最悪の状況をどこまで想定するのか【投資の前提(その2)】

前回の記事では、「景気や株価は必ず上下するものの、地球規模の経済は長期的には成長するはずだ」というような、投資をするにあたっての個人的前提について書きました。

ただ、「虎の子」を元本保証なしの世界に投じる行為の前提がそれだけでよいはずはなく、さらに色々なことを考えました。

そうすると、どうしても「最悪の状況をどこまで想定するのか」というような問題に行き着いてしまいます。

ここでいう「最悪の状況」というのは、「過去のデータを参考に、投資金額の最大損失を何%まで想定してポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を組むのか」というような話※1ではなく、戦争になったらどうしよう?政府が破綻したらどうしよう?金融資産を凍結(デノミ)されたらどうしよう?といった類の、やや現実離れした話です。

(現実離れした話ですが、真剣に考えると、誰もが行き着く問題だとも思っています。)



◎あんまり極端な想定って・・


前々回の記事で、「インフレに強いとされる株式、デフレや円高に強いとされる預貯金や国内債券、円安に強いとされる外国株式や外国債券などの様々な資産を保有して、どんな状況になってもそれなりに対応できるようにする」と、私はエラそうに書いてしまいました。

今回の記事はこの「どんな状況になっても」をどこまで想定しているのか、というお話です。

最初に結論をいうと、政府による金融資産没収のような状況は想定していません。「日本円」と政府の信用が失墜して、国債の元本保証が守られない、というようなことも想定外です。また、信託財産の分別管理(投資信託の場合、販売会社・運用会社・受託銀行のうち、どれが破綻しても預けている財産は保全される制度となっている)もキチンと守られるという前提のもとで投資をしています。

なぜなら、そんな極端なことを想定して対策をとっても、ほとんど無意味だと考えたからです(その可能性がないと言っているわけではありません)。

万が一、そのような事態になってしまったら、そん時ゃそん時!己の力で自分と家族守るぜい!ってことです。



◎現実的に考えてみよう


預金封鎖だのデノミだのという事態に、普段から備えるのはあまりにも労力とコストが大きそうだし(現実的な対策があれば教えてもらいたいです)、そんな事態になったら外国資産(投資信託を通じて投資している外国株式や外国債券など)だって没収される可能性が高そうなので、どんな備えをしていてもほとんど意味はないと考えています。

例えば、「いざという時には、“金(ゴールド)”の実物じゃよ!貨幣なんざ、いざという時にはなんの役に立たんわい!ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ」というような意見や話を聞くことがあります。

保有資産との分散効果を勘案して金(ゴールド)をポートフォリオの一部に組み込むという話ならよく分かるし、検討や実践に値すると思います。

ただし、それが国家による財産没収のような事態を想定したうえで、いざという時の備えにするという話であれば、「なんじゃそりゃ?」ってな印象を持ってしまいます。

・金(ゴールド)の買い付け記録
→有事には、業者が政府に要求されて開示しちゃうのでは?
→買い付け記録が残らないように工夫したりするの?

・いざという時までの保管方法
→銀行の貸金庫だったら、有事には政府に抑えされちゃうのでは?
→家の押し入れに隠す?庭に埋める?……マジで?マジでやるつもり??

・いざという時までの保管費用
→インデックス投資とアクティブ投資のコスト差とか、そういうレベルじゃないのでは?
→ゴールドの保管費用を冷静に計算してみなよ!

・いざという時の利用方法
→どうやって使うの?闇市?そんなの持ってることがバレたら、モヒカン男が奪いにくるかもよ?
→だったら家庭菜園でも始めて、カボチャでも植えといた方が、有事にはよっぽど役に立つんじゃない??

あくまでも思考実験ですが、このようになってしまうワケです。



◎法律くらいは信用しようかな


なんか大げさな話になってしまいますが、日本国憲法における財産権の遵守と、金融商品取引法等で定められている信託財産の分別管理が徹底されることを前提に、私は投資をすることにしています。

受託銀行の「中の人」が使い込んだりしたらどうしよう?なんてことも考えましたが、そんな考えがエスカレートしてくると、そのうち外を歩いていて隕石が落ちて来たらどうしよう?核戦争に備えて地下にシェルターを作らねば!というようなことにまで発展してしまいます。


要するに、

銀行や証券会社に預けた資産は、法律上保全されると定められているところまではキチンと保全されるという前提のもと、日本のバブル崩壊や世界恐慌レベルの暴落くらいまでは想定する(一時的には投資資金が半分以上目減りすることも許容する)

ということです。



◎投資をするなら、ある程度は腹を括ろうよ


景気・為替の循環や長期的な世界経済の成長を前提とした国際分散投資をしていて30年後に大損しているようであれば、ほとんどの金融機関も破綻して、資本主義も崩壊し、北斗の拳の世界のような状態になっているくらいにまで考えています。

(日本だけは例外ですが)世界中のどの株式市場を見ても、(途中大暴落を経験しても)株価指数は緩やかなインフレを伴いながら長期的には上昇しており、ほとんどの企業は資本経済システム(株価の長期的な上昇)が続くことを前提として成り立っています

実際にこの先なにがどうなるのは分かりませんが、自分の金融資産を預貯金のみで持つよりは、国際分散投資をしている方が、リスク分散できていると考えています。

もちろん、資本主義も政府も破綻せずに、最終的(取り崩しの時期)に自分の投資資金だけが元本割れしてしまう可能性もゼロではありません。当然、私はそのリスクも許容しています。
それ(元本割れ)を許容できない人は、投資なんぞしてはダメです。

自分で考えて選択・実践して、それでもダメなら(前提が崩れたり、元本が割れてしまったりしても)仕方ないと思っています。

私はその腹も括ってあります。


《関連記事》
投資信託を販売している証券会社や銀行が破綻したら?
陰謀論や財政破綻論などとの付き合い方
預金封鎖にはどのような対策をすればいいのか?


※1 私はそういう意味での「最悪の事態」は投資元本が半分以下になる、というくらいにざっくりと想定しています。


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※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約12年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


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日経ヴェリタス:2015年7月26日号
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日経新聞:2013年7月3日
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