「インデックス投資で1億円」の話

インデックス投資ブロガーのybさんが、1億円以上の金融資産を築いたということで話題になっています(2014年6月25日の日経新聞電子版によると1億4千万円)。

ybさんご自身も、最初のうちは別名で取材を受けたりしていたものの、最近になって「あれは私です」とカミングアウトしました。
(該当記事→Passiveな投資とActiveな未来・インデックス投資でお金持ちになった人はいない?


ブログでのカミングアウトの10日ほど前、「梅屋敷インデックス飲み会」の2次会で、

「・・実は、あれ私です」
「やっぱりねぇ!そうだと思ったんだよ~!!」

と、いうようなやりとりがあり、私もその場にいました。



◎自慢してるワケじゃないのに、様々な反応が・・


ybさんは、1億円以上の金融資産を築いたことを自慢したいというカンジは全くなく(そもそも、そういうタイプの人ではありません)、むしろ私を含む周りのブロガーたちが、

「インデックス投資でコツコツと積み立てを実践している人で、億り人(おくりびと:一億円以上の金融資産を築いた人)の事例とかあんまり聞かないから、そういう話がもっとできてもいいですよね。ybさん、ブログでカミングアウトしちゃえばどうですか!まぁ、でもそういうのって、色々な意味でためらいますよねぇ。。」

そんなことを言いつつ、なごやかな雰囲気で飲みながら会話をしていたように記憶しています。


さて、ybさんのカミングアウト後、ブログのコメント欄やツイッターでは様々な反応が見られました。

「すごい!おめでとう!」
「時間はかかりそうだけど、オレもいつかは達成するぞ~!」
と、いうような反応も多いのですが、当然、素直に賞賛するような反応ばかりではありません。

賞賛以外の(やや否定的に感じる)反応は、二つに大別できるように思いました。



◎アクティブ運用なら珍しくない


一つ目は、

「そんなのたいしたことないじゃん。個別株式運用やFXでならもっとスゴい人がいくらでもいるよ」

と、いうような反応です。

うむ、ごもっとも。
そもそもインデックス投資※1なんて、そんなにたいしたモノではありません。
ポートフォリオにもよりますが、株式や債券を織り交ぜた一般的な国際分散投資であれば、投資資産の年率の期待リターンなんて5%前後くらいのモンです。なるべく低コストで「マーケットの平均値」をいただくだけのもので、誰かと競ってパフォーマンスを勝負するような性格のものではないのです。

この状況を例えるなら・・・、
毎朝マイペースで走っているマラソンランナーが誰かに指をさされて、「あいつよりもカール・ルイスの方が速いぜ!」と言われているようなカンジでしょうか。

たしかにその通りではあります。
んでも、カール・ルイスさんやあなたと100m競走してるワケじゃありませんよ(汗)



◎投資方法は関係ない


やや否定的に感じられた反応の二つ目は、

「この人は、インデックス投資をしていたから1億円が築けたわけじゃなくて、収入が多いから1億円になっただけでしょ」

と、いうようなモノで、このような反応がけっこう多く見られます。

まあ、これもそこだけを見ればその通りでしょう。
おそらくybさんの金融資産のうち、投資に回しているとはいえない預貯金や個人向け国債などのいわゆる無リスク資産(安全資産)と、リスク資産への投資元本をすべて足すと、それだけでも1億円を超えているものと推察できます。

つまり、1億4千万円のうち利益を除いても1億円は超えているんだから、「億り人」になったといっても、それは「インデックス投資」のお陰ではなく、その寄与率もたいしたことないじゃん!ということだと思います。

うむ、ごもっとも。

・・でも、そんなことは自他共に認める当たり前のことです。
たしかに、メディアの取り上げ方やブログでの表現方法に誤解を招く余地はあったかもしれませんが、「インデックス投資だけで1億円」だとか「インデックス投資だから1億円」とは誰も書いていないのです。
おそらくybさん本人もそんなことは当たり前のことだと思って、前提を書かなかったのでしょう。

それに、コツコツと元本を積み立てていって、平均程度のリターンをささやかに期待するのが多くのインデックス投資ブロガーの投資スタンスなので、10年くらいの期間では含み益の資産形成への寄与率なんて、他の投資方法を実践している人たちを驚かすほどに大きいはずがありません。

この状況を例えるなら・・・、
自転車でゆっくり日本一周を達成した人が誰かに指をさされて、「あいつは自転車に乗ったから日本一周が達成できたワケじゃない。あれだけの時間があれば、歩いても日本一周はできたはずだ!」と言われているようなカンジでしょうか。

