『肩書き捨てたら地獄だった』(宇佐美典也著)って本を読んでみました(感想・レビュー)

東大法学部を卒業し、国家公務員Ⅰ種という難関試験をクリアして、キャリア官僚として経済産業省に入省したエリートが、その肩書きを捨てて独立したら「地獄」を味わったというではありませんか。

どれどれ、他人の不幸は蜜の味ともいいますし、ちょいと読んでみますかの。もともとそんな「エリート肩書き」なんざ持ってないザコ庶民(私)が、元エリート官僚さんの地獄とやらを高見の見物じゃ~!ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ~!!

そんな不純で救いようのない好奇心に衝き動かされて、この本を読んでみました。


肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方 (中公新書ラクレ)



◎大した地獄じゃないやんけ!


マーク・ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズの本を読むなどして胸を熱くし、勢いよく肩書きを捨てた(官僚を辞めた)ものの、いざ独立してみたら誰も相手にしてくれなかった。自分の肩書きを実力と勘違いした「イタい人」に過ぎなかった。

通帳の残高2万円、部屋に引きこもって一人で泣き、ホームレスと自分との本質的な違いについて考えをめぐらせ、ゴキブリの生命力を見習って生態研究をはじめる。。

と、人生のどん底を味わってる感が滲み出た書き出しで、かなり引き込まれつつ読み始めたのですが、「地獄」のステージはあっという間に終わってしまいます。

地獄というよりも、当たり前の挫折をすぐに乗り越えた武勇伝のようでした。


やはり、キャリア官僚になれるような人間は、基本スペックが違います。
著者は、すぐに頭角をあらわし、様々な挑戦と検証を経て、ビジネスチャンスをどんどんカタチにしているようです。

地頭の良さや、情報処理・解析能力が高いのはもちろんなのですが、この著者はタフでハングリーです。
そういう粘り強さというか「しぶとさ」のようなものを持っている人間は強いんだな、これが。

ブログでの情報発信をきっかけにキャバ嬢の相談に乗ったエピソードを、「少し前まで国家プロジェクトを担当していたのに、いまは水商売のコンサルティングか」と、やや自虐的に表現していますが、ビジネスチャンスを探し続けてトライし続けるタフさは見事なものです。



◎でもやっぱ、独立して上手くいくのは、それなりの人だよね


私もたまに「いつかは独立してフリーランスに!」なんてことを妄想することがありますが、やはり基本的には、フリーランスで食っていけるのは組織人としても優秀で、かつタフな人なのでしょう。

この本では、「セルフブランディング」の重要性やら、特定の組織に従属せず好きなことを仕事にする「フリーエージェント」の素晴らしさをこれでもか!これでもか!と力説していますが、普通の人が安易に真似をすると、本当の地獄を見るケースもありそうです。

著者としてみれば、大きな決心をして、一時的とはいえ挫折を味わった貴重なエピソードを素直に語っているのでしょうが、たいしたプランも持たずに独立後わずか数か月でビジネスが展開できるのはやはり本人が優秀でタフだからだと思いました。

ただ、組織に所属しながらも「一人になったとき」に市場で通じる能力を研磨しておくことの重要性や、そのような視点持っておくこと意義については、色々と参考になりました。



◎この本の構成と感想


第1章の著者実体験に関する部分の記述はわざと自虐的に書いてあるのでしょうが、なかなか読みごたえがありました。

第2章のセルフブランディング戦略や、第3章のこれからの働き方などは、よく目にする「フリーランスのキャリア構築のあり方」や「好きなことを仕事にして独立することのススメ」のような内容で、似たような文章は色々なところでよく目にします。

第4章では、なぜ「会社」と「国」に頼れなくなったのかをデータを交えて解説するのですが、この章はまさに官僚の書いた文章!ってカンジでした。良くまとまっているものの、たいして面白くはなかったです。

最後の第5章は、杉村太蔵氏や家入一真氏とのエピソードなどを盛り込みつつ、「組織からの卒業」の方策などがまとめてあります。「生活防衛資金(いざというときのための蓄え)は半年分」と書いてあったのも、やはり優秀な人材だからこそだと思いました。私はもし勢いで退職しても、半年で次の仕事を見つける自信はないので、蓄えは生活費の2年分以上確保しています。

【参考記事→まずは生活防衛資金


全体的には、己をネタにして商売するということは、こういうことか!という意味で、非常に勉強になる本でした。
基本的に自身の売り込みのための宣伝・営業本でしたが、「身体を張って突き進んでいる人間って、やっぱりすげぇな!」と、素直に尊敬の念を抱いたのも事実です。

ゴチャゴチャと書きましたが、個人的には一読の価値がありました。



◎最後に余談ですが・・


エリートといえば、私の古い友人にも、東京大学を出て財務省の官僚になっているゴンちゃん(仮名)というヤツがいます。

私は小学生のころ、通学路にあるすべての家のポストに正露丸を投入し、いくつものスーパーマーケットの主電源を落とし、駅のホームで死んだふりをし、デパートの婦人服売り場に大量のイナゴを解き放つようないたずらによって、近所中を席巻していました。

