス保有によるリバランス効果を期待するには、各アセット間の相関係数にバラツキがあるという前提なども必要になってきますが、個人的にはアセットクラスが多いほど、様々な事態に対応できる可能性が高まるであろうと考えています。
株式が長期的には上昇を続けることと、様々なアセットクラスが様々な値動きをするであろうことを自分のなかに納得のいく割合で含んで、さらに現実的な管理の手間を考慮して、私は現在のようなアセットアロケーション(ポートフォリオ)に至っています。
(参考記事→アセットアロケーションの決め方シリーズまとめ)
前提(想定)の相違や判断・選択の結果、株式100%のポートフォリオの方がいても、それはそれで合理的な選択だと思います。私もその選択肢を完全に捨てきったわけではありません。
そして、もしも私が株式100%のポートフォリオを選択するならば、「VT一本」を真剣に検討するでしょう。
・・まぁ、ゴチャゴチャと書きましたが、株式100%のポートフォリオであろうと、そこに他のアセットクラスが入っていようと、「リスク資産に投資している」という点では同じようなものであり、見方によっては、そんなに大きな違いはないかもしれません。
今回の記事も、あくまでも個人的な思考によるものです。
投資判断は自己責任においてお願いします。
【関連記事:株式100%のポートフォリオでいい、という主張はおそらく正しい】
※1 ETFとは、株式のような売買方式で取引される(市場に上場されている)投資信託です。投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金をまとめて専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などで運用する金融商品です。
(関連記事→ETFやETNを投資初心者にオススメしていない理由)
※2 「アセットアロケーション」と「ポートフォリオ」という言葉は、同じ意味で使われることもあれば、分けて使われていることもあります。
ちなみに私は、リスク資産配分を「アセットアロケーション」と呼び、その具体的金融商品と配分をポートフォリオと呼んで区別して使っています。
また、アセットアロケーションやポートフォリオの中に、預貯金等の無リスク資産を含める方もいれば、そうでない方もいるので、他人の公開情報を見るときには、そのあたりことにも少し注意する必要があるように思います。
当然、リスク資産と無リスク資産の線引きも各投資家やブロガーによって微妙に異なることがあります。
(参考記事→リスク資産と無リスク資産の色分け)
※3 リバランスとは、一定の期間(や乖離率)ごとに、最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているもの(アセット)は売却(利食い)し、下がっているものは買い増(逆張り)して元に戻すこと。主目的はリスクコントロールですが、株価や債券価格や為替などの上下循環(下がってもまた上がる・上がってもまた下がる)を前提とすれば、長期的には高パフォーマンスに寄与します。

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