んでも、自転車じゃないと日本一周はできないとは言ってませんよ(汗)



◎こんな人がいますよ、というだけの話


要するに今回の「インデックス投資で1億円」の件は、

「資産形成の手段として“インデックス投資”を採用している人のなかに、1億円以上の金融資産を築くような人がでてきましたよ~」

と、いうだけのことだと思います。
そんな目くじら立てて、細かいをツッコミ入れるほどの話ではないでしょう。

個別株式の信用取引やFXなどで短期間のうちに数億円の金融資産を築き上げるような人も当然いますが、それは誰にでも真似できるような投資方法ではありません。
しかしながら、インデックス投資はそんなにスゴいパフォーマンスは期待できないものの、誰にでも簡単に真似(実践)でき、ちょっと慣れてしまえば手間もほとんどかからないお手軽なものです。

そして、長く続けている実践者のパフォーマンスを見ると、預貯金だけでは到底考えられないような利益が出ているのも事実です。

もちろん、多くの普通の人は、たいてい小額から始めるものですが、インデックス投資を実践している人のなかには、こういう人もいるのです。
そんな事例の一つや二つが公開されたって、別にいいじゃないですか。



◎多くの普通の人に注目してもらいたい点


実は、この件について私が注目すべきだと思っていることは、41歳にして1億円以上の金融資産を築き上げた人(ybさん)が、預貯金以外にも「インデックス投資」を取り入れ、そして現在もそれを継続している、という点です。

ご自身の年収が1千万円を超えており、さらに奥さんも正社員で共働きなので、収入や貯蓄の面で有利だといえるでしょう。しかし、それでも世の中には同じくらい、もしくはそれ以上の収入があっても、1億円以上の金融資産を貯めたり、殖やしたりすることのできない人が大勢います。

ybさんご自身もブログで書かれていますが、質素な生活で収入と支出のバランスをキチンとコントロールできる家計体質だからこそ、投資元本をしっかりと確保することができて、41歳にして「億り人」になることができたのでしょう。

質素な生活を心がけ、収入と支出のバランスをコントロールできる金銭感覚を持っている人は、おそらく過剰な無駄遣いはしないはずです。ましてや、長期的に見て損する可能性の高い投資(投機)だと判断すれば、自分の金融資産の半分以上をリスク資産に投じるはずがありません。しかも、ハッキリいってybさんは、学歴的にも職歴的にもエリートで、とても頭のいい人です。

1億円をつくって、インデックス投資をやめて(売り逃げして)、すべてを預貯金に移したというワケでもありません。今後も(おそらく)続けていくのです。リスク資産に投資をすれば、一時的には元本を半分以上割るような可能性があることを理解しているにもかかわらず、です。

基本的には本業の仕事に注力する。でも、預貯金だけではなく、株式や債券などのリスク資産を持っていたほうが資産形成には効率がよいという判断をしているので、なるべくを手間をかけずに投資を実践している、ということでしょう。


すでに様々な投資方法を知っていて、自分にマッチするやり方をご存知の人はそっちを優先して採用すればいいのですが、世の中の多くの普通の人にとっては、預貯金以外のリスク資産への投資をするということそのものが、とても大きいハードルとなっているようです。

ybさんの事例を見て、そのハードルが少しでも下がり、「へぇ~、そういう人もいるんだぁ」と思って、普通の人たちが「お金の運用」に関する勉強をするきっかけになれば面白いだろうなぁと、そんな気持ちで今回の「インデックス投資で1億円」の件を私は見ています。



※1 参考関連記事→インデックス投資とは


にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。

関連記事





プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ

子供の頃は、一日に800匹以上のバッタを捕まえるような虫とり少年でした。また、歩行中にはすべての家の「ピンポン」を必ず押すようないたずら小僧でもありました。今はただのザコです。

※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど

※小説も書いてます→『迫力』



自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約12年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…



※当ブログのエッセンスをまとめた記事はこちら

我が子に伝えたい5つの大切なお金のこと


※主なメディア掲載・出演履歴
ニューヨークタイムズ:2017年7月11日
REUTERS・ロイター:2017年7月7日
BIG tomorrow:2017年7月号
東証マネ部!・R25:2017年3月
R25・東証マネ部!:2017年1月
BIG tomorrow:2016年7月号
Yen SPA!:2016年冬号
BIG tomorrow:2016年1月号
ザイスポ!:2015年9月18日
日経ヴェリタス:2015年8月30日号
日経ヴェリタス:2015年7月26日号
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加

最近の人気記事ランキング

【第1位】
セゾン投信を投資初心者にオススメする理由


【第2位】
テレビ出演の影響


【第3位】
個人向け国債(変動10年)は最強の無リスク資産…メリット・デメリットを確認しておこう!


