2013
Feb
06
「虎の子」を元本保証なしの市場に放り込む恐怖心【投資を始めてみる(その1)】
生命保険会社が行っているような運用を、自分でやってしまおうと思ったのがきっかけで、私は「投資」することを検討しました。
前回の記事で書いたとおり、生命保険会社の約束運用成果(自分の受け取り額)と、過去のMSCIコクサイ・インデックスでの運用結果を比較して、そう思うに至ったわけです。
しかし、だからと言って、最初からインデックス投資(パッシブ運用)を選択しようと思ったわけではありません。
頭をゼロベースに戻して、そもそもホントに投資なんぞをするべきか、もしするなら自分はどうやって投資に取り組むべきなのかを再度自問し、考えてみたのです(もう今から7~8年前の話ですが)。
前回の記事で書いたとおり、生命保険会社の約束運用成果(自分の受け取り額)と、過去のMSCIコクサイ・インデックスでの運用結果を比較して、そう思うに至ったわけです。
しかし、だからと言って、最初からインデックス投資(パッシブ運用)を選択しようと思ったわけではありません。
頭をゼロベースに戻して、そもそもホントに投資なんぞをするべきか、もしするなら自分はどうやって投資に取り組むべきなのかを再度自問し、考えてみたのです(もう今から7~8年前の話ですが)。
◎元本保証なしへの恐怖心
投資を始めるちょっと前まで、お金の預け先といえば預貯金しか知りませんでした。
もちろん、「株式」や「投資信託」などというものがあることは知っていましたが、実際に自分が汗水流して働いて得た大切なお金の預けどころとしては捉えていませんでした。
そんなごく普通のザコだった私が、実際に預貯金のみの元本保証※1の世界から飛び出すことは、なんだかとても恐ろしく、勇気のいることでした。パプアニューギニアの農村部の少年が、ある日突然、新宿歌舞伎町に店を構えるような心境です。
特段の金融資産を持たない単なるエテ公である自分が、「虎の子」を元本割れリスクにさらすのですから、それは当然の感情だったのかもしれません。
株式などのリスク資産に投資するということは、プラスにもマイナスにも大きく振れることを受け入れる覚悟を持つということです。
歴史を振り返ってみれば、長期的には右肩上がりの株式(たとえばアメリカ)も短期的には大きく上下しています。
さらに個別企業への株式投資であれば、会社が倒産した場合、最悪、株券が1円の価値も持たない「紙切れ」になることも事前に許容することが必要になってきます。
ちょっとこれは怖すぎますよね。。やっぱり、やめておこうかなぁ、なんて考えもしました。
◎でも「円」だけで大丈夫なの?
ただ、同時に、ある程度経済や金融市場のことを勉強したため、このまま将来にわたってずっと「円」による預貯金だけしか持たずにいることにも不安を感じ始めていました。
1970年代の変動相場制移行後のドル/円レートを大局的に見れば円高傾向に見えますが、それが今後もずっと続く保証はどこにもありません。
また、ここ20年間くらいはあまり実感できないものの、今後インフレになる可能性がないとも言い切れません(実現するかどうかは別にして、最近では第2次安倍内閣で、盛んにデフレ脱却が叫ばれていますよね)。
私は「やがて円安になる!」とか「インフレがくるに違いない!」と考えたわけではありません。そんなこたぁ、分かりません。
ただ、円安やインフレになったときに対応できない金融資産配分では困る、と考えたのです。
しかし、だからといって、日常生活に支障が出るほどに、円安やインフレへの備えをするのも現実的ではないと思いました。
◎じゃあ、どうすれば……
「虎の子」を元本保証なしのマーケットに放り込むのは怖い。でも、預貯金や国債しか持っていない状況で、円安やインフレによって「円」の価値が著しく低下してしまうような事態になっても怖い。
何かに一点投資するということは、大儲けできる可能性がある反面、大損する可能性も同じくらいあり、上にも下にも、ものすごくリスク(振れ幅)が大きいものです(本当に大儲けしたいなら、ベンチャー企業でも立ち上げましょう)。
円の預貯金しか持っていないことは、ある意味において、自分がものすごくハイリスクな集中投資をしているようなものだと考えました。
ちょっと極論かもしれませんが、1920年代には世界トップクラスの先進国(たしか世界第5位の富裕国)だったアルゼンチンがデフォルト(債務不履行)したり、ハイパーインフレに見舞われた歴史などを見てしまうと、戦後のこれまでの日本で、多くの国民が預貯金のみの資産配分で問題なく過ごすことができたのは、実はものすごくラッキーなことであると思えなくもなかったのです※2。
では、どうすればいいのでしょうか?
・円だけでもダメ
…自分は今後も日本で生活するつもりだから、ベースとなるのはこれだけど、これだけだと偏りすぎな気がするなぁ
・ドルやユーロだけでもダメ
…世界での流通量を考えると外せない気もするけど、ドルやユーロは崩壊するとか言う人もいるしなぁ
・日本企業の株式だけでもダメ
…貧乏人が金持ちに近づくためには株式に投資するしかないと思ったけど、未だに日経平均株価はバブル高値を全然更新できていないしなぁ
・日本の債券(国債)だけでもダメ
…抜群の安定力を誇ってはいるけど、低金利すぎるし、財政破綻するとか言う人もいるしなぁ
・外国企業の株式だけでもダメ
…グーグルだとか、コカ・コーラだとか、エクソンモービルだとか、世界にはスゴい企業がたくさんあるけど、実際どれがいいのかよく分からないし、それになによりここは日本だしなぁ
・外国の債券だけでもダメ…
アメリカ国債とか安定していそうだけど、もうヤバいって話も聞くし、為替リスクが大きすぎる気がするし、国は他にもたくさんありすぎて、どこがいいのか分からないしなぁ
私は悩みました。
資本主義経済の現代社会で生活している以上、何からかのカタチで経済との関わりは避けられないという事実。「何もしない」といっても、(金額は小さいものの)実際には銀行預金を通じて日本国債への集中投資をしている自分……
しばらく悩んだものの、ちょっとしたキッカケから発想の転換をしたら、どうすればいいのかの答えは意外と簡単に出ました。
つづく
なぜインデックス投資を選んだのか【投資を始めてみる(その2)】へ
※1 元本保証といっても、それはあくまでも日本政府の信用をもとにした円貨での保証に過ぎないわけですが、その日本政府と「円」の信用についての考察も、いずれ記事を書くつもりでいます。
→参考記事:最悪の状況をどこまで想定するのか
※2 預貯金につく金利が年率10%のようなときは、株式の利回りはそれ以上だったりするので、あとから振り返ってみれば「株式投資をしていた方が良かったなぁ!」となるという事実もあります。

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