『30代でも定年後でもほったらかしで3000万円!投資信託はこうして買いなさい』(中野晴啓著)を読みました(感想・レビュー)

先日の『預金バカ』当ブログでの書評)に続いて、セゾン投信の社長・中野晴啓氏がまた新著を出しました。



この『30代でも定年後でもほったらかしで3000万円! 投資信託はこうして買いなさい』は、同著者のベストセラーとなった『投資信託はこの9本から選びなさい』当ブログでの書評)の続編のような位置づけの実践編ということです。

中野氏の主張や理念はブレることなく一貫しているため、わざわざ買って読まずとも、書いてある「軸」の部分はだいたい想像がつきます。

また、最近、中野氏の書評ばかりをこのブログに書いているような気がするので、今回はスルーしようと思っていたのですが、ありがたいことに?メールフォームを通じて、「中野さんの新著が出ましたね。早く感想をアップしてください」というようなリクエストを数件いただいたので、これは感想を書かないわけにはいきません。

なので、買って読んでみました。



◎セゾン投信の宣伝本


基本的にはセゾン投信を紹介し、そのファンドをオススメするための営業本でした。

ただし、悪いモノを勧めているわけではなく、一般人にとってまともな資産形成の手段や、そのための投資信託(ファンド)の選び方などをキチンと啓蒙しているので、しっかりした真面目な良本だと言えると思います。

よい商品を開発し、なるべく余計なコストを乗せずに販売しようとすると、宣伝に大きな費用はかけられません。有名タレントを使ってテレビCMなんぞを流したりすると、「よい」商品であっても「安く」は提供されにくくなります。販路拡大を焦ってコストを増やせば、既存顧客にも不利益が生じることになるでしょう。

だから、普通の人にとって縁遠い「投資による資産形成」をテーマにした実践本という形で、まともな投資信託の選び方や買い方を説明しながら、コストをかけずに自社商品を宣伝するというのはアリだと思います。

ただ、この本を読んだ者として、客観的かつ正直に感想を述べるようとすると、「これは基本的には宣伝本ですね」ということになります。

個人的には、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は投資初心者にもオススメできる良品だと考えているので、特に違和感なく読むことができました。
セゾン投信はつい先日(2014年11月4日)に運用資産総額が1000億円を突破しており、勢いも感じます。
(参考記事→セゾン投信を投資初心者にオススメする理由



◎投資本としての「肝」は押さえてあります


前著となる『投資信託はこの9本から選びなさい』当ブログでの書評)にも詳しく書かれていましたが、資産形成に向いたファンドを選ぶ6つの条件を列挙・解説し、長期投資の観点で投資信託を選ぶ(スクリーニングする)ことの重要性を説いており、この点は相変わらず深くうなずける内容でした。

また、いま話題のNISA(小額投資非課税制度)の使い方、銀行が退職金を狙っている話、積み立て投資そのものに関する値動きとパフォーマンスに関する解説などにもページを割いて説明しています。毎月分配型投資信託のリスクや非効率性にもしっかりと触れている点もGOODだと思いました。

「リスク」そのものについて、運用期間が長くなるほどに値動きのブレは大きくなるものの、時間の経過とともに元本を割り込むリスクは低下することを見事に図解し、名著・『敗者のゲーム』のグラフを引用して、タイミング投資の難しさを説くなど、投資本としての肝は押さえてあったように感じました。



◎やや物足りなった点


全くの投資初心者が読むにしては、ドルコスト平均法や、インデックス運用とアクティブ運用の違いの説明などがサラリとしすぎていて、理解しにくいのではないかと思いました。

また、株式や債券に分散投資するグローバル型投資信託の自動リバランス機能の優位性などを説いているので、オススメする9本の投資信託から、株式オンリーのファンドは外した方が親切なような気もしました。ただ、そうすると「セゾン資産形成の達人ファンド」も消えてしまうので、株式オンリーのファンドも残すのであれば、無リスク資産の重要性やリスク資産との保有比率によるリスクコントロールなどにも言及したほうがより読者のためになったように思います。
(参考記事→無リスク資産の必要額

株式や債券、リートなどの相関の話や、アセット組み合わせ比率の違いによる値動きの説明なども完全に省かれていたので、読み終わったあとに、「で、結局なにをどれだけ買えばいいの?」となってしまう読者がいるかもしれません。



◎セゾン投信でファンド購入を検討している人や、既にセゾン投信のファンドを購入した素人保有者にオススメ


重箱の隅をつつくようなことを書きましたが、この本の趣旨であろう、

「圧倒的多数の人たちにとって、精神的にも安らかに長期投資ができる方法は積み立て投資をおいて他にはない」

ということや、

「積み立て投資は、誰にもできる再現性の高い手法である」

ということには全く異論はありません。

「買ったら売るなよー!売るなよ!!」と再三にわたって主張し、途中売却の非効率性やタイミング投資の難しさをこれでもかこれでもかとアピールしているこの本は、セゾン投信でファンド購入を検討している人や、既にセゾン投信のファンドを購入したものの投資に関してあまり知識のない人が読むのにピッタリだと思いました。


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プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


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子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど

※小説も書いてます→『迫力』



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約12年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


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R25・東証マネ部!:2017年1月
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