【第4位】
民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)


【第5位】
確定拠出年金ってなによ?…メリット・デメリット・注意点は?…企業型と個人型の違いやオススメの証券会社は?


【第6位】
私の武勇伝


【第7位】
持ち家か賃貸か…住宅について自分の考えを整理しておく


【第8位】
小説を書いてみました


【第9位】
賃貸契約更新時の値下げ交渉(更新料は支払わなくてもよい?)


【第10位】
関東近郊、宿泊してよかったオススメの天然温泉旅館5選


【第11位】
預金封鎖にはどのような対策をすればいいのか?


【第12位】
ローン返済と投資のどちらを優先すべきか…併用はありなの?


【第13位】
入院時の差額ベッド代は支払わなくてもよい?


【第14位】
投資信託や株式の元本割れ(含み損)が気になってモヤモヤしている人へ


【第15位】
なぜ投資をするのか


【第16位】
2016年12月末のアセットアロケーションとポートフォリオ(と今年下半期の投資と考察)


【第17位】
ドルコスト平均法は有利なの?不利なの?…積立投資と一括投資のメリットとデメリットの話


【第18位】
子供が友達のメガネを破壊…早速、個人賠償責任保険を請求してみた


【第19位】
インデックス投資を成功させるための3つのポイント


【第20位】
で、自分は現行NISAと積立NISAのどっちを利用するのかという話


全記事一覧

最新記事

広告

アクセスカウンター



当ブログ内検索

オススメのネット証券

SBI証券
管理人も利用中の最大手。
低コストの商品が豊富で、月々100円からの積み立て投資に対応。投信保有ポイントサービスも高還元。個人型確定拠出年金(イデコ)も充実!

楽天証券
管理人は個人型確定拠出年金用口座としてここを利用。
商品ラインナップやシステムはSBI証券に劣らない。キャッシュバックたっぷりの口座開設キャンペーン多し。
当ブログ内参考記事

セゾン投信
リスク資産をバランスファンド1本で管理したい人にオススメ。
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、月々5000円から投資でき、30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資して、世界経済の成長を享受できる。
当ブログ内参考記事

オススメの保険比較サイト

価格ドットコムで最安値圏を調べ、自分がどれだけぼったくられているのか確認してみることをお勧めします。
保険商品は、自分に必要なものを最低限、なるべく低コストで選びたいものですね。
当ブログ内参考記事

読みやすくてオススメの本

老後貧乏にならないためのお金の法則 老後貧乏にならないためのお金の法則
資産運用から、住宅・保険・年金・相続・贈与までのすべてを網羅したマネー本です。
当ブログ内参考記事


貧乏人のデイトレ
金持ちのインベストメント
貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵
投資理論の基礎を学ぶのに適した本だと思います。
当ブログ内参考記事


一番やさしい! 一番くわしい!
はじめての「投資信託」入門
一番やさしい! 一番くわしい!<br />はじめての「投資信託」入門
投資信託とは何なのかをやさしく解説してくれる本です。
当ブログ内参考記事


半値になっても儲かる
「つみたて投資」
半値になっても儲かる「つみたて投資」
積立投資そのものを分析・解説している興味深い本です。
当ブログ内参考記事


ほったらかし投資術 ほったらかし投資術
投資を始める前の自分に1冊だけ読ますならコレにします。
当ブログ内参考記事


生命保険の罠 生命保険の罠 保険の営業が自社の保険に入らない、これだけの理由
生命保険の販売現場のウラ話が満載の強烈な一冊です。
当ブログ内参考記事

注意事項

当ブログでは個人的見解を述べているだけなので、他人の判断について責任は負えません。投資などを行う際は、あくまでも各自の責任においてお願いいたします。

また、リンクや引用なら問題ありませんが、ブログ記事の無許可・無断転載はご遠慮ください。私は著作権を放棄しておりません。






お返事できない場合もあります。また(ドコモ・auなどの)キャリアメールだと返信が届かないことがあります(参考解説記事)。
メッセージ内容はブログ記事に取り上げさせていただく場合があることもご了承ください。





にほんブログ村 その他生活ブログ 資産運用へ 
↑記事を気に入っていただけたら、ランキングに1票(クリック)をお願いします。
リンク先には人気の関連ブログがたくさんあります。