【参考記事→私の武勇伝

私がいたずらに勤しんでいるとき、ゴンちゃんは、超難関私立中学校受験のために毎日電車に乗って塾へ通い、常に学年トップの成績を収めていました。

いたずらのエリートと勉強のエリート・・・・・・ゴンちゃんは、私とは対極にあるような「優等生」でしたが、なぜか意外と気の合う友達でした。

そのエリートの彼が、「小学校時代の思い出」として卒業文集に書いたことは、勉強のことや修学旅行の思い出ではなく、私と一緒に授業をサボって学校を抜け出し、ビワの実を盗み食いして怒られたエピソードでした。ゴンちゃんは、放課後は塾なので、授業中に私が無理やり連れだしたのです。

真面目なヤツなので文集にはしっかりと反省の弁が書かれていましたが、彼に「あのとき、虫とり小僧くんたちと一緒に色々といたずらできたのが一番楽しかった」と言われたときは、妙に嬉しかったものです。

ちなみに数年前、同窓会で彼と再会した際、今後の日本経済について語り合いました(たしかリーマンショック前後くらい)。そのとき、印象的だったゴンちゃんのセリフは、「個人向け国債買ってね!」でした。


にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事





プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど

※小説も書いてます→『迫力』



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約12年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
BIG tomorrow:2017年7月号
東証マネ部!・R25:2017年3月
R25・東証マネ部!:2017年1月
BIG tomorrow:2016年7月号
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイスポ!:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年8月30日号
日経ヴェリタス:2015年7月26日号
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加

最近の人気記事ランキング

【第1位】
セゾン投信を投資初心者にオススメする理由


【第2位】
テレビ出演の影響


【第3位】
個人向け国債(変動10年)は最強の無リスク資産…メリット・デメリットを確認しておこう!


【第4位】
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)


【第5位】
確定拠出年金ってなによ?…メリット・デメリット・注意点は?…企業型と個人型の違いやオススメの証券会社は?


【第6位】
私の武勇伝


【第7位】
持ち家か賃貸か…住宅について自分の考えを整理しておく


【第8位】
小説を書いてみました


【第9位】
賃貸契約更新時の値下げ交渉(更新料は支払わなくてもよい?)


【第10位】
関東近郊、宿泊してよかったオススメの天然温泉旅館5選


【第11位】
預金封鎖にはどのような対策をすればいいのか?


【第12位】
ローン返済と投資のどちらを優先すべきか…併用はありなの?


【第13位】
入院時の差額ベッド代は支払わなくてもよい?


【第14位】
投資信託や株式の元本割れ(含み損)が気になってモヤモヤしている人へ


【第15位】
なぜ投資をするのか


【第16位】
2016年12月末のアセットアロケーションとポートフォリオ(と今年下半期の投資と考察)


【第17位】
ドルコスト平均法は有利なの?不利なの?…積立投資と一括投資のメリットとデメリットの話


【第18位】
子供が友達のメガネを破壊…早速、個人賠償責任保険を請求してみた


【第19位】
インデックス投資を成功させるための3つのポイント


【第20位】
で、自分は現行NISAと積立NISAのどっちを利用するのかという話


全記事一覧

最新記事

広告

アクセスカウンター



当ブログ内検索

オススメのネット証券

SBI証券
管理人も利用中の最大手。
低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金用口座としてここを利用。
商品ラインナップやシステムはSBI証券に劣らない。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーン多し。
当ブログ内参考記事

セゾン投信
リスク資産をバランスファンド1本で管理したい人にオススメ。
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。
当ブログ内参考記事

オススメの保険比較サイト

価格ドットコムで最安値圏を調べ、自分がどれだけぼったくられているのか確認してみることをお勧めします。
保険商品は、自分に必要なものを最低限、なるべく低コストで選びたいものですね。
当ブログ内参考記事

読みやすくてオススメの本

老後貧乏にならないためのお金の法則 老後貧乏にならないためのお金の法則
資産運用から、住宅・保険・年金・相続・贈与までのすべてを網羅したマネー本です。
当ブログ内参考記事


貧乏人のデイトレ
金持ちのインベストメント
貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵
投資理論の基礎を学ぶのに適した本だと思います。
当ブログ内参考記事


一番やさしい! 一番くわしい!
はじめての「投資信託」入門
一番やさしい! 一番くわしい!<br />はじめての「投資信託」入門
投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本です。
当ブログ内参考記事


半値になっても儲かる
「つみたて投資」
半値になっても儲かる「つみたて投資」
積立投資そのものを分析・解説している興味深い本です。
当ブログ内参考記事


ほったらかし投資術 ほったらかし投資術
投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレにします。
当ブログ内参考記事


生命保険の罠 生命保険の罠 保険の営業が自社の保険に入らない、これだけの理由
生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊です。
当ブログ内参考記事

注意事項

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

また、リンクや引用なら問題ありませんが、ブログ記事の無許可・無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。






お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。
メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。





にほんブログ村 その他生活ブログ 資産運用へ 
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。
リンク先には人気の関連ブログがたくさんあります。