『はじめての確定拠出年金』(田村正之著)を読んだ感想・レビュー

日本経済新聞の記者さんであり、上級ファイナンシャルプランナーでもある田村正之氏が確定拠出年金(DC)に関する新書を出版しました。

はじめての確定拠出年金 (日経文庫)


つい先日、「個人型」の確定拠出年金(iDeCo・イデコ)の入門本としてはこれが一番だ!と竹川美奈子さんの本を紹介しましたが、この本もまた少し違った意味で多くの人にオススメしたくなる良書でしたよ。

【参考記事→『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』 (竹川美奈子著)を読んだ感想・レビュー

竹川さんの本は、徹底的に「個人型」に特化して書いてある“iDeCo利用者のための実践本”というカンジでした。それに対して、田村さんの本は、今の世の中における確定拠出年金の位置づけや意味、そして、その概要や多くのパターンなどについて俯瞰できる一冊になっています。

※当記事執筆時点でアマゾンのカテゴリランキング1位!



◎導入部のインパクトにやられる


まずは、この本の書き出しである「はじめに」の部分で、一気に引きつけられます。

「おいしい話」は実在する
例えばあなたがこんな誘いを受けたらどうでしょうか。「老後に備えてお金を積み立ててください。そうすると、所得にもよりますが、年に数万円をご褒美であげますよ」。
普通はこんな「おいしい話」には乗らないほうが良いと思います。だいたい詐欺だからです。しかし、ほぼこの通りの「おいしい話」なのが、個人型確定拠出年金という国の制度なのです。

(『はじめての確定拠出年金』P.3より)



・・ふむ、さすがのセンスですね。
現役の日本経済新聞の紙面解説委員兼編集委員であり、証券アナリストであり、CFP認定者でもある著者がここまで言うのなら、ちょっとアンテナの高い人であれば、「どれどれ、ちと読んでみるかのう」となるのではないでしょうか。

ちなみに私はマネー関連の記事を書く新聞記者のなかでは、この田村氏のことを最も信用しています。

昨年、当ブログ経由で最も買われた本も、同氏の『老後貧乏にならないためのお金の法則』というマネー本でした(今年もトップになりそうな勢いです)。

【参考記事→『老後貧乏にならないためのお金の法則』(田村正之著)を読みました…「老後破産」しないための必読書!

【参考記事→昨年(2015年)、当ブログ経由で買われた本ベスト10



◎『はじめての確定拠出年金』の特徴


日経新聞を毎朝読んで、国の年金制度や社会問題などについてしっかりと理解し熟知している人であれば、そんなん知ってるよ、と思えるような内容かもしれませんが、そうでない人には、ハッとするような部分が必ずあるはずです。

少なくとも私はこの本で大いに勉強させてもらいました。

例えば、「死ぬほど長くなった老後」ということで、現代日本で生活する我々は、現実的に何歳くらいまで生きる可能性が高いのか、そして何歳くらいまで生きることを想定しておくべきなのか、というようなことを明言し、“長生きリスク”に備えるマネープランのアイデアなんかも教えてくれます。

あんまりここで書きすぎるとネタバレになってしまいますが、この本には「2050年には女性の4人に1人が98歳まで生きる」と書いてありました。


他にも、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用についての考察を述べたり(参考→年金積立金の運用成績を見てどう反応をするか…金融リテラシーのリトマス紙)、行動経済学の観点から見た金融商品選びみたいなことにも触れています。

また、知っているようで(私が)よく分かっていなかったアメリカの企業型DC制度である401kや個人型DCにあたるIRA(個人退職勘定)などについても分かりやすく解説してありました。

ただ、明らかに「雑学」の範疇に入るようなマニアックなこともいくつか書かれているので、こういう分野にあまり興味のない人にはキツい部分もあるもしれません。



◎要点は漏らさない


当然、資産運用の鉄則についても、過去のデータなどを用いて、基礎をバッチリ押さえてあります。

まあ、資産運用に特化した本ではないので、初心者が実践的に「お金の運用」について学ぶのには充分とはいえませんが、リスクとリターン、そして相関係数の解説などもちゃんとあります。

私の大好きな?リバランスについても、そのポイントがしっかりと書かれていました。積み立て投資の特徴なんかについても簡単に触れています。


そして、個人型の確定拠出年金を低コストで利用できる金融機関もしっかり調べ上げて、具体的にいくつか挙げています(取材の過程で、やる気のない金融機関も多く目にしたようで、そういうことも書いてありました)。

また、個人型確定拠出年金の口座管理費用や投資信託の品ぞろえなどを調べるのに便利なウェブサイトの紹介などもあります。

もちろん、税制を睨んだお得な受給方法(給付)にもしっかりと言及していますよ。

さすが田村氏、要点は漏らしません。



◎万人にオススメできる良書


この本の最初にほうには、「特に個人型DCについて詳しく書きました」とありましたが、個人型DCに関する深堀り具合で言えば、正直、竹川美奈子さんの本に負けていると思います。

ただし、竹川さんの本は、個人型DCを利用する人だけのために書かれた本だといえなくもありません。

今回の田村さんのDC本は、ビジネスパーソンが「常識」として確定拠出年金全般について押さえておきたい思えるようなポイントが分かりやすく網羅されており、企業型DCの利用者にとっても必読と思えるようなこともたくさん書かれていました。


確定拠出年金に関する本をどれも褒すぎだろ!と思われる方もいるかもしれませんが、私は自分で良いと思った本しかブログでは取り上げません。読みはしたもののブログでは紹介していない本のほうが圧倒的に多いのです(読んで、良いとは思ったものの、面倒くさくて記事にはしていない、というのもけっこうありますが、苦笑)。

この本も良書だと思いました。



最後に余談ですが……

田村氏は、「田村優之」という筆名で、小説なんかも書いている多彩な作家さんでもあります。

『青い約束』という青春小説は13万部を超えるベストセラー。『月の虹』という恋愛小説は個人的にはかなりオススメです(やや男性向けかな)。



※確定拠出年金ってなんじゃい?って人は、以下の記事をご参照ください。

確定拠出年金ってなによ?…メリット・デメリット・注意点は?…企業型と個人型の違いやオススメの証券会社は?


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プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど

※小説も書いてます→『迫力』



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約12年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
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