2014
May
28
「ETFやETN」が投資初心者にもオススメできるようになるためには・・
私はこれまで、「ETF(上場投資信託)やETN(上場投資証券)」は、既に投資を実践している人の選択肢のひとつに過ぎず、その他大多数を占める普通の人や投資初心者にオススメするようなモノではないと考えていました。
(参考記事→ETFやETNを投資初心者にオススメしていない理由)
ただ、前回の記事で書いた東京証券取引所の「ETF・ETN市場に関する意見交換会」に参加したことで、どうすれば投資初心者や普通の人にも「ETFやETN」をオススメできるようになるのか、というようなことを考える機会に恵まれました。
今回はそんなことについて、つらつらと。。
(参考記事→ETFやETNを投資初心者にオススメしていない理由)
ただ、前回の記事で書いた東京証券取引所の「ETF・ETN市場に関する意見交換会」に参加したことで、どうすれば投資初心者や普通の人にも「ETFやETN」をオススメできるようになるのか、というようなことを考える機会に恵まれました。
今回はそんなことについて、つらつらと。。
前々回の記事でも書いたとおり、「ETF(上場投資信託)」や「ETN(上場投資証券)」は、よい金融商品ではあるものの、ちとメンドクサイ。普通の人や初心者には、ちとハードルが高い。今のところ、私はそのように思っています。
もちろん、初心者にはハードルが高いだとかメンドクサイとはいっても、普通の投資信託との差は、自動車の運転がマニュアルかオートマか程度のものであり、その感じ方は人それぞれでしょう。
ただ、私は投資をしたことのない知人などが実際に投資を始めるところを何度も見守った経験から、初心者にはオススメしにくいと感じていました。
では、どうすれば普通の人や投資初心者にも「ETFやETN」をオススメできるようになるのか。もしくは、どうすれば私自身が「ETFやETN」を自分の資産形成のコア金融商品に位置づけたくなるのか。そんな視点で考えてみました。
◎ETNは普通の人の長期的な資産形成の主役になるのは難しい(名脇役を目指せ!)
まず、先に「ETN」について。
ETNは魅力的で面白い金融商品ですが、裏づけ資産を持たないあくまでも発行体の信用リスクを負う債券、つまり、商品を発行した金融機関が破綻してしまえば無価値になってしまう可能性があるものなので、そもそも普通の人の長期的な資産形成の大部分を占めるようなコア金融商品にはなりえないものだと私は考えています。
裏づけ資産の有無の問題というよりは、たとえガリバー企業であっても単一企業の信用リスク(その企業が潰れてしまったらすべて吹っ飛ぶリスク)に自分の金融資産の大部分をさらすのは、やはり気が引けてしまいます。
もちろん、部分的なリスクヘッジやサテライト金融資産、もしくは趣味的に投資を行うツールとしては、とてもよい金融商品だと思いますし、機動的に売買できる投資経験者が利用するのはアリでしょう。
例えば、高配当銘柄の配当込み指数に連動するETNなんかだと、税金の問題を気にすることなく雪だるま式の複利を実現してくれるかもしれません。私も興味があります。
もしも、いま自分の投資している商品と同じようなものがETNとしてより低コストで発売されたら、そのときは選択肢の一つとして悩むかもしれませんが、今のところは商品ラインナップを見る限りにおいても、普通の人が手間をかけずに資産形成を行うツールとしては、主役にはなりえないものだと思っています。
ただ、プロや投資好きをターゲットにして、脇役に徹した開発を進めれば、意外と多くのニーズをカバーできて、人気のある金融商品として脚光を浴びるかもしれません。
投資家の選択肢が増えるのはよいことだと思うので、期待はしています。
◎ETFは長期的な資産形成のコア金融商品の大本命
一方、「ETF」は個人の資産形成の主役になりうる金融商品だと思います。
流動性があって(=多くの人が売り買いして)、純資産残高の大きい(=多くのお金が集まっている)ETFがもっと増えてくれば、それは普通の人の長期的な資産形成のコア金融商品に適したものになるはずです。既に米国ではそうなっているようです。
もちろん、これまで再三述べてきたように、株式のように市場(証券取引所)で「指値」やら「成行」やらを選択して売買を行う必要があるETFは、普通の人や投資初心者にとって、ややハードルの高いものだと思っていますが、「よいモノ」であることは間違いありません。
個人的には、「これ一本だけあれば、世界中の株式や債券などへの分散投資が完結する」というようなバランス型のETFが低コストで開発されれば、リスク資産はすべてそれ一本に集約できるというシンプルさがメリットになるので、資産形成のコア金融商品とするかもしれません。リスク資産内でリバランスを行う必要もなくなります。
市場での売買に免疫のある他人にもオススメしやくなるでしょう(実際にそれを作っても、多く売れるのかどうかは別問題ですが・・)。
(※バランス型の投資信託だと、値動きの理解が困難になるので、初心者にはよろしくないという意見もあり、それはたしかにその通りなのですが、実際に身の回りの普通の人を見てきた印象を基に最大公約数的に考えると、やはり普通の人にはバランスファンドが無難なのかなぁ、と思っています。。)
また、個人投資家へのETFの普及率がプロ以外の市場参加者の金融リテラシーを把握する指標の一つになりそうな気もしますし、どのような形であれ、ETFがメジャーになれば、ライバルであるインデックスファンドのコストも下がってくるかもしれません(副次効果?)。
ETF市場の活性化には期するところ大です。
◎どうすればETFはメジャーになるのか?
んでは、どうすればETFがメジャーになるのかという問題ですが、これはとても難しい問題です。
そもそも、これが分かっていれば、東京証券取引所の「ETF・ETN市場に関する意見交換会」なんてものは催されないでしょう。
個人的には普通の投資初心者がETFに辿り着くまでには、いくつもの壁が立ちはだかっていると思っています。
そもそもお金のことを勉強して、リスク資産への投資を行うだけでも大変なことです。投資に対する世間のイメージなどを考えても、まずはその壁が一番高いかもしれません。
(参考記事→テレビ出演の影響)
さらに、インターネットでお金を扱うことや、市場(証券取引所)売買に抵抗がある人も少なくないでしょう。
また逆に、インターネットでの市場売買に抵抗がない人だと、ETFだなんてツマラナイ金融商品よりも、もっと値動きの大きい個別企業の株式売買や為替取引をやりたくなる衝動を抑えきれないかもしれません。
それから、ETFは販売サイドの「儲け」が少ない金融商品なので、金融機関がオススメしてくることはまずなく、その存在を知ること自体もそれなりの「壁」かもしれません。
このような「壁」の件については、いずれもっと掘り下げて記事を書く予定ですが、ETFが個人投資家の間でメジャーな存在になるのは簡単ではないと思います。
よい金融商品なのに、残念なことです。
金融機関サイドの努力だけではどうにもならないことが多いですし、解決策も分かりませんが、話をもっとミクロに持ってくると、私が個人的にETFの購入を検討したり、他人にオススメするようになるには、とりあえず「それ一本だけで、世界中の株式や債券などへの分散投資が完結するバランス型ETF」が設定されてからだな、と思っています。
(それが売買手数料無料のフリーETFで、分配金の自動再投資サービスのドリップ(DRIP)などがあると、なおよいですね。ただし、繰り返しますが、それが売れるかどうかは微妙ですが・・)
参考サイト→ETF・ETNスクエア(東京証券取引所)

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