2014
Jun
04
マーケットメイカーとは(マーケットメーカーとは)
「マーケットメイカー(マーケットメーカー)」だなんて、普通の人や投資初心者には馴染みの薄い言葉でしょうが、以前に需要はないだろうなぁと思って書いた「購買力平価説とは」というマニアックな記事が、地味にご好評(アクセス)をいただき続けていたりもするので、今回は「マーケットメイカー」の解説記事でも書いてみようかなと。
ここ最近、ETF(上場投資信託)関連の記事を何度か書いているので、この話題(マーケットメイカー)を避けては通れないとも思いました。
(参考→どうすれば投資初心者にも「ETFやETN」をオススメできるようになるのか)
ここ最近、ETF(上場投資信託)関連の記事を何度か書いているので、この話題(マーケットメイカー)を避けては通れないとも思いました。
(参考→どうすれば投資初心者にも「ETFやETN」をオススメできるようになるのか)
さて、マーケットメイカー(market maker)とは簡単にいうと、
「投資家の売り買い相手になる金融機関」
のことです。
読んで字のごとく、マーケット(市場での証券取引)をメイク(成立させる)する人(法人)ということなのでしょう。「値付け業者」などとも呼びます。
「根っこ」から解説したいので、本題に入る前に少々回り道をさせてください。
◎オークション方式
市場(取引所)で株式等の有価証券を売買するときは、オークション方式で行われるのが一般的です。
ある銘柄について、売りたい投資家と買いたい投資家が直接売買するわけです。
市場には様々な投資家がいます。
投資家A:私は「株式会社ムカデ」の株式を25000円で買いたい。
投資家B:私は「株式会社ムカデ」の株式を30000円で売りたい。
投資家C:私は「株式会社ムカデ」の株式を28000円で売りたい。
投資家D:私は「株式会社ムカデ」の株式をいくらでもいいから、今すぐに買いたい。
投資家X:私は今、ムカデを見て、研究をしている。
投資家Y:私は今、ムカデの声を聞き、一緒にたわむれている。ムカデプール最高!
投資家Z:私は今、神の声を聞いている。
「株式会社ムカデ」に関して、このような投資家たちが、市場で同時に意思表示をしているとします。
(実際には、何株買うのかという問題もありますが、ここでは1株の売買とします。また、ものすごい数の投資家が様々な意思表示をしているはずですが、ここではこれで全員とします。)
この場合、「いくらでもいいから、今すぐに買いたい」と言っているDさんが、売りたいと言っている投資家BさんとCさんのうち、価格が安い方のCさんと28000円で売買することになります。
そしてその後、Aさんは「27500円までなら払う!」なんて意思表示をして、Bさんも「27500円まで下げるから誰か買って!」みたいなことになると、AさんとBさんの間でも27500円で売買が成立したりします。
要するにオークション方式ですね。
(※投資家X・Y・Zは関係ありません。念のため。)
◎マーケットメイク方式
ところが、「株式会社ムカデ」の株式のように常に売りたい人や買いたい人がいないレアな「株式会社シラミ」の株式のような銘柄もあります。
投資家A:私は「株式会社シラミ」の株式を15000円で売りたい。
投資家B:私は「株式会社シラミ」の株式を20000円で売りたい。
投資家C:私は「株式会社シラミ」の株式をいくらでもいいから、今すぐに売りたい。
投資家D:私は「株式会社シラミ」の株式をいくらでもいいから、今すぐに売りたい。
投資家X:私は今、シラミとプレゼント交換会をしている。私は卵を持参した。
投資家Y:私は今、シラミに愛の告白をしたよ。シラミ命。
投資家Z:私は今、神の声を聞いている。
・・ありゃま、この市場には今、買いたがっている人がいません(ちょっと極端な設定ですが・・)。
売りたいときに売れない(もしくは買いたいときに買えない)ような銘柄ばかりの市場だったら魅力はなく、投資なんてしたくなくりますよね。
そこで、投資家同士では売買せずに、取引所の許可を得た金融機関(マーケットメイカー)が、投資家と直接売買するのがマーケットメイク方式です。
マーケットメイカーA:「株式会社シラミ」の株式を14000円で買うし、18000円で売るよ。
マーケットメイカーB:「株式会社シラミ」の株式を15000円で買うし、17000円で売るよ。
投資家は、気に入った条件でマーケットメイカーと売買すればいいのです。
マーケットメイカーも(先物取引なんかも駆使しつつ)、様々な投資家から安く買って高く売ることで儲けの機会が生まれます。
特定の銘柄や市場(取引所)では、このマーケットメイク方式が使われることがあります。マーケットメイク方式専用の取引所もあります。
◎「指定参加者」と呼ばれるマーケットメイカーも
他にも、外国為替取引で投資家と売買するマーケットメイカーや、ETFの組成や売買に深く関係する「指定参加者」と呼ばれるマーケットメイカーなども存在します。
(※必ずしも「指定参加者=マーケットメイカー」ではなく、厳密には、指定参加者がマーケットメイカーになることが多いということなのですが、詳しくは次回の記事で書きます。)
今回、なぜ私が「マーケットメイカー」の話を持ち出した(解説を試みた)かというと、実はこの「指定参加者」の話を書きたかったからです。
指定参加者も「投資家の売り買い相手になる金融機関」であることに変わりはないのですが、もうちょっと複雑になります。指定参加者は、ETFの販売会社のような存在で、オークション方式の市場にいるマーケットメイカーなのです。
そもそも「マーケットメイカー」について、インデックス投資家※に関係してきそうなのは、上述したマーケットメイク方式の取引所の話ではなく、この「指定参加者」でしょう。
(※参考記事→インデックス投資とは)
次回、インデックス投資家のなかでも国内ETFをコア金融資産に利用している個人投資家にとって、とても重要な「ETFの「基準価額」と「市場価格」の乖離問題」について、マーケットメイカーでもある「指定参加者」の説明を交えて解説したいと思います。
今回の記事は、その本題に入るための前振りでした。
つづく
次回:指定参加者の役割とは(ETFの「市場価格」と「基準価額」の乖離問題)

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